ResonanceAge

26th Mar. 2003
Text by Seal

※記事中のScreenshotsは,すべて開発中のものです。ご了承ください。

 いっとき長きに渡ってテストを行っていた,ハドソンが開発中のMMORPG「Resonance Age」(レゾナンスエイジ)。3Dで描かれた世界で冒険し,モンスターを倒しながらキャラクターを成長させていくというオーソドックスなMMORPGで,"エバークエスト"などと同様のタイプに属する作品だ。画面構成などで大雑把に見てみると,エバークエストやAnarchy Online,DAoCなどからいいとこ取りのインタフェースを採用しているが,(以前のテスト版とは違って)キャラクターの成長がレベルベースではなくスキルベースになっていること,生産ラインの充実とそれに特化したクラスの存在,さらに固定サイズではないフィールドなど,独自の要素が詰まっているのが特徴となっている。
 すぐに始まる"新テスト"を直前に控え,特別に事前に少しだけプレイして得た情報をお伝えしよう。画面からでは分からない,システム面での工夫やアイデアが詰まっている「レゾナンスエイジ」の魅力はどこにあるのだろうか。国産PC MMORPGとして,一線に立つだけのクオリティに仕上がりつつあるのだろうか

 ただ,ここで我々が触れているものは,あくまでも"オープンβ"の前バージョンの"Preα"ともいうべきバージョンだ。グラフィックスやシステムなどは大幅に変更が入るであろうことだけはご了承いただきたい。ちなみにこの原稿は,2003年3月26日までの"Press用α版"ともいうべきバージョンで書かれている。


■広大なフィールドとキャラクター種族

 舞台は,ダイアロスという自然が多く残された島。8年ほど前に人間族が大陸から進出してきて,先住民族のエルガディン(森に住むエルフのような種族)に打ち勝って定住するようになったという歴史がある。人間族がこの島の拠点として建設した街ビスクを中心として,広大な島を探索/冒険するというのがおおまかな内容だ。
 そんなバックストーリーを読むと,人間族とエルガディン族の対立が予想されるが,ゲーム中で実際にこれに付随するクエストやシナリオなどが存在するかどうかは,現状では不明。NPCからの情報の片鱗から,ぼんやりとバックストーリーが分かる程度にはなっているが,その全貌は未知数といえるところだ。いくつかのクエストはすでに実装されているので,今後の開発によってはっきりとしてくるのだろう。
 プレイヤーの分身となるキャラクターは,人間族とエルガディン族以外にも,いくつか用意され,作成時に選択できることが発表されている。残念ながらPreα時には人間族でしかプレイできなかった。それゆえ,種族によるステータス面での違いをみることはできなかったが,一般的なMMORPGのように,標準的能力を持つ人間族,素早く魔法の扱いに長けたエルガディンなどと特徴が出るようになるだろう。これらの種族のNPCはすでに配置されているので,どのようなスタイルをしているかは分かるようになっている。


■自由度の高いスキルベースの成長

 さて,MMORPGで最も重要かつ気になる要素となる「クラス」だが,これもなかなか特徴的なものとなっている。テストプレイ中に見られたのは,
   ・剣や拳など肉体を使った攻撃とハイレベルな防御によって直接戦闘を行う"ウォーリアー"
   ・弓や爆発物での遠距離攻撃や動物を使役して戦う"フォレスター"
   ・攻撃や回復の魔法を駆使してモンスターを倒したり仲間を救う"アルケミスト"
   ・死と恐怖の力を行使する魔法系の"ネクロマンサー"
の4種類だ。
 ここだけ見ると「たった四つ?」と思うかもしれない。しかし上で"特徴的"と書いたのは,これらが今までの一般的なRPGのように完全に独立したクラスではないということだ。DAoCでいうところの"基本クラス"と"専門クラス"のシステムに似たものになっているのだ。
 具体的には,アルケミストならば攻撃魔法を得意とするウィザード,回復魔法を得意とするクレリックなどの細分化された呼称がある。しかしアルケミストを選択した時点ですべての魔法を扱えるようになっているので,どれを伸ばすかはキャラクターの冒険次第(プレイヤーの自由)ということである。攻撃魔法を多用していけば,攻撃魔法スキル(RAVAGE SKILL)が上昇し,必然的にウィザードのようなタイプになるという感じだ。
 このようにクラスの境界線をぼかし,細かなクラスを設けなかったことによって,少人数でのパーティでも戦闘時の選択肢が多くなるだけでなく,いろいろなスキルを1キャラクターで試せるというメリットが生まれたといえる。また是非はあるものの,多くのMMORPGで懸念されていたパワーレベリング(高レベルキャラクターが,低レベルキャラクターを補佐して敵を倒すこと)は,スキルベースを採用することによって,ある程度緩和されている。なぜなら高レベルの魔法などによって瞬間的に能力を上昇させ,素早く敵を倒したとしても,スキル上昇がほとんどないからだ。

