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F1チャンピオンシップ シーズン2000 日本語版
Text by UHAUHA
22nd Apr.2001

クリックすると拡大します  世界最高峰のモータースポーツといっても過言ではないF1。PCやコンシューマを含めてF1を扱ったタイトルには相当数が発売されているが,ゲーム性重視とシミュレーション性重視の,大きく二つに分類される。"実在"するものがあるゲームジャンルというものは,挙動の違いなどプレイヤーの好みによって評価が大きく違ってくるところで,選択肢が非常に多く用意されているジャンルでもある。
 今回紹介するエレクトロニック・アーツ・スクウェア「F1チャンピオンシップ シーズン 2000」(以下,F1CS)は,F1に参戦している"ベネトン・プレイライフ"の協力を得て2000年シーズンを忠実に再現した,シミュレーション重視のドライブゲームだ。実際にF1で走っているチームが協力しているとなれば,リアルさはお墨付きといってもいいだろう。もちろんFIA公認だ。
 レースゲームファンならご存じだろうが,エレクトロニック・アーツ・スクウェアからは「F1 2000」というタイトルが2000年6月に発売されている。同じ2000年シーズンを扱ったタイトルが2本でているということに疑問を感じる人もいると思うが,F1CSは"F1 2000の機能大幅Up版"と考えてほしい。ゲームエンジン部分は基本的に同じものだが,

・2000年シーズンの天候データでレースを楽しめる
・天候に「雨」が追加された
・「スキルトレーニング」モードが搭載された

の3点が大きく異なっている。シーズンが終わってからでなければ得られないデータが追加されているので,"シミュレートする"という点ではF1 2000を凌いでいるのだ。

初心者でも分かりやすい「スキルトレーニング」機能
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  F1CSには,サーキットを選んで練習走行が可能な「テストデー」,手軽に1レースを楽しむ「クイックレース」,レースウィーク(テスト走行,予選,練習走行,決勝)を公式ルールに基づいてプレイする「グランプリ」,2000年シーズンのレースカレンダーどおりに全17戦を戦う「チャンピオンシップ」,そして最大8人のマルチプレイが楽しめる「マルチプレイヤー」の5種類のゲームモードが用意されている。
 さらに,(ゲームではないが)F1CSで追加された機能の一つである「スキルトレーニング」という訓練用のタンデムマシンを使ってレッスンを受けることができるモード(いわゆるチュートリアル)がある。教官の模範走行を見たあとに実際に自分でマシンを走らせると,金賞から銅賞までの結果が表示され,次のレッスンを受けるためには銅賞以上を取る必要があるわけだ(最近のレースゲームによく見かける展開)。このモードではマシンのセッティングが一切できないので,金賞を取るには極限に近い走りが求められるが,レッスンの直前にレーシングライン,ブレーキングポイント,加速ポイントなどが表示されるので,それらを参考に走りを煮詰めていけば必ずクリアできる。
 特徴のある3コースを使ってさまざまなレッスンを受けることになるが,無事終了できれば,自然にマシンを速く走らせるコツが身に付いているはずだ。

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クラッシュでダメージを負った左フロントタイヤが,ブレて回転している オプション設定は非常に充実しているといえる トレーニングモードでは,模範走行の後に実際にテストを受けることになる ウェットレースでは路面にマシンや風景が映り込み,濡れている感じをさらに強くしている

