Back
アローン イン ザ ダーク〜新たなる悪夢〜(日本語マニュアル付)
Text by Seal
1st Aug.2001

あの恐怖が再び繰り返される

クリックすると拡大します  固定視点アクションアドベンチャーの始祖「アローン・イン・ザ・ダーク」は,1992年にリリースされた名作。ホラーを題材とし,固定視点という斬新なアイデアと明暗のコントラストによって生まれる,滲み出るようなゴシックホラーの恐怖感が魅力だった。そして2年後の1994年には続編となる「アローン・イン・ザ・ダーク2」が,さらにその翌年の1995年には3作めが相次いでリリースされた。固定視点による映画のワンシーンのような視覚効果はシリーズを重ねるごとに洗練され,ホラーファンにはたまらないこのジャンルの代表作となったのは,古いPCゲームファンならご承知のとおり。
 "アローンシリーズ"自体はそこでストップし,月日は流れて2001年。ついに4作めとなる「アローン イン ザ ダーク 〜新たなる悪夢〜」が登場した。グラフィックス面を大幅に改善し,モンスターの特徴付けをはっきりとさせることによって,昔の雰囲気を保ちつつ今通用するレベルの雰囲気を醸し出しているのが特徴だ。昔のファンには評価の分かれるところかもしれないし,比較的最近PCゲームを始めた人には「バイオのパクりじゃん」と思われるかもしれない。しかし,PC 3Dアクションアドベンチャーゲームの始祖として,あのおどろおどろしい雰囲気を,より美しくなったグラフィックスで描写しているのは評価できるといえよう。
 国内では,サイバーフロントから日本語マニュアル付き英語版がリリースされているが,完全日本語版の発売も予定されている。ゲーム中のセリフが音声のみとなっているので,ストーリーを深く把握したい人は完全日本語版でプレイしたいところだ。

恐怖感をあおる視覚効果は健在

 本作の主人公は,学者"アリーン・セドラック"と探偵"エドワード・カーンビー"の2人(カーンビーは別人のように美男子になっている)。有名な考古学者のオービッド・モートンによって盗まれた石版を取り戻すために,シャドーアイランドを訪れる冒険が今回のストーリーとなる。
 ゲームをスタートすると,どちらかの主人公を選択して冒険を進めていく。この主人公が2人というシステムはストーリー面に奥深さを出すだけでなく,プレイヤーからの視点を広げることにも繋がっている。主人公のどちらでゲームを開始しても,冒険途中で必ず相手との遭遇が用意されているので,冒険自体は一人で戦っていくが常にもう一人の存在を身近に感じられるようになっているのが面白い部分だ。
 本作のゲームシステムは,前述のとおり"バイオハザード系"というのが分かりやすいかもしれない。常に3人称視点で,どこかしらに置かれたカメラから主人公をポイントし,主人公の移動によってカメラアングルが逐次変化するというものだ。時には,庭を探索している主人公を屋敷の中から誰かが見ているという"第3者"の存在をプレイヤーが感じるようなアングルのこともあるし,1人称視点に近いアングルで主人公の視点から冒険している世界をリアルに感じることもある。ホラー映画のような緊張感が本作でも損なわれていないのは,"アローン"の名を継ぐものとしてさすがだといわざるを得ないだろう。

難易度は高い……かな?

クリックすると拡大します  基本的なゲームの流れは謎解きだが,あちらこちらからこの世のものとは思えない奇妙なモンスターが出現する。これらを倒しつつ進んでいくには,ゲーム中で入手するロケットランチャーやプラズマキャノンといった各種武器を使いこなさなければならない。
 またゲームの前半は古めかしい家具や薄暗い地下室などの屋敷内の捜索がメインとなり,そこではさびた鉄製のカギや古雑誌の切り抜きなどのアイテムが入手できる。”アローンシリーズ”共通のことだが,アイテムの使い場所や組み合わせなどのヒントをゲーム中に得ることは非常に少ない。すべての組み合わせを試しながら,使うべき場所をコツコツと探索するのが面白い部分の一つといえるだろう。
 戦闘は,デフォルトではCtrlキーに割り当てられている「構え」を行ってから,Spaceバーによる「銃を撃つ」というアクションの2段構成で行う。しかしゲーム中で拾うことのできる弾数は限られているので,無制限に撃ちまくるということはできない。つまり,ある程度のモンスターは倒さずに逃げる必要がでてくるわけだ。特に"アリーン"でゲームをスタートした場合は,最初に武器を何も所持していないので,武器の入手までは逃げ続けるテクニックが必要となる。
 所持アイテムを組み合わせたりアイテムの詳細データを見たりするインベントリー画面や,各種設定を変更するオプション画面は,コンシューマライクなものとなっている。インタフェース周りに関しても使用するキー数が非常に少ないので,ジョイパッドにキーアサインをすれば細かい操作が必要なシーンで重宝するだろう。

 ゲーム自体の難易度は比較的高い。謎に詰まってしまうことだけでなく,前述のように弾数不足でモンスターが倒せずにストーリーが進まないこともある。またセーブスロットが四つまでとなっているので,それもゲームの難易度を上げている一つの要因だ。そこまでコンシューマライクにしなくても……
 ストーリーは,難易度の高さという点を補ってあまり余るほどのデキで,一つの謎をクリアしたときには思わず歓喜の声を上げてしまうこともしばしばある。ホラーというジャンルに属する本作だが,流血シーンはほとんどない。モンスターは(一部を除いて)倒されると跡形もなく消滅するという設定になっているので,グロテスクというイメージを全く感じないのだ。むしろ精神的な恐怖を感じるサスペンス仕立てに近い。
 CD-ROM3枚組というボリュームなのでクリアには結構な時間が必要となるが,達成感は非常に大きいものとなる。ホラーアドベンチャーファンはもちろんのこと,難易度の高いゲームを攻略したい人にはぜひお勧めしたい1本だ。英語がやや厳しいかもしれないが……。

クリックすると拡大します クリックすると拡大します クリックすると拡大します クリックすると拡大します

■発売元:サイバーフロント
■価格: 8800円(日本語マニュアル付き英語版)
■問い合わせ先:サイバーフロント TEL 052-779-6549
■動作環境:Windows9x/Me/2000,PentiumII/300MHz以上,メモリ64MB以上,空きHDD容量:400MB以上
■英語版デモ(82.7MB):デモ版ダウンロード

(C) 2001 INFOGRAMS. Alone in the Dark is a trademark of INFOGRAMS. Developed by DARKWORKS,converted and adapted by SPIRALHOUSE Ltd. Uses Miles Sound System. (C) 1991-2001 by RAD Game Tools, Inc. Uses Bink Viedo. (C) 1997-2001 by RAD Game Tools, Inc. (C) 1998 CYBERFRONT Corporation. All rights reserved.