Commandos2:Men of Courage

●Preview#17:Commandos2:Men of Courage

Text by 奥谷海人

完全3Dグラフィックに生まれ変わったRTSの名作

クリックすると拡大します  前作の「Commandos:Behind Enemy Lines」は,ヨーロッパの開発元らしく難易度が高かったものの,ドイツだけでも50万本以上の大ヒットを記録。斬新なアイデアで,リアルタイム戦略シミュレーションのジャンルに旋風を巻き起こした。プレイヤーは多数のユニットを管理するのではなく,それぞれ個性のある数名のキャラクターを操作し,第ニ次世界大戦に揺れるヨーロッパをベースにしたミッションをこなしていく。限られたキャラクターをどの方向から動かしていくのがベストか,というパズル的なゲームプレイに,アクションとストラテジー性をミックスさせた作品なのだ。
 スペインを本拠にするPyro Studiosは,新作「Commandos2:Men of Courage」 のために,ゲームエンジンをゼロから作り直している。手書きっぽさを残した繊細なテクスチャアートやクオータービューのカメラ視点が前作の雰囲気を継承しているが,グラフィックスは完全3Dで描かれている。そのためカメラは(シムシティ3000のように)90度ずつ左右に動かすことができるようになっており,建物の中でのアクションも表示可能になった。キャラクターに合わせて最大六つまでの小型ウィンドウ表示もでき,メンバーの追跡や行動確認も容易になっているのが嬉しい。

フランス最前線から日本にまでに渡るグローバルなミッション

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  プレイヤーが操作するコマンドーたちは,前作の6人に加えて怪盗ルパン,娼婦ナターシャ,そして軍事犬ウィスキーの3人(2人と1匹)というバラエティに富んだメンバーが追加されている。今回は世界を股にかけた活躍で,フランスの市街地からナチス軍基地や潜水艦内部,さらには北極から南太平洋,ビルマや日本にまで潜入するのである。
 ミッションを遂行するためには,いかなる行動を取る前でもマップを観察し,建物や敵の位置を把握することが大切だ。例えばフランス解放軍への救援というようなミッション内容では,敵の行軍を食い止めるためにグリーンベレーが手榴弾を真中に放り投げて粉砕。追っ手から逃れるために事前に用意しておいたジープを機械工に運転させ,スナイパーが待ち伏せる路地へと引っ張っていく,というような消耗戦も予定されている。それぞれのミッションでは途中でイベントが発生するなど,ドラマチックな展開が見込めるだろう。
 細かい部分に注目すれば,敵のタンクやジープを乗っ取ることができるようになったことで,分捕ったタンクで怪しまれることもなく敵の砲台に近づき,背後から制圧してしまうことだってできる。また,倒した敵のユニフォームや武器を再利用することが可能で,敵兵に見せかけて正々堂々(?)正面から侵入することもできるという。もっとも,背丈の合うものでなければいけないし,敵が話しかけてきてバレてしまう,ということも起こり得るため,ミッション攻略の"次の手"を考えながら行動することが大切だ。
 Commandos2のインタフェースは右側にきれいに整頓されているが,その上部を占める体力メーターも面白い。今回は,素潜りに加えて電話線を綱渡りするなどの行動も取れるようになっており,キャラクターによってはメーターの消費率も変ってくるだろう。

ミッションに合わせた人材選びがポイント

クリックすると拡大します  登場する8人+1匹のキャラクターには,こと細かく設定されたパラメータが存在しており,各ミッションではどの人材を送り込むかを考慮しなければならない。例えば足音のパラメータというのがあり,キャラクターの特殊技能に合わせて足音の大きさが変化するが,これはステルス系ミッションでは非常に重要なことである。
 また前述したとおり,Commandos2では建物や潜水艦の内部へも侵入するような局面があるが,"ルパン"を使って窓のカギを開けさせて中から正面のドアを解除することによって,ほかのメンバーを通過させるなどの行動を取らなければならない。さらには,シリーズとして始めて"夜の敵本陣"を舞台にしたミッションも加わり,視界が狭くなって懐中電灯を持って警備する敵の護衛兵の中をかいくぐっていくことになる。今まで以上にステルス(暗躍)が重要な要素になっているようだ。
 シミュレーション好きのヨーロッパ人でも音を上げた難易度の高さを考慮して,Pyro Studiosの開発者は控えめの難度を心掛けたと言明。すでに同社での開発は最終段階に差しかかっており,順調にいけばヨーロッパでは9月下旬に発売されることになる。なお,1月時点でのインタビューのときは「難易度制を3段階にする」といっていたので,もしそれがそのまま導入されていれば,初心者にも上級者にも嬉しい配慮だ。なお「コマンドス2特別インタビュー」については,「ここ」「ここ」を参照してほしい。

 

■キャラクター紹介■

ジェリー・マクへイル ジェリー・マクへイル(Jerry McHale)
英国突撃部隊の曹長で,元ボクシングチャンピオンのグリーンベレー。上司を殴りつけるほど気性の荒い性格で,それが敵軍の脅威にもなっている。
フランシス・T・ウーリッジ フランシス・T・ウーリッジ(Francis T. Woolridge)
イギリス名家の出身で,オリンピックのゴールドメダリストとしても知られる射撃の名手。いかなる状況でも鼓動の速さが変化することはないらしい。
ジェームス・ブラックウッド ジェームス・ブラックウッド(James Blackwood)
オーストラリアに戸籍のあるマリーン(海兵隊)で,フィン(ひれ)とあだ名されるほどの遠泳能力を誇る。アルコール依存症の気があり,ギャンブルには強い。
トーマス・ハンコック トーマス・ハンコック(Thomas Hancock)
ナチスに捕らわれの身となりながらも,4回めの挑戦で脱走に成功したという経歴がある爆破工作員。どんな物からでも爆破物を製造してしまうという。
シド・パーキンス シド・パーキンス(Sid Parkins)
ニューヨークはブルックリン生まれのアメリカ人で,米国政府からは車泥棒の罪でお尋ね者になっている。運転や修理を得意としている。
レネ・ダシャンプ レネ・ダシャンプ(Rene Dachamp)
フランス軍の秘密警察に在籍していた諜報員で,ナチスに私怨を持つ男。潜入や破壊工作が得意なだけでなく,コミュニケーション技術にも長けている。
ナターシャ・ニコチェフスキー ナターシャ・ニコチェフスキー(Natasha Nikochevski)
ロシア生まれの30代の女性で,頭脳明晰な赤軍兵士として活躍したこともある。狙撃能力もあるが,魅惑的な容姿を使って敵兵を懐柔することができる。
ポール・トレド ポール・トレド(Paul Toledo)
パリ生まれの窃盗犯で,通称"ルパン"として知られる。ナチスのフランス侵攻のときに解放軍となったが,すばしっこさを買われて突撃部隊にスカウトされた。
ウィスキー ウィスキー(Whisky)
ナチス軍によるフランス侵攻で飼い主と死に別れ,突撃部隊に拾われたブル・テリア。部隊のマスコットだが怖いもの知らずで,隊員への従順な態度でみなに愛されている。
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(C) PYRO STUDIOS 2001

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