三國志 Battlefield

●Preview#41
三國志 Battlefield

Text by TAITAI

 数々の歴史シミュレーションゲームを発売してきたコーエーが放つ「三國志 Battlefield」は,ネットワーク対戦を主眼に据えたリアルタイムストラテジーゲーム(以下,RTS)。歴史ロマン溢れる三国志の世界観を背景に,プレイヤーは中原の覇権を狙う群雄の一人に扮して,激烈な戦いを勝ち抜かなければならない。

 これまで,大まかな概要や簡単な画面写真,そして補給線の概念を表現する「Active Logistics Control(動的兵站制御)」システムなどの発表があったきり,その細やかな内容まではなかなか掴むことができなかった三國志 Battlefield。三国志という題材自体が非常に人気の高いタイトルなだけに,気になっていたファンも多いことだろう。
 forGamerではそんなファンの悩み(?)を解消すべく,コーエー本社に直接取材を敢行。プロデューサーである上野氏が直々に,作品のシステムや面白さについて実際にゲームをプレイしながら解説して頂いたぞ。今回の取材で判明した要素を早速紹介していきたい。



■簡略化された内政システムで,軽快かつスピーディなゲーム展開を実現

 今回の"三國志"の最大の特徴は,なんといってもRTSというゲームシステムを採用している点だろう。しかしながら,コーエーがこれまでターン制をベースに開発を行ってきたメーカーなだけに,期待半分,心配半分といった心境のファンも多かったのではないだろうか。

 基本的なゲームシステムは,RTSの代表格ともいえる「Age of Empires」「Starcraft」とはその内容が大きく違う。まず,この作品はいわゆる資源を集めてユニットや施設を作っていくようなシステムではなく,マップの各所に配置される"都市"を中心にした内政システムを搭載している。つまり,内政や軍備はすべて都市単位で行われ,都市を選択 → 施設の建設 という手順で都市の設備を整えていく。「農地」を建設すれば兵糧が,「商家」を建設すれば金の取得量が増えていくわけだ。施設は,都市を中心にした一定の範囲内にのみ建設が可能で,その範囲内にプチプチと建物を建設させていくのである。ここは,まるで「シムシティ」でビルを配置していくような感覚だ。用意されている施設の種類だが,確認した限りでは,資金と兵糧の収入に関係がある「農地」「商家」,軍隊の生産を行う「歩兵練兵所」「騎兵練兵所」「弓兵練兵所」,国家の技術開発を司る「戦術太学」「妖術太学」「鉄壁太学」「行軍術太学」「水軍術太学」「兵器術太学」などが見受けられた。
 ちなみに各太学で研究できる技術は,話を聞く限りでは勝敗を分ける大切なポイントになりそうな雰囲気だ。例えば,行軍術太学で研究を行うと普通は通れない山岳地帯を通れるようになったり,兵器術太学では強力な新兵器を開発できたりと,戦闘に直接影響のある要素が多く用意されているらしい。どの技術から優先的に研究していくのか,対戦時には頭を悩ませることになりそうだ。



■簡易的なユニット生産システムを搭載。戦って戦って戦いまくるゲーム展開!?

 軍事ユニットは,各練兵所を建設すれば自動的に生産されるシステムを採用している。つまり,例えば騎兵練兵所を四つ建設しておくと,一定間隔毎に騎兵が都市にストックされていく感じだ。プレイヤーが操作可能なユニットは部隊単位で管理され,ユニットがストックされている都市で武将を軍団長に任命すれば,その武将を中心した部隊が編成されるのだ。もっと噛み砕いていえば,ユニットの生産は半オートで進められ,次々と作られる兵士達をどう扱うかがゲームの勝敗を決める大きなポイントになりそうな感じである。
 また部隊の強さは,兵士の練度(三段階)と武将の"武力"の数値によって左右され,例えば関羽に率いられる兵士達は無類の働きを見せてくれるなど,三國志らしい演出も楽しめるという。ここは率直に嬉しい要素といえるだろう。

 ちなみに武将は総勢で500人以上が登場し,人材の確保もゲーム上で欠かせない要素となるようだ。武将は,軍団を編成するためだけではなく,施政や建設任務に割り振っておくことで,施設の耐久力を回復させたり,施設の建設速度を上昇させたりできるなど,とても重要な位置付けなのだ。
 ほかにも,さまざまな妖術を扱える「軍師」の存在も見逃せない要素だろう。強力な妖術は,形勢を一気に傾けるほどの威力を誇るというのだ。ただ,妖術を使うには妖術太学を建設して"妖術ポイント"を溜めなければならず,そう簡単に乱用するわけにもいかないらしい。ここぞ,というときに使用するのが王道になるのだろう。


 最後に,多くのファンが気にしていると思われるゲームのテンポについて触れておきたいと思う。

 結論からいうと,ゲームの展開は非常に軽快な雰囲気だ。状況次第では,20〜30分前後で1ゲームが終了することもちょくちょくあるのではないかと思うほどのテンポの良さ。実際,プロデューサーである上野氏も「今回リアルタイムにした最大の理由は,やっぱりゲームのスピードに関する部分が大きいですね」と語られており,ゲームテンポに関する配慮は十二分に行っているような印象だ。ちなみにゲーム内の"一年"は,実時間で7分程度。「もしかすると,さらにアップテンポなバランスに変更していくかもしれない」との発言(上野氏)もあるなど,とにかく対戦を快適に楽しんでもらいたいという気持ちが根底にあるようだった。これから最終的な"詰め"の作業に入るとのことだが,バランス面も含めて妥協のない完成を目指してほしいと思う。(TAITAI)






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