Moto Racer 3

●Preview#28:Moto Racer 3

Text by 奥谷海人

爽快感を追求したアーケードレーシング

 「Moto Racer 3」は,前作がちょうど3年前に発売されて以来久しぶりの登場となるレーシングゲームだ。アメリカではElectronic Artsが発売し,国内では先ごろ「Unreal2」の発売を発表したサイバーフロントからとなる。ちなみに制作しているのは,前作と同じDelphine Studios International社。この会社は,1976年に設立されたフランスをベースにする老舗中の老舗の開発チームで,最近では同じく1999年にGathering of Developersからリリースされた,3DアクションRPGの「Darkstone」が記憶に新しい。

 Moto Racerシリーズは,PCゲームには珍しいアーケード寄りのお気軽なゲーム感覚が評価の分かれる作品だが,3作めとなる本作でも,最新のゲームエンジンを使った物理面やグラフィックス面でのリアリティを追求しながらも,このシリーズ本来の持ち味を生かした体験を存分に満喫できるようになっている。
 とくに本作では,前作より1種類多い,合計6タイプのスポーツが用意されている。

・時速300kmのスーパーバイクでサーキットを攻略する「ストリート」
・屋外のダートコースで競い合う「モトクロス」
・モトクロスと同じだが室内での走りとなる「スーパークロス」
・スピードではなく障害物を越えていくテクニックを競う「トライアル」
・曲芸的なスタントでポイントを稼ぐ「フリースタイル」

という,それぞれ異なるスキルが必要とされるモータースポーツに加え,
・パリの市街地で存分に不法レースを行う「トラフィック」

が追加されたのだ。もちろん,タイプによってはタイムアタックや点数制のモードでも楽しめるようになっており,どのコースでも練習モードやシングルレースを試せるのは初心者にとっても嬉しい配慮だといえる

選択できるバイクやコース,ゲームモードが非常に豊富

 また本作は,「バイクゲーム界のGT3」を自認するかのように,ゲームに登場するのが8チーム40種類のマシンと,前作の2倍以上になっていて,さまざまな面で盛り沢山な内容になっているのも特徴だ。この手のゲームでは"常"のことだが,バイクのモデリングは非常に精巧にできている。周囲の風景を車体に反射させる環境マッピングや,リアルタイムな影の表示を始めとするテクスチャ技術に加え,照明源に近いテクスチャの一部分を明るくするスペキュラーライティング技法やハードウェアT&Lなどの諸技術を駆使している。最新の3Dゲームに恥じない仕上がりだといえるだろう。最高で1600×1200ドットの解像度で表示できるのも魅力的ではあるにせよ,GeForce系カードなどで表示できるFSAA(フルシーンアンチエイリアシング)モードを使えば,800×600ドットでも十分に美しい


 コースは,高い技術力が必要とされる"鈴鹿"はもちろんのこと,高速で飛ばせるシドニーの"イースタンクリーク",250ccのストリートバイクがほどよいドレスデン近郊の"ザクセンリンク"などが登場する。クロス用では,屋外コースとしては世界有数の"スタデ・デ・フランス"やバルセロナのスポーツ競技場である"バルセローネ"などがある。
 "アーケード的"と前述しているものの,Moto Racer 3はバイクのシミュレーションを怠けているわけではない。40種類以上となるバイクの内訳は,ストリートバイクが16種,ダートバイクが16種のほか,スタントバイクや"隠し"が数機種ずつとなっているが,どれも実物からモデリングしたものばかりなのだという。
 さらに,デフォルト仕様が気に入らなければ,エンジンやトランスミッション,ショック,ギア,タイヤなども設定変更できるようになっているので,メカにうるさいマニアでも安心。ストリートモードとトラフィックモードの場合でも,ライトやミラーの存在,さらにパワーを落としたエンジンの仕様など,微妙に作りが違っているのが分かる。"GT3"は言い過ぎにしても,一つのソフトにいくつものゲームが詰まったような,欲張りな作品なのである。

仲間同士でレーシングチームを結成できる

 シングルプレイヤーモードの場合,ライバルとなるコンピュータ操作のバイクの台数は,選択するスポーツモードによって異なっている。ストリートモードでは最大で14人まで,クロスでは10人までとなっており,トラフィックモードでは1対1で街の中を滑走するという趣向になる。
 1人競技型のフリースタイルは,キーボードを使って20種類以上のスタントを繰り出し,高いレベルのコンボ技で得点を得るのが目的だし,トライアルモードでは障害物の上でバランスを取るという微妙なハンドルさばきが必要なため,キーボード以外の専用コントローラも必須となるだろう。プレイヤーの設定した難度にもよるが,通常トライアルでは5回以上足を付くなどのペナルティを受けると,ゾーン(コース)から除外されてしまうことになるのだ。
 そして特徴はマルチプレイヤーモード。インターネットやLANで最大8人までをサポートしているのは当然として,面白いのは,仲間とチームを結成してほかのチームと競い合うための協力プレイモードが用意されているということだ。そのため,ボディやヘルメットのテクスチャスキンを自由に変更できるようになっているのである。またDelphineでは,新しい車種やコースもダウンロードできるようにする予定があるなど,ファンに長い間楽しんでもらうような計画が立てられている。
 フランスではすでに発売されており,アメリカでは2002年1月上旬にリリースされる予定となっている。国内でもさほどタイムラグなく,2002年2月15日にサイバーフロントからリリースされる(7800円。日本語マニュアル付英語版)。ここしばらくは本格的なバイクレーシングゲームが少なかっただけに,非常に期待できる作品だといえるだろう。

■ ゲームプレイの模様を収録したムービートレイラー(3.74MB:44秒) ■

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