Back
フェイト オブ ドラゴン〜龍の系譜 (α版プレビュー)
Text by TAITAI
23rd Feb. 2001

 アイドス・インタラクティブが4月に発売を予定している「フェイト オブ ドラゴン〜龍の系譜」(以下FoD)は,小説のみならず,コミック,映画,そしてゲームの世界と幅広い分野で扱われていることでお馴染みの「三國志」を題材としたストラテジーゲーム。
 日本で三國志のゲームというと,やはりコーエーの放つ「三國志シリーズ」を頭に思い浮かべる読者も多いことだろう。しかし,今回紹介するFoDは,これまで目にしてきた多くの三國志ゲームとは明らかに違う。その最大の特徴として,ゲームシステムとして「Age of Empires」(AoE)シリーズに代表されるようなリアルタイム制の導入が挙げられるのだ。
 また,本場中国のスタッフを使って開発を行ったというだけあり,ゲーム中に使われる音声は,なんとすべて中国語。完全日本語版では,中国語の音声と同時に日本語の字幕が表示され,本場の雰囲気(?)を損なうことなくゲームに没頭できるのだ。

画面は一般的なスタイルだが……
 ゲーム画面を見てもらえば分かるのだが,ゲームの視点は,一般的なリアルタイムストラテジーゲームで多く採用されているクォータービュー視点であり,操作感覚なども日本で人気のAoEシリーズとそう変わらないものとなっている。
 こう書いてしまうと,FoDが既存の人気シリーズの単なる模倣だと勘違いされてしまいそうだが,この作品には独特の色を感じさせるユニークなシステムが数多く搭載されている。特徴的なそれらのシステムを,これから一つひとつ解説していくので,ほかのゲームとの違いをぜひ感じ取ってほしい。

"リアルタイム"モノに珍しく,戦略的要素が多い

 ゲームが始まると,プレイヤーは広いマップに点在する「城」の一つを与えられ,それを本拠地としながら富国強兵にいそしむこととなる。
 FoDの特徴的なシステムは,すでにマップの作りに表れている。FoDのマップは,城とその周辺を取り巻く"城内マップ"と,広大な地域を表す"地域マップ"2段階構造になっているのだ。つまり,地域マップを歩くユニットが,そこに表示されている「城」の中に入っていくと,そのユニットは地域マップから城内マップへと移動していくという仕組み。これにより局地的な戦いである「攻城戦」と,比較的広い地域で展開される「野戦」の二つを同時に再現できるようになっているのだ。 「なんだか複雑そう」と思う読者もいるかもしれない。しかし,画面下にある二つのミニマップを使うことで,ストレスなく画面の切り替えと戦況の把握が行えるので,そのあたりは安心して大丈夫だ。

資源と生産はちょっと特殊
 資源と生産のシステムについても触れていこう。
 FoDで使用される資源は「穀物」「食肉」「木材」「鉄」「食物」「酒」そして「黄金」の全7種類。「黄金」以外の資源は,生産ユニットである「人夫」に作業をさせることで集められるのだが,「黄金」は定期的に徴収される「税金」によって得ることができる。「税金」は支配する都市とその人口が多ければ多いほど増え,またプレイヤーが設定できる「税率」によっても左右される。「税率」を高く設定すれば当然収益は増えるが,「税率」が高いと民衆の心がどんどん離れていってしまうので注意が必要だ。
 扱う資源の種類の多さから想像できるように,FoDの内政はほかの同タイプのゲームに比べて少し複雑。AoEシリーズなどと比較すると,より"箱庭色"と"戦略性"を高めた内容となっているのだ。

補給線を断たれるな!
 さて。資源の種類を見て「おや?」と感じた読者はいるだろうか。「穀物」「食肉」「食物」「酒」……なんと,食べ物関連だけで資源の種類の過半数を占めているのだ。
 これは何か意味があるに違いない!と必然的に思考が進んでしまうのが人の常。そして実際,まさしくこれには重要な意味があったりする。「食物」「酒」は"ユニットを維持するため"の資源であり,このゲームには「補給」や「兵站」の概念があるのだ。
 各ユニットには「体力」という項目が設定されている。これは,自分の支配下にある城壁の内側にいるときは消費しないのだが,一度城壁の外へ出てしまうと,「体力」の数値はどんどん低下してしまう。つまりは,兵士の疲労度のようなものなのだが,これを回復するために消耗するのが「食物」と「酒」なのである。要するに,兵士は食べ物を食べなければ満足に戦えないし,また食料を確保していないと軍隊を維持することさえできない。うまく前線の兵士を飢えさせないよう,「食物」などの輸送に気を配らないといけないのだ。
 従来の同系列のゲームで納得できなかった硬派なプレイヤーにとっては(いないか),このあたり,非常に興味をそそられるシステムではないだろうか? ユニットに対する補給の概念というのは,今までのどのリアルタイムストラテジーにもなかったものだ。

あの将軍たちが戦場を駆け巡る

 三國志といえば,個性豊かな武将たちが大きな魅力の一つである。FoDでも魅力ある武将たちが数多く登場し,権威ある役職につけたり戦闘の指揮をとらせたりと,さまざまな用途で用いることができる。
 武将たちは,当然普通のユニットとして扱えるが,普通のユニットとしての能力のほかにも「武力」や「智力」などといったパラメータが存在し,固有の特殊能力を持っているなど,ただ戦って死んでいくだけの扱いではない重要な要素として位置づけられている。武将たちは大事に運用して成長させていくことで(レベルアップもするのだ),戦略的な影響力を発揮する場合すらあるのだ。
 武将の登用は,城内に「旅館」を建てることで可能になる。「旅館」には定期的に武将が訪れ,その中から気に入った武将を選んでいく。ついつい有名な武将まで待ってみたくなること必至だ。

単なる"リアルタイム"の枠にはとどまらない

 最後に大まかな概要を少し説明しておこう。シングルでは,「劉備」「曹操」「孫権」のいずれかを選べ,それぞれで史実をベースとしたシナリオが展開される。当然,ゲーム中には「関羽」「張飛」といった武将たちも登場し,それらを操作して各シナリオを攻略していくのだ。
 前述のとおりFoDは戦略的な要素を数多く含んでおり,リアルタイムストラテジーとしては,ゆっくり腰を据えて楽しむ内容となっている。「リアルタイムだと忙しいからなぁ」というプレイヤーにもぜひ挑戦してみてほしい。ちなみにマルチプレイは最大8人まで参加することが可能で,それぞれが城を一つ持った状態で開始される。自国がそれぞれ堅い城壁で守られているので,ゲーム開始早々に死んでしまうことはなく,じっくりと構えて戦うことができる。

 見た目とは裏腹に特徴的なシステムが多い今作。単なる真似ゲーではないことは確かである。追ってバランスなどにも触れていくのでお楽しみに。


■価格:8800円(4月発売予定)
■問い合わせ先:アイドス・インタラクティブ 電052-775-8380
■動作環境(予定):Windows 9x/Me,Pentium/166MHz以上(PentiumII/233MHz以上推奨),メモリ32MB以上
(C) Copyright Eidos Interactive Ltd 2000.