チャンピオンシップマネージャー4 日本語版

Text by キーオ林
2nd Sep. 2003

膨大なデータがさらに倍! "究極"の名に恥じないデータ量

 やり込み派のサッカーゲームファンの間で人気を呼んでいる"チャンピオンシップマネージャーシリーズ"の最新作「チャンピオンシップマネージャー4 日本語版」(以下,CM4)がアイドス・インタラクティブから発売中だ。実在する41か国91ディビジョン,実に20万人という膨大な選手やスタッフのデータがギッシリ詰まった"究極のサッカーシミュレータ"である
 前作「チャンピオンシップ・マネージャー シーズン01/02 完全日本語版」メディアクエスト:レビュー記事は「こちら」)に収録されていたのが26の国際リーグに10万人の選手やスタッフ,ということだったので,単純計算でもデータ量がほぼ倍になっている。ちなみにCM4から新たに追加となったリーグはオーストリア,韓国,香港,メキシコ,中国,コロンビア,スイス等々。アジアのクラブがかなり充実してきたのは嬉しいところ。アジアのサッカーも世界に認められ始めた,と思うのは,まあ早計かもしれないが。

 CM4に使用されているのは,もちろん現時点のサッカーの最新データ……といいたいところだが,ベースとなるイギリス版が発売されてからちょっと日を経てからの日本語版の登場なので,移り変わりの激しいサッカー界には,さすがに完全には対応し切れてはいない。
 例えば,日本で一番有名な(?)外国人サッカー選手であるベッカムは,CM4のデフォルトのデータではレアルマドリードではなくマンチェスターユナイテッドに在籍している。また,前作でもそうであったが,(おそらく)権利の関係で日本のJ1,J2に関してのデータは架空のものとなっている。このあたりは若干の脳内補完が必要とされることになるわけだ。

オーナーではなく,あくまでも監督業を楽しむゲーム

トレーニングメニューも一人一人にとまではいわないが,選手の年齢やポジションなどに応じて何通りか作るべきだろう。ベテランと10代の選手とでは,伸ばすべき能力だって違ってくるはずだ

 さて,このシリーズをCM4で初めて知ったという人のために,まず本作がどういったゲームかを説明をさせていただこう。

 CM4は前述した通り,イギリス生まれのサッカーシミュレーションゲームだ。アクション要素はまったくナシ。プレイヤーの立場は選手ではなく,監督(マネージャー)としてチームを率いることになる
 セガの"J.LEAGUEプロサッカークラブをつくろう!"とは違って,プレイヤーが担当するのはオーナーではなく監督なので,チームの人事にはかなりの権限を有してはいるものの,選手の獲得に使用できる予算は限られているし(当然ながら使用できるお金は属したクラブの裕福度に関連する),結果が出せなければ最悪クビになってしまう可能性もある。
 しかし,クビになったからといってゲームオーバーではない。監督のポストが空いているほかのチームに行って,再び采配を振るうことも可能である(雇ってもらえればだが)。追い出されたチームと同一リーグの他チームに行って,結果を出して見返してやる,なんてプレイも可能は可能だ(とはいえ,極力追い出されないように努力しよう)。
 基本的には自分が監督となったチームを強化し,試合に勝っていくことが目的となる。監督就任したチームにはそれぞれ目標が設定されており,「参加しているリーグ戦に優勝しろ」というものから「チームが下部リーグへ降格するのを回避せよ」「チームを立て直せ」といったものまでさまざまだ。これに応えて名声を得て,実績を積んでいけば,やがては国の代表監督になることも夢ではない。

監督業は細かな作業との戦いだ

フォーメーションを見ながらスタメン選手を入れ替えたりしたいのだが,試合中でなければここから選手を入れ替えることはできない。ちょっと不便に感じるのは筆者だけなのだろうか……!?

 このゲームにおいてプレイヤーがやるべきことは,かなり多い。簡単に書き出しただけでも,自軍の戦力を把握したうえでの新戦力のサーチ&獲得,余剰戦力の整理,トレーニングメニューの作成,さらに施設や選手獲得資金に不満を感じるなら理事会にかけあう必要も出てくるし(あまり強気に出ると反感買います),そんでもって試合の采配……などなど。
 こうやって書き出すのは簡単だが,どれも実はかなり手間のかかる作業である。なにせ試合に臨むチーム全体への指示だけを取っても,パススタイル,パスの狙い,タックル,プレス,メンタル,オフサイドトラップ,ゾーンディフェンス,カウンターアタック,セットプレイ指示と,これだけの種類があるのだ。これを試合当日のグラウンド,天候のコンディションや自チーム&敵チームの戦力,状態などによって細かく変えていかなければならない。
 例えばパスの精度の下がる突風の日にロングパスを多用するのはあまり賢明なやり方とはいえないだろうし,気温の高い日にスタミナの低い選手をフル出場させるのは得策とはいえないだろう。敵チームの戦力が自軍のそれを大きく上回っていると判断したなら守備を固め,カウンターに徹する戦術を採用して勝機を見いだすという戦法を考慮しなければならないだろうし,自軍の選手のカード累積が多く,しかもこの先に重要な試合を控えているといった場合はタックルスタイルを弱くして選手達が出場停止の憂き目にあうのを防ぐべきだ。
 これにプラスして選手個々への指示も行えるとなると,その組み合わせはもはや無限大に近い。フォーメーションだって4−4−2だろうが3−4−3だろうが,まあ常識ではありえないが1−8−1なんて組み合わせだって自由自在。もちろん試合の途中にも得点経過や状況を見て戦術やフォーメーションを変えることもできる。
 こういった作業は非常に手間と時間がかかり,大変ではあるが,過去の対戦などのデータを見比べ,いろいろと試行錯誤しながらチクチクと自軍の戦術を編み出していくのは実に楽しい。逆にいえば,こうした作業を楽しんでやれる人でないと,CM4を楽しむのは難しいということだ。