非常にリアルにシミュレートされたドライブモデル
クリックすると拡大します  ドライブモデルについては,シミュレータの名にふさわしくリアルに再現されている。画面からタイヤの接地感をつかめるのは,非常に素晴らしいところだ。限界を超えた速度でのアンダーステアや,高速コーナーでバランスを崩したときのスピンの感じなど,緻密に計算されシミュレートされているのが分かる瞬間である。マシンセットアップに関しても,セッティングできる項目が非常に多く用意されていて,さらにそれぞれを細かく設定することも可能。繰り返しセッティングをして,自分に合ったセットアップを出してタイムアタックやレースに挑戦したい。
 これは別にF1CSだけでなくF1 2000からの特徴でもあるが,クラッシュ時のマシンダメージがかなりリアルに再現されている。特にタイヤダメージは素晴らしいデキ。走行距離に応じてタイヤのグリップ力が低下するのはもちろんのこと,ダメージによってマシンの挙動にはっきりと変化を起こすのだ。ほかのマシンやウォールに接触した場合などマシン本体にダメージを受けた場合には,タイヤが本来の回転をしていない(ブレて回転している)ことが分かるのである。
 リアタイヤやサスペンションにトラブルを起こせば対角線のフロントタイヤが浮いてしまい,直線でもタイヤが接地せずに回ったり回らなかったりする。この部分は,ほかの同じジャンルのタイトルでは見られない演出だ。当然,緻密に計算されてマシン挙動にも影響が出てくる。

快適にプレイできるように改善されたポイント
クリックすると拡大します  前作F1 2000は,当時のハイスペックマシンを用いてもスタート時などではフレームレートの低下が顕著で,動作がカクカクする現象が起きていた。いうまでもないことだが,これはプレイに支障をきたすだけでなく,プレイヤーのテンションを下げる要因の一つ。解決策として解像度やディテールをプレイヤーのPCに見合った設定まで落とさなければならず,快適にプレイする代わりに解像度やリアルさが失われてしまったのだ。
 しかしF1CSではパフォーマンスが改善されたようだ。比較的軽く動作するようになり,さらにテクスチャやサーキットレイアウトなどにも細かな修正が加えられた。まぁ動作が軽くなったとはいうものの,やはり快適にプレイするには推奨スペック以上のマシンは用意したい。ちなみに筆者が使用しているマシン(Pentium3/1GHz+GeForce2 Ultra)では,グラフィックスオプションを最大にした状態でも快適にプレイできていた。これでカクカクしていたら大問題なので,あまり参考にはならないのだが……。  一つ残念に思ったのが,ライバルマシン(AIカー)の挙動に関してだ。F1CSでAIカーのパフォーマンスについても強化されたというが,まだまだ人間的な動きはしてはくれない。難易度設定で"強さ"と"攻撃性"の調整は可能だが,追突してきたり,スピンしているところを無理やり押し出して抜いていこうとしたりするなど,まだまだ煮詰めるところがあるというのが正直なところ。これは"レースゲーム全般"においての永遠のテーマとなってしまうので,本作がどうのこうのというわけでもないのだが……。

 F1CSは難易度や動作に関するオプション設定が充実し,非常に幅広い層に受け入れられるような配慮が随所に見られる。アシスト機能(シミュレーション性とゲーム性のバランスを変更する機能)にある項目のほとんどを有効にすれば,デフォルトのセッティングで走るだけでも十分楽しめる。逆に全てのアシスト機能を外してセッティングを煮詰め,マシンを操る楽しさや難しさを味わうこともできる。
 リアルに再現されたマシン挙動やサーキット,臨場感溢れるサウンドやエフェクト,そして充実したオプション。土台は十分といえるほど揃っている。その土台で,どう楽しむのかはプレイヤー次第だ。ドライブ系ははじめてという人から,コアなプレイヤーまでぜひプレイしてもらいたいタイトルだ!

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スパ・フランコルシャンの有名なコーナー"オー・ルージュ" ウェットレースでは,前を走るマシンからの水しぶきで視界が悪くなる マシンセットアップでは,レースでの搭載ガソリン量やピットインの回数などを設定できる 勾配や細かいバンプなどのサーキットの特徴を忠実に再現している


■発売元:エレクトロニック・アーツ・スクウェア
■価格: 5980円
■問い合わせ先:エレクトロニック・アーツ・スクウェア TEL 03-5436-6499
■動作環境:Windows 9x/Me,PentiumII/350MHz以上,メモリ64MB以上,空きHDD容量350MB以上
■英語版デモ(45.8MB):http://www.3dfiles.com/games/f1championshipseason2000.shtml

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