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コンバットミッション じっくりプレイできるシミュレーションって減ったよね 
最近のシミュレーションゲームの世界は，リアルタイムストラテジーの全盛期といっても過言ではない勢いで，多くの秀逸なタイトルがリリースされている。刻々と変化する戦場で微妙な戦況を瞬時に察知し，敵をうち破る……こういった戦場での緊張感を体験するには，リアルタイムストラテジーは非常に適しているジャンルだろう。とはいえ，そうした流行の反面，ボードゲームのようなじっくりと腰を落ち着けてプレイできるタイトルが減ってしまったのは残念でならない。「コンバットミッション」は，後者のじっくりと戦術を駆使できるタイプのシミュレーションである。 筆者は，この手のタイトルをプレイするのは久々であったせいか，なかなかに新鮮な気持ちでプレイできた。ゲームの舞台は1944〜1945年の西部戦線。ユーザーは連合軍かドイツ軍かのどちらかの立場でプレイすることになる。 シナリオは40種類以上が用意されており，ボリュームも十分。さらにゲームシステムも非常に分かりやすく，コマンド入力フェイズで各部隊に移動や攻撃などの指令を出しておき，実行フェイズは眺めるだけでOKといった感じだ。そして，ターンが終了すると，再びコマンド入力フェイズとなる。この"仕切り直し"があるため，あれよあれよという間に進行するリアルタイムストラテジーとは違い，のんびりと遊ぶことができる。ゲームのヤメ時がはっきりしているのは，連続してプレイする時間が取れないときにありがたい。 正直いって筆者はゲームをやり始めるとずっと遊んでしまう方なので，空き時間にちょっと3ターンだけ，なんて遊び方ができるのは嬉しいものだ。ちなみにESCキーを押すことで，瞬時にウィンドウが最小化できるようになっている。これ，不良サラリーマンにはお勧めの機能ですな（笑） データやディティールの細かさにおどろいた！ 
データ重視のコンバットシムは数あれど，「コンバットミッション」は，登場する兵器のディティールにこだわったタイトルとしても評価が高い。戦場に登場するユニットには，シャーマンやキングタイガーなど人気の高い戦車を中心に，メジャーからマイナーなモノまでが登場するようになっている。さらに同じタイガーでも形式番号の異なる複数種が存在しているという凝りようで，同型のタンクであっても2種類，3種類は用意されているのだ。この部分だけでも「なかなかやるな！」という印象であるのに，さらに装甲などのデータも恐ろしくリアルに再現している。普通，この手のゲームでは戦闘に関して攻撃側の武器の攻撃力と防御側の装甲を加味して，それに乱数を用いて決定するというのが一般的。ところが本作では，戦車の場合では，砲塔，車体の上部，下部，前面，側面，背面など細分化してデータ化されており，"砲弾"対"装甲"のシミュレーションを行なっている。 さらに戦車ごとの攻撃時間のズレも絶妙。なんと実行フェイズでは砲塔の回転速度の違いで，先に攻撃できる時もあるのだ。いやはや，恐れ入ったものである。これらの要素に加えて，パンサー初期型の防盾の設計ミスまで再現しているのを見るにつけ，「スゴイ！」を通り越して，あっけにとられてしまった。こりゃ，兵器マニアには，たまらんでしょう。 それから，個人的に嬉しかったのが軍服の再現性。私はマニアとまではしかないまでも軍服などをかなり持っており，冬場などにはドイツ軍のコートを着て外出することも多いが，ゲームの中に登場する兵士の服装は忠実に再現されている。同じドイツ兵であっても陸軍，親衛隊などでちゃんと異なっている点は拍手を送りたい。リアルを謳うタイトルはたくさんあるが，ここまで徹底しているタイトルはないのではないだろうか？ 新しい要素はないけれど…… コンバットミッションは，ボードゲームの流れを組むシミュレーションゲームである。とくに目新しいシステムや目を見張るような演出があるわけではないが，操作性のよさ，各ユニットに対する設定のこだわり，思考ルーチンなど，トータルバランスを考えると，よくできた作品だといえる。舞台設定が少々マニアックなのでユーザーを選んでしまうかもしれないが，戦術級のタイトルとしてはかなり完成度が高い部類に入るだろう。将棋やチェスのように思う存分，熟考してから次の一手を考える……ある意味，大人向けのシミュレーションといえそうだ。公式サイトには「戦車戦ファン歓喜感涙のゲーム」と記載されているが，まさにその通り！ ミッションの日本語訳も付属しているので，ぜひプレイしてもらいたい。
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