本作は,第二次世界大戦の西部戦線を舞台とした,戦術級リアルタイムストラテジー。タイトルにEric Youngを冠していることからも分かる通り,本作はStrategy First社から発売されている「GI Combat」の続編,さらに広義には,かつて高い人気を誇ったWWII RTS「Close Combat」のシリーズ最新作となっている。
3D化によって技術的進化はしたものの,思いついた戦術をそのままフィールドに落とし込めないといったシステム面の不備が酷評された前作。本作はその"ファインチューン版"として,改良部分に注目が集まっている。
グラフィックスは,前作から引き続きフル3Dを採用。プレイヤーは小隊規模のユニットを操作して,歴史的事実を盛り込んだヒストリカルキャンペーンに挑む。画面インタフェースも伝統を受け継いで画面下部にギッチリと詰め込んだ形なので,同シリーズのファンならば,操作体系は直感的に理解できるだろう。
これはシリーズ共通だが,本作の特徴は,現実世界の地形を忠実に再現したフィールドマップおよび,心理学に基づいた個々の兵士の生々しいアクションである。ユニットは個別に健康状態と心理状態の二つのパラメータをもっており,置かれたシチュエーションによっては,怒り狂って敵陣営に突撃したり,パニックになって逃げ出したりしてプレイヤーの戦略を狂わせてしまう場合があるのだ。
ゲームを開始すると,まずはすべての小隊に対して突撃や行軍,攻撃などのコマンドをひと通り設定する。ここから画面下部のGame Startボタンをクリックすることで,その時点でゲーム内の時が刻まれだすという仕組みだ。極力アクション性を省きたいという開発陣の意図通り,ゲーム中も任意のタイミングでゲームポーズが可能となっている。
ただ,そうはいっても,ゲーム中に操作するべき小隊は大概10近くにのぼるため,すべての情況を判断しながらパラレルに操作するのは至難のワザといっていい。さらに3Dマップ用の移動インタフェースも練られているとはとても言い難く,デジタルにカクカク動く視点移動はなかなか目当てのユニットをターゲットできないなど,かなりのストレスである。ユニットの動作もぎこちなくディオラマ的な楽しみも少ないため,残念ながら前作同様,3D化のメリットはいっさい感じられなかった。
のどかな田舎道をそろりそろりと行軍する様子などは映画のワンシーンのような雰囲気が出せているだけに,インタフェースの不備で評価を落とさざるを得ないのが非常に残念だ。
デモ版には,フランスを舞台にしたシングルプレイモードのシナリオ二つと,IP直接指定によるマルチプレイモードが収録されている。ゲーム難度は"リアリズム"として幅広く設定が可能だが,初心者だとそのぶっきらぼうなインタフェースと相まってかなり難しい部類に入ってしまうだろう。
ほんの些細な命令ミスで兵士達が木の葉のように散っていくストイックなゲーム。シリーズのファンならば,前作からの細かい修正点などを吟味してみながら遊んでみるべし。(Gueed)
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