F1 2001 完全日本語版

Text by UHAUHA
12th Feb.2002

F1 200xシリーズ最新作が登場

新たなグラフィックエンジンを搭載したということもあり,リプレイの美しさもF1CSを完全に上回っている

 エレクトロニック・アーツ・スクウェアから先日発売されたF1シミュレーションゲーム「F1 2001」。「F1 2000」「F1チャンピオンシップシーズン2000」(以下F1CS)と続いたシリーズの最新作だ。2001年の"Formula One World Championship"を基に,マシン,ドライバー,コース,ルールに至るまで忠実に再現されている。当然,FIA公認だ。変な名前のドライバーがいるなんてことはないので,その点はご心配なく。

ドライビングスクールで腕を磨け

 用意されたゲームモードは,手軽に他車を交えたレースを楽しめる「クイックレース」,ひとつのグランプリのレースウィークを楽しめる「グランプリ」,2001年レースカレンダーでシーズンを通して戦う「チャンピオンシップ」,練習走行やマシン調整に便利な「テストデー」,TCP/IPやLANで対戦可能な「マルチプレイヤー」など,F1CSから大きな変更はないようだ。
 F1CSには「スキルトレーニング」というゲームモードがあったが,F1 2001では「ドライビングスクール」となっている。このモードでは,練習用の二人乗り,三人乗り(!)マシンを使って七つのサーキットを走ることになる。各サーキットのセクター1,セクター2,セクター3,トータルラップを走り,タイムに応じて"ゴールドスター" "シルバースター" "ブロンズスター"を得ることができるのだ。F1CSのスキルトレーニングと同様に感じるが,こちらはコース攻略的な意味合いが強く,F1シム初心者向けにライン取りやブレーキングポイントなどを学べるモードだといえる。ただし,上級者でもそう簡単にゴールドスターを取れるほど簡単ではないということを付け加えておこう。

もっと盛り上がってもよさそうなマルチプレイ

 多くの人が気になるであろうマルチプレイヤーモードだが,残念ながら国内では盛んに行われているとはいいがたいのが現状だ。筆者もマルチプレイを試してみたが,日本版発売直後だったためか,対戦相手を見つけるのに苦労してしまった。また,forGamer.net編集部にマルチプレイを楽しむスタッフがいたので混ぜてもらうことにしたが,今度は筆者のPCのせいかケーブル回線の影響なのか,走り出すとゲームから落ちるという症状が出た。そのため筆者は現時点でマルチプレイを未体験のままという悲しい状況だが,ほかのメンツは全く問題なくプレイできたようなので,いろいろ聞いた情報を基にマルチプレイについて簡単に書いておく。なお,おそらくはソフトの問題でなく筆者の環境の問題なので,上記の症状に関しては原因が判明次第この記事に追加することを約束しておこう。
 F1 2001では,ホストが起動したあと予選までは出入りが自由なため,人数が集まるまでチャットや練習走行を楽しむことができる。相手に煽られて熱くなった状態でプレイが始まるというのも,タイムに影響が出たりして面白そうである。また回線状況にもよるが,3〜5人程度であれば多少のワープ等はあるものの,比較的安定したマルチプレイが楽しめるようだ。F1 2001では細かくアシスタントヘルプを設定できるので,それをうまく使うことによって,初心者でも上級者に食らいついていくことが可能になっている。時間さえ許せば,レースディスタンスを長めにとり,ピット戦略も使ったレースを楽しむのもいいだろう。

AIカーもたまにミスをする。コーナー立ち上がりでフラついたり,AIカー同士でクラッシュしたりと人間臭い 慣れるまでは難易度設定で無敵モードにしておくといい モーションキャプチャーによるピットクルー。ピットイン時には一人ひとりがリアルな動きで作業をこなす様を見ることができる

画面から伝わるマシンの挙動が見事!

スタート直後の大混戦。大抵の場合,プレイヤーの無茶なドライブが原因でクラッシュしてしまうことが多い

 ゲームモード以外でもF1CSから大きく変更された点は少なく,「2001年のデータに変わっただけ?」と思う人もいるかもしれない。しかし実際にプレイしてみると,ドライブゲームの命であるドライブモデルが一新されていることが分かる。「ダウンフォースでマシンを押さえてます!!」といった感じの路面への接地感などは,サスペンションやマシンの揺れの再現も手伝って見事に画面からマシンの状態が伝わってくる。特にオーバースピードでコーナーに入ったときのアンダーステア→グリップ回復時の挙動,下り勾配のあるシケインや縁石に乗り上げたりコース外にタイヤを落としたときのリアの抜ける感じなど,実際に車を乗り回している"走り屋傾向の人"には納得のいく挙動のはずだ。腕に自信のあるプレイヤーは,ぜひアシスタントヘルプをすべてオフにした状態で走らせてみてほしい。F1の難しさというものが十分に味わえるだろう。
 またAIカーの動きは,過去のF1シムに比べてずいぶん人間臭くなった。ストレートではスリップストリームを巧みに使いパスしてくるし,左右にマシンを揺すりながらプレッシャーを与えてくる。コーナーでもアウトからカブせてきたり,インに飛び込んできたりと,プレイしていて思わずニヤリとしてしまうシーンが多い。ありがちな,AIカーが平気で追突してくるということも少なく,個人的にはF1 2001のドライブモデル&AIカーの出来栄えは,かなりいいところまで来たという印象を受けた。

ローカライズ選択でパッチも心配なし!?

