FREX-GPキットフルセット
Microsoft SideWinder Force Feedback Wheel（以下FFBW）のアドオンキットである「FREX-GPキットフルセット」が発売された。「ホイールのアドオンキットってなんじゃい？」と思うかもしれないが，簡単にいえば改造パーツである。何とFFBWにF1のステアリング（本物！）を取り付け，ペダル部に関しては全く別物のようになってしまう。今までこんな改造パーツはあっただろうか……。このFREX-GPの価格は5万6800円だが，実はFFBWの価格は含まれていない。つまり，FFBWを持っていない人が欲しいと思ったとき，合計で8万近くかかってしまうことになる。しかもキット販売であるため，FFBWの分解/FREX-GPの取り付けは，自分で行わなくてはならないのだ。これほどの手間をかける5万6800円を，読者諸兄がどのように判断するか非常に興味深いところだ。 高いだけのことはある 
まずステアリング部だが，MOMO製F1レーシングステアリングとなる。こんなもの，まず普通はお目にかかれない。グリップは全てバックスキンが貼られていて，独特の形をしたステアリングが一段と映える。ステアリング中央部にはカーボン材で飾られたボタン郡が配置され，いやが応にもF1のコクピットの雰囲気を醸し出すという次第。ステアリング背面に配置されるシフトペダルも大型のアルミ板に置き換えられ，心地良いシフトチェンジを約束してくれる。握ったときのホールド感も，ゲーム中に強い"Force Feedback"を受けても平然と握っていられるほどだ。 そして最も凄いのはペダル部。ペダル部は大部分がアルミ板で構成され，剛性面，耐久面も大幅に強化される。余りにも変わっており，FFBWから流用される部品は，ケーブル，とセンサーのみである。全くの別物。組み上がったペダル部を見たときは正にF1のコクピット内部を連想させることになるだろう。 
しかもただ見かけが凄いだけではない。「ペダル自体の設定」が，かなり自在にできるのだ。これはゲーマーにとっても純粋に嬉しい。項目も多岐に渡り，ペダルのストローク幅，角度，バネの強さ，遊び幅などを，使用者の好みに応じてフレキシブルに調整できる。FFBWでは調整がほとんどできないので，もし使いづらいと感じてもそのまま使い続けるしかないが，FREX-GPではそんな我慢を強いられることはないのだ。ちなみにこの機能は，FFBW自体の欠点ともいえる「分解能の低さ」をもカバーする結果になっている。 PCの前に座ってステアをしっかり握り，ペダルを踏み込んだときにFREX-GPの本当の良さが分かるのかもしれない。確かに安くないし（というか高い），基本的にはFFBWであるというのも躊躇させる要因ではある。しかし，文句は買ってから言え！ といいたくなる逸品。レースマニアなら，マシン1台分ぐらいの価値はあると断言できるだろう。 
がしかし，一つだけ苦情を。この説明書はあんまりだと思う。これを見て，どうやって作れというのだろう。FFBWのバラしかたは書いてはあるものの，とてもじゃないが詳細なものとはいえないし，どのパーツをどこにどうやって流用して，どういう風に組み上げているかを理解するまでに3日ぐらいかかりそうだ。2，3時間で組み上げるのは，限りなく無理に近い。ゆっくりのんびり最強のステアリングシステムを組むのもワクワクして楽しいが，ここは一つ，高くてもいいから完成キットも売ってほしかった。「じゃあ買うのか？」と言われると，返答に窮してしまうのだが……。そこ以外には何の不満もないだけに残念だ。
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