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ハンドレッド ソード
Text by Seal
3rd Jul.2001
クリックすると拡大します  セガから発売されている「ハンドレッドソード」は,オーソドックスなスタイルのゲームシステムを採用しながら,戦略性を前面に推しだしているのが魅力のリアルタイムストラテジーだ。
 本作は,2001年2月にDC版でリリースされたのがオリジナルとなる。3ヶ月あまりでPC版が発売されたことになるが,単なる移植ではなくふんだんに追加要素が盛り込まれているのがうれしいところだ。DC版からは,操作デバイスにマウスが使えるようになったことが最も大きな変更点。それに伴って,ユニットの選択を簡単に行えるようになるだけでなく,すばやくユニットを移動させられるようになっている。
 逆に残念な部分もある。それは解像度の変更がオプション画面でできない(定義ファイルを書き換えることで解像度変更が行えるが,ズームアップ表示されるのみ)こと。DC版ではコンシューマというプラットフォーム上仕方のないことだが,画面上に表示される範囲が狭く,ユニットを選択して移動先ポイントを指定するまでに時間がかかってしまったのだ。しかしPC版で解像度の変更が行えないのは,マウス対応というユーザインタフェースの改善ポイントと比較すると,小さな部分かもしれない。

オーソドックスだが特徴のある要素を加えてオリジナルの雰囲気を味わえる

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  ハンドレッドソードは,海上に落ちた巨大な生物に土砂が堆積してできあがった大陸が舞台となっている。そこには,「騎馬民族ナルアヴァル」「謀士民族マスカー」「魔術民族グラン」「重商民族ルプラストリエ」の4つの国家が存在し,人間だけでなく獣人などの亜人間も暮らしている。
 そんなバックストーリーで展開されるハンドレッドソードでは,「龍水」「龍骨」という2つの資源を採取して,ユニットを生産,そして敵を殲滅するのが目的だ。これは,リアルタイムストラテジーのオーソドックスなスタイルといえるだろう。しかしそれだけではないのがハンドレッドソードの魅力といえる。
 ハンドレッドソードには歩兵騎兵魔道士弓兵という4種類の基本兵科が登場する。これらのユニットは,「基本兵科に準じたリーダーによって徴集」という形で生産される。騎兵のリーダーは騎兵しか生産できなく,弓兵のリーダーは弓兵しか生産することができないのだ。またリーダーにはユニットたちをまとめ上げる最大数が設定され,それ以上のユニットを扱うことはできない。これらのことによって,単一ユニットを複数生産することができないようなゲームシステムとなっているのである。
 さらにリーダーは攻撃力や防御力をアップさせる「シェル」を使うことができたり,部隊に対して各種命令を出したりすることができる。つまりリーダーが重要な位置を占めているのである。
 これらのほかにも,各国家用の特殊兵科やゴーレム,飛行艇,砲兵の上級兵科も登場する。各国家の特徴を表しているのが特殊兵科だ。例えば騎馬民族のナルアヴァルでは,騎兵と弓兵が融合したユニットの「弓騎兵」,謀士民族マスカーでは相手に気づかれずに移動ができる「まやかし兵」が特殊兵科として登場する。これらの特殊兵科の使い方によって戦術の幅を広げられるのが,オリジナル要素としての魅力の一つといえるだろう。

PKフレームの成長によってエンディングが変化するアドベンチャーモード

クリックすると拡大します  ハンドレッドソードには,アドベンチャーモードミッションモードの2つが用意されている。
 アドベンチャーモードでは,騎馬民族ナルアヴァルの少年王リーフが,ナルアヴァルの危機に際してどのような采配を振るっていくかというシリアスなストーリー。全6話で構成され,後半3話は魔術民族グランの少女王ファルスのストーリーへと発展していく。
 特徴的なのは,ストーリーを進めていくときに現れる選択肢によって,リーフやファルスの成長を変化させられることだ。成長は「PKフレーム」(P:Person,K:King)によって表され,選択肢によってどちらかが伸びていき,一定量を貯めることによってレベルがアップする。これによってPersonレベルはリーダーの最大体力とシェルポイント,Kingレベルはリーダーの配下数と部隊命令数が増加していくという仕組みだ。どちらの方向へ成長させていくかはプレイヤー次第だが,PKフレームによってエンディングも変わってくるのが面白い。
 ミッションモードは,アドベンチャーモードの外伝的な要素を持っている。初級,中級,上級の3つのレベルに分かれていて,さらにそれぞれに6つのミッションが用意されている。これらのミッションをクリアすると,戦績によって各兵科用や国家専用など50種以上のシェルを手に入れることができる。アドベンチャーモードやミッションモードで入手したシェルは,マルチプレイで重要な意味を持ち,使用するシェルの数や種類によって大きなアドバンテージを得ることができるのだ。
 マルチプレイはDC版と同様に4人まで。DC版になかった要素として,マップ選択に「ランダム」が追加されている。マップをランダムにしておけば,シェルの選択が難しくなるだろう。
 25マップ用意されたマルチプレイではシェルを使えるか,勝利条件をどうするかなど,オプションで好みの設定に変更することができる。同盟を組んでチーム戦を行うこともできるが,ユニット数の上限や各資源の採取地の上限が決められてしまっているのは残念。あまり一方的にならないような配慮からなのだろう。

 DC版ではブロードバンドアダプタに対応していなかったために,マルチプレイでの盛り上がりがある程度で頭打ちとなってしまっていた感があった。ADSLやフレッツISDNなどの定額接続で手軽にマルチプレイが楽しめるPC版では,さらなる盛り上がりが期待される。ミッションモードで戦績をすべて最高にしたり,シェル全開で派手なマルチプレイをしたりするのも面白い遊び方だ。
 なおマルチプレイ時での不具合を修正したパッチ(2.41MB)が「ここ」で配布されている。マルチプレイをするときはぜひ当てておこう。
 オーソドックスなシステムとなっていることに加えて,プラクティスモードで基本的な戦闘方法を学べるなどユーザーフレンドリーな設計となっている。またチャット機能も改善されているので,初心者でも無理なく入っていけるだろう。
 コンシューマ系の明るい色を使った画面構成とシンプルな操作性は,コアなゲーマーには不向きかもしれない。ライトゲーマーにはぜひプレイしてもらいたいタイトルだ。

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■発売元:セガ
■価格: 7800円
■問い合わせ先:セガ TEL 0570-000-354
■動作環境:Windows 9x/Me/2000,PentiumII/233MHz以上(PentiumIII/450MHz以上推奨),メモリ64MB以上(128MB以上推奨),空きHDD容量800MB以上

(C)SEGA CORPORATION / Smilebit, Corp, 2001