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コーリン・マクレー ラリー2 
Text by Masahiro Ogata(mog@yellowgarage.com)
20th Dec.2000

 ラリーの情報は地上波テレビ放送もほとんどなく,スポーツニュースで取り上げられることも少ない,日本では悲しいかなマイナーモータースポーツなのである。
 しかしPCゲームの世界では話は別! Colin McRae Rally(コーリン・マクレー ラリー)は超メジャー。'98年登場の前作から早2年,筆者も含め,待ちこがれた人も多いのではないだろうか。
 当サイトを筆頭にYellow Garageなどで先行して盛り上がっていたが,ついにイマジニアから「コーリン・マクレー ラリー2」が発売される(12月29日)。

 本誌入稿ギリギリのタイミングで「ファイナルβ版」が入手できたので,レビューっぽくザッと特徴を紹介しておきたい。特に"クルマ"が好きでなくても,買って絶対に損はないはず!

グラフィックス
 グラフィックスは,10月に先行発売されたプレステ版より圧倒的に勝るといっていいだろう。比較すること自体に無意味といわれればそのとおりなのだが……。
 下の画面は,PC版がPeugeot206(左),プレステ版がFord Focus(右)。ディテールの違いが見て取れるだろう。今回は比較のため,全く同一地点で比べられるようにDV録画し,640×480ドットで撮影したムービーからキャプチャしている。PC版にも関わらず荒く見えるのは,そのせいだ。PC版で解像度を上げていくと,その差はさらに大きなものになる。
 ちなみに一つだけ注意してもらいたいのだが,本記事での画面写真は,ほとんどすべて粗い画面である。これぐらいクオリティを落とせば,ちょっと昔のマシンでも,さほど問題なくプレイできるだろう。また,対戦などでは特に如実に差が出るので,本気で遊ぶなら,クオリティをキッチリ落としておくことをお勧めする。もったいないけど……。
 高解像度&ハイクオリティの原寸画像は,当サイトトップページ最上段の特別記事でぜひ見てもらいたい。Voodoo5でFSAA ONの美麗な画面が多数展示されているし,リプレイムービーなども置いてある(「ここ」「ここ」など)。また,そのクオリティがすぐに分かるように,筆者も自前でムービーを作成した。「ここ」にある17.04MBのムービーを見てもらえれば,その美しさが分かるに違いない。

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PC版:Peugeot206
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プレステ版:Ford Focus

セッティング
クリックすると拡大します 「グランプリ3」や「NASCAR Racingシリーズ」のように,すさまじく多岐に渡っている詳細なセッティングで,どこをいじっていいのか分からなくなるということはない。適度な複雑さだといえよう。
 項目は,タイア,ギアボックス,サスペンション,パワーレシオ,ブレーキバイアス,ブレーキパワー,ステアリングの7項目で11段階。では大ざっぱなのかというとそうではない。サスを一つ分固くするだけで微妙なコントロールの違いが体感できるし,タイムにも差が出てくる。セッティングが出来ていなければまともにアクセルを踏み込めず,クルマは自分の意とは違う方向を向いてしまうことになる。煮詰めていくと,コーナー手前から全開ドリフトでコースレコードを連発する。この辺がこのゲームの一番肝心なところなのだ。

※前作では,スノータイヤも一般の路面と同じトレッドなっている。スノータイヤは細くないとおかしい,という突っ込みが各所で見受けられたが,それを受けてかどうか,本作ではスノータイヤのトレッドはちゃんと細くなっている

ステージ
クリックすると拡大します  8か国(Finland/Greece/France/Sweden/Australia/Kenya/Italy/UK),10ステージ(ノービスは4ステージから)+SSS(スーパースペシャルステージ:SSSの設定のない国もある)という多彩なコース構成となる。
 ターマック(舗装路)となるFranceとItalyはリズム良く加減速しなければコース脇のガードレールあるいは壁の餌食になるし,グラベル(砂利道)ではドリフトのテクニック次第でタイムが大きく変わる。またSwedenの雪道/アイスバーンは,ほかのステージとは全くクルマの挙動が違い,微妙なアクセルワークを必要とする。ちなみに,少し話題になった「コクピット視点」は,ラリーモードにはキチンと存在した。よかった(アーケードモードにはないが)。