 F1 2001には,すでにいくつかのバグが報告されている。例えば古いDetonatorにしか対応しておらず,比較的新しいドライバを使うとフレームレートの減少や表示上の不具合などが見られた。しかし先日リリースされた海外版の修正パッチ(β版)を導入することで,新しいDetonator対応,細かいバグの修正,そしてForce Feedback対応(パッチ導入前はFFB非対応)と,プレイヤーとしてはさまざまな恩恵に授かれる。筆者はAthlonXP 1900+,GeForce3(Detonator 23.12),メモリ512MB,Windows Meという環境でプレイしたが,1024×768・16ビットカラー(32ビットカラーではバックミラーが映らなかった)ですべてのグラフィックスオプションを最大にして,終始快適にプレイできた。無理に解像度を上げるよりも,低解像度で表示できるものすべてを表示したほうが快適にプレイできるだろう。
 ところで国内で販売されているF1 2001は,インストール時に

  • 完全日本語版
  • 日本語吹き替え版
  • 日本語字幕版
  • 英語版

とローカライズレベルを選択することができる。気を付けて欲しいのは,完全日本語版か日本語字幕版をインストールしている場合は,パッチを当てるとメニューなどが一部文字化けしてしまう問題があること。もし今すぐパッチを導入するのであれば,一度F1 2001をアンインストールして(設定などは削除されない),そのあと日本語吹き替え版か英語版をインストールしてパッチを当ててほしい。完全日本語版でプレイできないのは残念だが,F1 2001を存分に楽しむのであれば,完全日本語版対応パッチがリリースされるまで,日本語吹き替え版あたりでプレイするのも悪くないだろう。

完全日本語版ではセッティング項目なども日本語化されている(完全日本語版なのだから当然だが) ドライビングスクールで使用されるOrange Arrows Asiatechの三人乗りマシン

Modでまったく違うゲームに大変身!!

 すでに国外版を入手しているプレイヤーの多くが,普通にプレイするのとは別にコンバートデータ(Mod)を使ってまた違うドライブゲームとして楽しんでいる。例えばYellow Garage(http://www.yellowgarage.com/)で公開されている「JGTC Mod」を導入することにより,登場マシンがF1ではなく,全日本GTカー選手権GT500クラスのマシンとなる。見た目,挙動,AIなども変わり,それこそ全然違うゲームに変身してしまうのだ。海外にも人気の高いFIA GT Modなどがあるので,Modに興味のある人,または作ってみたいと思っている人はYellow GarageやNETRACE(http://netrace.onweb21.com)などをチェックしておくことをお勧めする。

JGTC Modを導入すると,F1カーがGTカーへと変身する。当然,挙動も変更されているので,完全にGTカーのゲームなる。PCにはなかったGTカーだけに,嬉しい悲鳴をあげている人も多いのでは?

初心者から上級者まで楽しめる,お勧めF1シム

 F1 2001のウリのようなところを重点に書いてきたが,筆者としては,現在までに発売されたF1シミュレーション&ゲームの中では,一押しだ。アシスタントヘルプを設定することにより,アーケードからシミュレーションまでプレイヤーの力量に合わせた難度で楽しむことができ,今まで以上に現実味を帯びたマシン挙動,AIカーの走りなど,その完成度は非常に高い。少し大袈裟かもしれないが,F1 2001でF1シムは新たな進展を遂げたといってもよいだろう。
 実際の2001年シーズンはMichael Schumacher(ミハエル・シューマッハー)の独走で幕を閉じた感があるが,F1 2001で,違った2001年シーズンを楽しむのもいいかもしれない。気分転換にJGTCでプレイする……なんて一粒で何通りも楽しむことのできるF1 2001。ぜひたくさんの人にプレイしてもらいたい。

忠実にモデリングされたBMW Williams。ドライバーはもちろんRalf Schumacher(ラルフ・シューマッハー) 2001年シーズンは,あまりパッとしなかったWest McLaren MercedesのMika Hakkinen(ミカ・ハッキネン) メインとなるプレイ視点はコクピット,テレビカメラ,フロントノーズの3種

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■発売元:エレクトロニック・アーツ・スクウェア
■価格: 7980円
■問い合わせ先:エレクトロニック・アーツ・スクウェア TEL 03-5436-6499
■動作環境:Windows98/Me/XP,PentiumII/450MHz以上,メモリ64MB以上(128MB以上推奨,WindowsXPは192MB以上推奨),空きHDD容量100MB以上(550MB以上推奨),メモリ16MB以上のビデオカード

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