 しかし,少し不安な面もある。まだまだテストの序盤ということで触れるべきことではないかもしれないが,ひと言だけ書かせていただきたい。
 スキルベースということで,後衛の魔法タイプのキャラクターでパーティを組んでハンティングを行っていると,武器スキルや防御スキルの上昇がほとんどないことが容易に想像できる。現状では,攻撃を行ったりモンスターからの攻撃を受けた場合にのみ,最大HPに関係するスキル上昇が起こるためだ。つまり後衛から魔法を連射する/回復魔法のみでパーティを援護するようなプレイスタイル(通常のMMORPGのスペルキャスターはそうなると思う)では,レベルの高いモンスターを相手にすると瞬殺に近い状態になってしまい,後々の冒険が非常に辛くなってしまうかもしれないのだ。
 現状のシステムが生き続けるならば,後衛タイプのクラスでも,ある程度は前衛に立って攻撃したりダメージを受けたりする必要があるだろう。それがキャスターと呼べるかどうかはさておき……。


■生産システムと広大なフィールド

 武器や防具などの装備品は,外観に影響するものが多く用意されているだけでなく,一つ一つの動作モーションが若干異なっているているのも,たまらない要素の一つ。
 例えば,短剣なら攻撃範囲が狭く素早いモーションだし,両手剣ならばその自重の落下速度を利用した重い一撃を繰り出すという感じだ。テスト時には,序盤の布製防具にも通常のチュニックとローブが用意されているなど,戦士タイプと魔法使いタイプを見た目で自由にチョイスできるようになっていたので,正式サービスに向けて,魔法が付与されているものなど多数が追加されることを期待したいところだ。
 また装備品だけでなく,生産系アイテムが豊富に用意されているのも,(とりわけ日本国内でのサービスを念頭に考えるならば)長くプレイする要素の一つといっても過言ではない。キャラクターは空腹というパラメータが用意されていて,冒険途中で飲食を随時行わないとスタミナ切れで戦闘もままならない状態となってしまう。食料はショップで購入できるが,果物や動物の肉などの原材料を入手して加工するという技術も用意されているのだ。難度が高い調理品は腹のもちがよくなっているようなので,遠出するときには必需品となるかもしれない。これ以外にも,鉱山で鉱石を採掘してアクセサリーに加工したり,装備品を作成したりなどのスキルが用意されている。
 冒険の舞台となるフィールドはエリアごとに分けられているが,一つのエリアは広大なものから「コボルドの集落」のように小規模なものまで,フレキシブルに変化する。全体的には,火山の隆起によってできた島のように深い渓谷があるなど,高低差が多い地形となっているので,景観を楽しめるだけでなく冒険中でも移動に気をつけなければならなくなる。

 PvPについては,特定のエリア(アリーナ)が用意され,その範囲内のみキャラクター間での戦闘が可能となる。モンスターを倒したときの戦利品は死体から入手することになるが,戦闘に関わらなかったキャラクターは触ることが出来なくなっているのは,いまやMMORPGでは一般的なシステムだろう。
 冒険途中で力尽きてしまった場合は,街の近くに転送されて「魂」の状態で復活する。アイテムなどの所持品は倒された場所に留まるので,基本的には自力で回収に行くのだが,回収困難な場合はNPCに依頼して死体を復活ポイントまで移動させる選択肢も用意されている。自力で回収に行く場合は,モンスターに見つかりにくくなっているものの,完全ではないため若干の苦労は伴う。なお,モンスターなどに倒されることによるペナルティは現状では存在しないが,死体を移動させた場合は,スキル値が減少するという仕組みだ。


■今後に大きな期待が持てる一作

 ハドソンが開発を行っていることから,ほとんどが日本語表記となっている。しかしアイテム名やスキル名などの一部は英語表記となっており,ほぼ間違いなく英語圏へのローカライズを視野に入れたものと考えるのが妥当だろう。英語表記とはいえ,一般的なRPGでよく登場する単語ばかりなので,とくに難しくはない。
 これから行われるオープンβテストで,細かな部分でのクオリティアップなどが行われて完成度が増していくだろうが,現状でもいままでのMMORPGからの"いいとこ取り"の面白さは体感できた。語弊を承知で言えば「UO+EQ+FF XI+DAoC」で作られたものは明らかなのだが,それゆえさまざまな部分で遊びやすく,うまくまとまればかなりいい作品に仕上がるのではないだろうか。未知なるエリアを目指して冒険を繰り返してみたり,街中で魔法を繰り返し詠唱してスキルアップを行ってみたり,生産に明け暮れてみたり……時間と都合によっていろいろな遊び方が可能だ。モンスターの再出現もかなり速く,モンスター不足などの心配はいらなそうだが,逆に一つのエリアを攻略するという一面では難度が高くなるかもしれない。

 MMORPGが一般的なジャンルとなってきた現在,いままでのMMORPGを検証してよい部分を取り入れ,それに独自のアイデアを組み込んで違った方向性を持たせた本作は,よい意味で分かりやすさと新鮮さを兼ね備えたものになっている。
 すぐにでも始まるオープンβテストもあることだし,興味を持ったらぜひ参加してみてはどうだろうか。



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