選択できるリーグは多いが,だからといってあまりたくさんのリーグを同時にシミュレートさせると,処理が異様に重くなる。使用しているPCのスペックと相談して,欲張りすぎないようにしよう ゲーム設定で通貨単位や気温の表示方法なども変更できる。しかしケルビン温度を選択してプレイする人っているのだろうか? また全選手を架空選手にしてプレイすることも可能だ 監督作成時には国籍の設定も必要。とくにこだわりがないのなら,やはりサッカー先進国と呼ばれるイタリアやイギリス,フランスなどを選択したほうが,周りの見る目が変わり何かと有利だ。基本的にはプレイするリーグの国籍を選べばいいだろう

新モード「2Dピッチ」,その実態は!?

これがウワサの2Dピッチモード。非常にシンプルな画面だが,これでいて選手は結構細かい動きを見せたりするので楽しい。やはりハイライトシーンだけでなく,好きなときに見られるようにしてほしかったなぁ……

 このシリーズはサッカーシミュレーションゲームであるわけだが,選手のビジュアルはまったく出てこない。試合中も状況が文章(アナウンサーの実況)で表示されるのだ。
 CM4が前作までと違うのは,ハイライトシーンになると「2Dピッチ」モードでビジュアルが表示されるところ。といっても選手がシュートする姿などが出てくるのではなく,ボードゲームのような感じでグラウンドが俯瞰で表示され,その上を駒のように表現された選手た達とボールが動くというものとなっている
 21世紀に発売されたゲームとは思えないほどのビジュアルではあるが,これはこれで味がある。自分の立てた戦術がどのように機能しているかを追うには,かえってこのような形のほうが把握しやすくて良いのかもしれない。
 CM4が追求しているのはビジュアル面のリアルさではなく,あくまでもサッカー界の動向などのリアルさなのである。とはいえ,可能ならばハイライトシーンだけではなく,フルタイム自由にこのビジュアルを表示できるようにしてほしかった感も。そうなると1試合1試合が長くなり,やがては飽きて飛ばすようになってしまうかもしれないが……。

 ほかにもスキンが変えられるようになっていたりするなど細かな違いはあるが,基本的には前作からデータ量を増やし,情報を新しくしたマイナーチェンジ版と捉えてよさそうだ。
 戦術画面で選手の入れ替えができないなど,インタフェース系の不便な点はそのまま引き継がれていたりもするが,気長にじっくりプレイすれば,サッカーファンならハマること間違いなしの太鼓判を押しておく
 結論をいえば,時間にゆとりのあるサッカーファンならプレイして損はない。さらにいうなら,日本のJリーグよりもセリエAやプレミアリーグなどの海外サッカーファンの監督を選んだほうがより楽しめるというのが筆者の印象である。

下部リーグのチームを昇格させて栄光を勝ち取るのもロマンがあっていいが,最初のうちは資金を不自由なく使える裕福なチームの監督となってゲームに慣れたほうがいいかも。もっともそういうチームは監督への要求も厳しいが 選手との契約交渉も監督の大事な仕事だ。チームの財政を考えつつ,しかし選手の機嫌を損ねないように慎重に金額を設定する必要がある。こじれて重要な選手にチームを出て行かれたら元も子もないのだ 選手一人一人にこうしたパラメータが設定されている。このほかにも経歴や契約情報などで選手をいろんな側面から知ることができる。こうしたデータが20万人分以上用意されているのだ
サッカー界のニュースは受信箱に納められ,基本的にはいつだって閲覧可能。当然,自軍のニュースが数多く届けられるので,見るべきところはきちんと見ておくこと。時にはプレイヤーが応答すべきニュースも届くことも 1チームに選手は30人以上。戦術に合わせてポジションにつく選手を選んでいこう。一から決めるのが難しいという場合には,アシスタントマネージャーに選択させてから微調整するといい 通常は前作と同じく,試合経過は文字のみの表示。この実況や試合データなどからグラウンドの状況を推察し,臨機応変に戦術を変える必要があるのだ。慣れてくればこれはこれで楽しい

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■発売元:アイドス・インタラクティブ
■価格: 6980円
■問い合わせ先:アイドス・インタラクティブ TEL 052 (775) 8380
■動作環境:Windows 98SE/Me/XP,PentiumIII/600MHz以上(PentiumIII/1GHz以上推奨),メモリ64MB以上(Windows XPは128以上/256MB以上推奨),空きHDD容量300MB以上(600MB以上推奨),DirectX 8.1に対応し16MBのメモリを搭載したビデオカード
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Championship Manager 4 (C) Eidos Interactive Limited, 2003. Developed by Sports Interactive Limited. Published by Eidos Interactive Limited, 2003. Championship Manager is a trademark of Eidos Interactive Limited. All Rights Reserved.