バトルフィールド1942Texr by 川村ハルト 最大最強の第二次世界大戦FPS
大人数のマルチプレイ大好き! というFPSファンにとっては,久々のスーパージャンボタイトルではないだろうか。「バトルフィールド1942」は,第二次世界大戦の主要な戦いをまるごと包括したような,史実をテーマにした大規模コンバットFPSだ。ストーリー仕立ての一本道FPSとはまったく異なり,一つの巨大な戦場内を自由に戦車が走り,戦闘機が宙を舞い,大勢の兵士たちが四方八方で撃ちまくるという何でもアリのFPSなのだ。2002年のE3で,見事Best of Action賞を受賞した作品である。 第二次世界大戦をテーマにしたFPSは少なくないが,この作品の特徴は最大64人同時対戦というダイナミックなマルチプレイに加えて,当時活躍した30種類以上の兵器(航空機,戦車,戦艦,潜水艦など)に誰でも気軽に搭乗して,戦闘に参加できる点だ。この要素を本格的に採り込んだ作品といえば「TRIBES」「オペレーションフラッシュポイント」「コマンド&コンカー
レネゲード」など,あるにはあるものの数は少なく,貴重な存在だ。兵器についてはのちほど語ろう。
参戦5か国,16の戦場,35種類の搭乗可能兵器
広大な戦場で,大勢の兵士が2組に分かれて戦うチームバトルは,マルチプレイでは今やすっかり当たり前のスタイル。このゲームでは,どのステージも必ず"枢軸軍vs.連合軍"のチームバトルとなる。 登場するのはアメリカ,イギリス,ソ連,ドイツ,日本の5か国。舞台となるのはロンメル将軍が伝説的な采配を振るった北アフリカ,ドイツ敗北の一因となる極寒の東ヨーロッパ,ノルマンディからベルリン陥落を目指す西ヨーロッパ,そして日本とアメリカが死闘を繰り広げた太平洋だ。 車両,航空機,艦船といった兵器はマップ上に無人の状態で配備されている。プレイヤーはこれらのすべてに搭乗可能だ。敵の戦車や航空機も,無人であれば奪って操縦できる(艦船だけは敵から奪えない)。こういった搭乗兵器の威力は絶大なので,兵器の多いフィールドでは兵器同士の戦闘が中心となっていくのは間違いない。
シングルにはキャンペーンもインスタントバトルもあるが
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航空機の一人称視点。この邪魔なコックピットは消すことも可能 |
ゲーム内容は,シングルプレイもマルチプレイもほぼ同じといっていいだろう。というのも元々マルチに焦点を定めた作品らしく,シングルは"CPUを相手にマルチプレイ感覚で楽しめる"といったタイプのもの。キャンペーンモードもほぼ同様だ。
そのため「バトルフィールド1942」は,基本的にマルチプレイ用ゲームだと考えたほうがいいだろう。シングルとマルチの,今後どちらがよりオマケ的な存在となっていくかは,FPSファンとしては興味深くもあり不安なところでもある(両者の住み分けが確立されるのが最も望ましいのだが)。
このゲームの勝敗を決する二大要因は,"チケット"と"拠点"だ。"チケット"とは,両軍の残り戦力を表わす数値。ゲームスタート時に両軍のチケット数が定められており,兵士が死亡したり拠点を相手に奪われたりすることで数値は減少していく。チケット数が残っているうちは死亡した兵士の復活(Respawn)も可能だが,どちらかのチケットが0になった時点でゲームは終了。つまり一人で勝手に突撃して死にまくるようなプレイヤーは,味方にとって実害を与えかねない。前線で孤立した兵士は後続部隊の到着を待つ,などの配慮を行なわなければならないだろう。
兵士は5種類の中から好きに選べる。機関銃を持つ"突撃兵",狙撃銃を持ち砲撃隊への要請が可能な"偵察兵",サブマシンガンで武装し味方兵の体力を回復できる"衛生兵",ロケットランチャーを携帯して敵車両を攻撃できる"対戦車兵",ライフルで武装し,地雷や爆弾の敷設/撤去や車両の修理が可能な"工兵"がいる。
機関銃,軽機関銃,小銃をこう大胆に振り分けたというのは思い切っているが,これまでのFPSがマルチプレイで抱えてきた問題のいくつかは,この作品も同様に抱えることになると思われる。どう考えたって,広大な屋外戦においては狙撃が有効極まりないのである。その結果,例えばオマハビーチでは海岸に向けて設置されたMG42に,迎え撃つ側のドイツ兵が(連合軍のスナイプのため)恐くて近づくことすらできないという,「ウルフェンシュタイン」や「メダル・オブ・オナー」などで見たような事態が起こってしまう。
また前線に飛び出すタイプのプレイヤーは,敵戦車との対決は避けられない。戦車は手榴弾や地雷でも破壊できるが,対人と対車両を同時に対処するつもりならロケットしかない。自然と,一度戦車に殺されたプレイヤーは対戦車兵を選んでしまう。弾薬が少なくても,死体が落とした武器をまた奪えばいいのだから気にならないのである。
ただしこういった問題は,「バトルフィールド1942」においては些事のような気がするのだ。時代の再現を楽しむリアリズム重視の作品とも,純粋シューティングを楽しむ作品とも異なる,チーム戦術を楽しむスポーツ的な作品のように感じられる。
とにかく久々に待ち望まれた大型タイトルであり,それに応えるのに十分な実力を見せてくれる。ストーリーモード的なものはないが,そこはマルチプレイ用タイトルと割り切ってしまったほうがいい。戦車や戦闘機が入り乱れる大規模なマルチプレイにこそ,この作品の意義があるのだ。
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■発売元:エレクトロニック・アーツ・スクウェア (C)2002 Digital Illusions CE AB. All rights reserved. Battlefield 1942 is a trademark of Digital Illusions CE AB. EA GAMES and the EA GAMES logo are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. EA GAMES_ is an Electronic Arts_ Brand. |