ストロングホールド クルセイダー 日本語版

Text by 朝倉 哲也
23rd Jul. 2003

 中世ヨーロッパを舞台に,城(というよりは,城塞都市のイメージのほうが近い)をめぐっての攻防を堪能できるリアルタイム・ストラテジーゲーム「ストロングホールド」の続編,「ストロングホールド クルセイダー 日本語版」(以下,クルセイダー)が発売された。
 中世ヨーロッパを舞台にしたRTSといえば,ファンタジー要素を含んだ剣と魔法の世界を連想しがちだが,本作にはそういった要素はいっさい含まれておらず,あくまで史実を重視した作りになっている。

十字軍側とアラブ側両方のキャンペーンが楽しい

領主の館を中心に,子供達が遊ぶ広場や画面下には大聖堂が見える

 前作「ストロングホールド」が,中世ヨーロッパを模した架空の世界を舞台としていたのに対し,本作ではタイトルからも分かるとおり,クルセイダー=十字軍侵攻をテーマにしているため,もっぱら砂漠や荒地などの荒涼としたアラブの土地が舞台となっている
 プレイヤーは,キリスト教の尖兵として十字軍遠征を行うヨーロッパ諸侯の一人となりアラブ人と戦うか,布教の名を借りて侵略を行うヨーロッパの軍勢を撃退する,アラブの勇者サラディンとなってのキャンペーンを楽しめる。
 十字軍側キャンペーンでは,最初の数ミッションでは敵との戦闘もなく,「パンを貯蔵しろ」とか「ゴールドを稼げ」といった,内政メインの勝利条件となっているのに対し,アラブ側キャンペーンでは,「手持ちの戦力で敵を殲滅しろ」という具合に,最初から内政要素を無視した,戦闘重視の内容となっている。
 アラブ側キャンペーンでは,手持ちの兵力を失うと補充する術(すべ)がなく,攻略が不可能となってしまうこともあり,それなりの戦術を要求される。十字軍側のほうが,チュートリアル的な要素を含んでいるので,前作をプレイしていない人には,こちらからプレイしていくのが良いだろう

 ところで,前作にもあった「フリープレイ」が,クルセイダーにも採り入れられている。このモードでは,敵が存在しないためいっさい戦闘がない。ただひたすら城を拡充していくことを楽しむ,まさしく箱庭感覚でのプレイを楽しめる
 RTSというゲームの性格上,敵との戦闘には素早さを求められるため,そういったプレイが得意でない人は,この「フリープレイ」での"まったりプレイ"を心ゆくまで楽しんでもらいたい。

とあるミッションでの一コマ。今回の舞台がアラブの砂漠地帯というのがよく分かるだろう 城門前に勢揃い。まるで閲兵式といった感じ

アラブの特徴的ユニット「アサシン」「奴隷」

 クルセイダーでは,アラブ側のユニットはすべて本作からの登場となるものばかりで,とくに面白いのが「アサシン」と「奴隷」ユニットだ
 アサシンというと"暗殺者"というイメージだが,クルセイダーにおいては攻城戦に大きな力を発揮してくれる。というのも,アサシンは城壁をよじ登ることができるからだ

火つけと遠距離からの射撃を織り交ぜ,自軍の損害をできるだけ低く抑えるのが,アラビア側キャンペーンでの鉄則だ

 城壁の真下まで走っていくと,懐から出した鉤爪付のロープをさっとひと振り,城壁の上に引っ掛けてスルスルと登ってあっという間に城壁の上に辿り着く。あとは彼らに城門を開けさせれば,もう城は落ちたようなもの。今までのように,時間をかけて城壁を破壊せずとも済むので,攻城戦においては実に頼もしいユニットといえる。ただし,戦闘力や防御力があまりないため,前線で白兵戦をさせることは避けたい。

 もう一つの特徴的なユニット「奴隷」には,戦闘力はほとんどない……。というより,まったくないと思ったほうが良い。なにせ敵の十字軍騎士一人に50人程度の奴隷を向かわせてみたところ,全滅させられてしまったからだ。
 では何に使うのかというと,"焼き討ち"である。彼らは誰しも手にたいまつを持っており,敵の建物を指定すると快足を飛ばし,火をつける。火はあっという間に広がり,ごく短時間で街をことごとく焼き尽くす。とにかく面白いくらいに良く焼ける。また,この火は触れた人間を焼き殺すこともできるので,たった一人の奴隷が放った火によって,敵の街はまさしく阿鼻叫喚の火炎地獄と化してしまうのだ
 注意したいのは,火には敵も味方もないため,火に触れれば味方の兵士も焼け死んでしまうということと,火をつけた奴隷も大抵は自らがつけた火に巻かれて死んでしまうため,完全に使い捨てのユニットとなっていることだ。
 なお,このようなアラブ専用ユニットも,傭兵として十字軍側で雇うことも可能だ。それなりのゴールドはかかるが,それに見合った活躍はしてくれるだろう。

 ほかにもシミターと呼ばれる湾曲した刃を持つ刀を装備したシミター兵や,石を投げての間接攻撃が得意な投石兵など,独特の兵種が揃っている。彼ら砂漠の勇者達を使いこなし,思い上がったヨーロッパの奴らを海の向こうへ追い返して,アラーの力を思い知らせてやろう。


 クルセイダーには,魔法やモンスターなどはいっさい登場しない。その分,地味に見えてしまうのは致し方ないところだが,ユニットの細かいアニメーション,細部まで描き込まれたグラフィックス,そして戦略的要素を十分に備えた城の攻防が楽しめるなど,一級品と呼べるRTSゲームとなっている
 RTSといえば,「ウォークラフト」か「エイジ オブ エンパイア」の流れを汲むものが多い中,独自の路線を打ち立てている「ストロングホールド クルセイダー 日本語版」は,ぜひプレイしてもらいたいゲームの一つだ。

アサシンの得意技「城壁のぼり」。これで敵の塔を一挙に占領できる ご覧の通り,火をかけると何もなくなるまで燃えつくす
前作をプレイした人には懐かしい,ラット軍のピュース公だ。今回も敵勢力として登場する 火災は容赦なく住民をも襲う。画面中央で火に包まれた人間が文字通り泣き叫ぶ……。これぞまさに地獄絵図だ キャンペーンとマルチプレイ以外にも,いろいろなゲームモードを楽しめる。エディタもあるのでオリジナルキャンペーン/マップの作成も可能

 

 

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■発売元:キッズステーション
■価格:8980円
■問い合わせ先:メディアクエストユーザーサポート TEL 03-5805-3629
■動作環境:Windows 98/Me/XP,Pentium III/600MHz以上(Pentium4/1GHz以上推奨) ,メモリ128MB以上(256MB以上推奨),空きHDD容量900MB以上
英語体験版
ムービー(6分31秒:67.6MB)
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