 
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RallyモードとArcadeモード
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  Rallyモードは,実際のWRCのようにスペシャルステージのタイムを1台づつ競うもので,朝,昼,夕方,夜と時間の経過に合わせてステージの顔も変わっていく。
 特にゲーム中に説明はないが,SS1〜SS4がLEG1で,朝から夕方へと時間が経過している。同様にSS5〜SS8がLEG2となる。
 Arcadeモードは"WRCに詳しくない人向けのオマケ"と考えていたが,プレイしてみるとなかなか面白い。広めのコースで前走車のミスを見逃さずインをつく快感,これはCodemastersがセガラリー2のコンセプトで作るとこうなりますという回答なのかなぁ,と考えると納得。

デバイス
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  • フォースフィードバックホイール(Logitech Wingman Formula Force)
     始めはForceの"ダイレクト感"がない,と思ったが,原因はフォースの設定がデフォルトで50%になっていたため。100%にすると,はっきりと反応を示した。
     Forceはガコンガコンと派手に演出されると疲れるので,そういう意味では控えめながらもいい味付け。特に雪道でスコンと抜ける感触やクルマの揺り返しが楽しい。
  • ネジコン
     プレステのネジコン。ヘビープレイヤーに好まれているように,このデバイスでのプレイはクルマの挙動を細かく制御できる。"ネジる"という仕組みに好き嫌いが分かれるのも事実だが,最適なデバイスの一つだといえよう。3軸で対応している。
  • ゲームパッド
     パッドの使用でもプレイしやすいように工夫されている。元来デジタルであるパッドの場合,ステアリングを右に入れると100%右にハンドルが切れるものだが,右に切った時間の長さが短ければ軽く,長ければフルステアとなるようになっており,自然なドライブが楽しめる。 サウンド
     ホンモノのWRCを目の前で見てきた筆者としては,サウンドはかなり気になる部分である。主人公格(?)であるFord Focusのサウンドは,金属機械的な音で良くできているといえる。
     内部のファイルを見てみるとクルマごとに用意されているようなので三菱ランサーの耳をつんざくようなミスファイアリングシステムのパキパキサウンドが聞きたかったのだが,控えめな渋めに収まってしまってちょっと残念。
     ちなみに「ここ」にUpしているファイルは,筆者が撮ってきた実録の"WRCランエボサウンド"。音だけで1.84MBというサイズだが,ぜひ聞いてみてほしい。やかましいことやかましいこと……。

    ネットワーク対戦
    クリックすると拡大します  CodemastersからCMN(Codemasters Multiplayer Network)が発表され,ほぼ同時期に発売のレースゲーム「INSANE」がCMNに対応していることから,本作もCMN対応,そして対戦重視型タイトルになるかとの期待がかかった。  しかしCMN対応は残念ながら原稿執筆時点(12月15日)では見送られており,一般のタイトルと同じようにホストのIPを指定するタイプになっている。
     ホストのマシンと回線が高速であればあるほど快適な対戦ができる(とりわけレース系はシビアだ)という条件付きだが,プレステ版にはない機能なので,ぜひとも体験してみてほしい。

    総括
    「コーリン・マクレー ラリー2」は,各項目においてそのさじ加減,バランスが絶妙で,初心者からヘビープレイヤーまでを納得させる出来映えだといえる。自信を持ってお勧めできる作品だ。
     forGamer.netには,各種リプレイムービーなどがUpされているので,未体験の人は,ぜひそれも見てみてほしい。追って詳細な情報も次々と掲載する予定なので乞うご期待。

    ■発売元:イマジニア
    ■価格: 8800円(12月29日発売)
    ■問い合わせ先:イマジニア
      TEL 03-3343-8900
    ■動作環境:Windows 95/98/Me,PentiumII/233MHz以上(PentiumIII/500MHz以上推奨),メモリ32MB以上(128MB以上推奨),空きHDD容量5MB以上(650MB以上推奨),ネットワーク対戦は最大8人まで,Force Feedback対応
    ■英語版デモ(36MB):http://www.3dfiles.com/games/colinmcraerally20.shtml
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