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B-17 フライング フォートレス2英語版
Text by Batmann
1st Feb.2001

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  第二次世界大戦で傍若無人な振る舞いのドイツに対して,'42年,アメリカは本格的な兵力を投入。ドイツに真っ向から戦いを挑んだ。このとき以来アメリカの強力な爆撃機として活躍したのが,空飛ぶ要塞と異名を取る「ボーイングB17重爆撃機」だ。
 4基のエンジンを持ち,6000ポンドもの爆弾を抱えて1万メートル以上の高空を飛ぶ。爆弾搭載量からいえば同じ米陸軍の主力爆撃機であるB24リベレーターには及ばないが,それでも日本やドイツの爆撃機に比べれば大量の爆弾を積むことのできる強力な戦略爆撃機だ。

B-17 Flying Fortressとは?
 このB17がクルー達に圧倒的な支持があった理由として,なんといっても生存性が高かったことが挙げられる。敵の戦闘機が簡単に近づけないように機体の7箇所に旋回機銃を取り付けているうえ,機体自体が非常に強固なのだ。4基あるエンジンのうち3基までが止まった状態で帰投した例もあったという。
 聞いただけだとまるでヒーローモノの映画のようだが,しかし現実は厳しい。爆撃機などというものは戦車のように装甲があるわけではなく,敵の銃弾や高射砲弾の破片は容赦なく機体を貫いていく。つまりボロボロになって帰ってくる機体の中ではクルー達もぼろぼろになって血を流し,阿鼻叫喚の地獄絵図が展開しているのである。
 メディアクエストのこの「B-17 フライング フォートレス2英語版 日本語インストールガイド付」(以下B-17)は,そんなB17のクルー達となって地獄の爆撃行を体験しようという恐るべきゲームなのである。
 フライトシミュレータといえば,飛行機を飛ばすパイロットの仕事がメインになるのが普通だが,このゲームは違う。プレイヤーは,10人分のクルーの仕事を次から次へとこなしていかなくてはならないのだ。
 敵が来れば銃座で反撃し,必要とあればパイロット席に座って火を噴いたエンジンの消化作業を行い,誰かが重症を負えば近くのクルーとなって応急手当を施し,ターゲット上空では爆撃手となって爆弾を投下しなければならない。そういう意味ではまったくフライトシミュレータとは呼べない。あえて呼ぶなら「爆撃機シミュレータ」といった感じだろうか。

 ゲーム自体の概要はシンプル。B17 FlyingFortress重爆撃機を飛ばし,敵地に爆弾の雨を降らせて無事に帰還する。それだけのことだ(言うは易し)。さっそくキャンペーンミッションを一つこなしてみよう。

クリックすると拡大します クリックすると拡大します Historical Campaignをやってみよう
 全てのミッションはブリーフィングから始まる。
 今日のターゲットはドイツ国内のハイデ製油所。激しい対空砲火と迎撃が予想される。地図上でルートを確認。偵察Filmで上空から見たターゲットの特徴を頭に叩き込み,作戦指示書にサインをする。いよいよ愛機に搭乗だ。
 通信士のダニーが,Order Bookを開いて管制塔に出撃の合図を送る。パイロットのデニスが,マニュアル通りの手順でエンジンをひとつ一つ始動していく(B17には4基のエンジンがあるのだ)。
 機体は滑走路へとタキシング。ゆっくりと,戦いの前の厳粛な儀式のように,管制塔からの合図で1機また1機と滑走を始め,空の要塞は大空へと舞い上がっていく。
 北海上空で味方の P47戦闘機と合流する。航続距離の都合で,片道しか護衛はつかない

Bandits! 9時High接近
Bandits! 10時High来たぞ。109のようだ
Bandits! 6時Level

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  敵機来襲! 機内のインカムががなりたて,gunnerが応戦する。命中! 敵機が黒煙を噴いた。執拗に敵機の攻撃が続く。味方のB17もエンジンから黒煙を噴き出している。
 内1機は,すでにエンジンが2発止まっている。あれでは目標まで辿り着けない。ここで編隊を離れUターンだ。無事に帰れれば良いが,帰り道を敵機に襲われればひとたまりもないだろう……。
 いよいよドイツに上空に入る。遠くから花火のような音。対空砲火だ。こいつは,直撃しなくても至近弾の破片が機体を穴だらけにする。機体がスクラップになっちまう。

パイロットこちらナビゲーター。ウェイポイントに到着。爆撃コースに乗る。爆弾槽の扉を開ける。

 爆撃手のヴァルはノルデン照準器をサーチモードにしてターゲットを探している。距離が遠いのか製油所はまだ見えてこない。薄い雲がときおり視界を遮る。見えた。あれが製油所だ。ターゲットをクロスヘアの中央に捕らえ,照準器をレートモードに切り替える。
「Bombs away!」 次々と降り注ぐ爆弾の雨。製油所は火の海だ。

クリックすると拡大します Bandits! 9時low接近

 再び敵機のお出ましだ。入れ替わり立ち代わりやってきやがる。急がしいったらない。
 味方の護衛機はすでに帰ったあとだ。銃座で必死に応戦する。突然インカムに悲鳴。左舷銃座のジャックがやられた。右舷銃座のユージーンに応急手当の指示を出す。大丈夫だ,ジャック。もうすぐ帰れる。

 帰りも激しい敵機の迎撃と対空砲火に曝されて,我々の中隊はようやくイングランドまで帰ってくることができた。何機かは途中でやられてしまったし,帰還した機体も一つとして無傷のものはない。それでも我々にはすぐに次の出撃が待っているのだ。

ゲームを進めるにはAIに指示を出すだけ
 B17の操縦は,エンジンの始動手順から火災発生時の消火作業にいたるまで,実にきめ細かくシミュレートされている。もしすべてを自分で操作しようと思ったらかなりの知識が必要だが,ここらへんは AIに任せてしまってもよい。要は,普通のフライトシミュレーションとは全然違うゲームなのだ。
 全てのクルーは,AIによって自分で判断して仕事をこなす。ゲームを進めるためにプレイヤーが最低限やらなければならないことは,ブリーフィングで作戦指示書にサインをすること,出撃前のB17の通信士席からミッション開始の指示を出すこと。極端な話,この二つだけだ。もちろんミッションをより良く成功させて生還を果たすためには,すべてAIに任せっぱなしというわけにはいかないのだが。
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  ゲームには,B17の機長となって第二次世界大戦を戦い抜くHistorical Campaign,中隊長として1個中隊を率いて作戦立案から参加するSquadron Campaign,あらかじめ設定されたミッションをブリーフィングなしですぐに始めるQuick Start Mission,ブリーフィングから始めるHistorical Mission,手動による操縦技術を学ぶためのTraining Missionの五つのメニューがある。

 機体には自分の好きなようにニックネームを付けられるし,ノーズアートもあらかじめ用意された24種類の中から気に入ったものを選ぶことができる。さらにクルーの顔や名前も変更できる。
 筆者は,このゲームを始めるにあたってレンタルビデオ屋で映画「メンフィスベル」を借りてきた。B17による爆撃行を描いた映画だ。10人のクルーの名前をすべて映画と同じにすれば感情移入できることこの上なし。ちなみにこれまた余計なことかもしれないが,Squadron Canpaignを選んだ場合,デフォルトでは3番機のニックネームが"メンフィスベル"になっている。
 敵,味方の戦闘機は本来脇役だが,視点を切り替えて手動操作を選ぶと操縦することもできるのは,結構スゴイ。Quick Start Missionには,P47やFw190に乗り込むミッションまでも用意されている。

 先にも書いたが,フライトシムではなくて「爆撃機シミュレータ」とでもいうべきこの作品。雰囲気よし,緊張感よし,グラフィックスよしの3重丸だ。ピュアなフライト系のファンにはいま一つピンとこないかもしれないが,逆にフライト系が苦手な人などにもお勧めできる良作。完全日本語でないのがやや痛いが,購入して損はないぞ!


■発売元:メディアクエスト
■価格:7800円
■問い合わせ先:メディアクエスト TEL 03-5805-3629
■動作環境:Windows 95/98/Me(Windows Meのアップグレード版は除く),PentiumII/300MHz以上(PentiumII/400MHz以上推奨),メモリ128MB以上(256MB以上推奨),空きHDD容量700MB以上
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