本作は,オークやドワーフなどの6種族が登場するファンタジーの世界観で,リアルタイムストラテジーとRPGの両要素を併せ持つタイトル。開発元のPhenomic Game Development社も"「Warcraft III」と「Dungeon Siege」"の融合を謳うほど,重厚なシナリオとゲーム性を併せ持っており,Heroユニットには現在トレンドとなっている成長要素のほか,個々にインベントリまでが用意されているという内容。
基本は俯瞰視点で進めるゲームではあるが,Warcraft IIIや「Lords of EverQuest」などよりもさらにRPGよりにシフトした作品と捉えるといいだろう。タイトル画面からしてリッチな音楽,そしてやたらと凝った挿入ポートレイトと,しょっぱなからプレイヤーに質の高さとボリュームを感じさせるあたりもうまい。そして実際にプレイしてみても,まったく予想を裏切らないデキなのが素晴らしい。
本デモ版のファイルサイズは300MB強とRTSのデモとしては大きめだが,内容はチュートリアルとシングルキャンペーン,マルチプレイといたってオーソドックス。つまり個々のボリュームが圧倒的に大きいのだ。
チュートリアルに至っては,Heroユニットの管理から資源調達などを順繰りにプレイしていると,ゆうに数時間は経ってしまうほどである。しかし野暮ったいキャラクターデザインの割に,ビジュアル的なインパクトが強く,次から次へと新たなオブジェクトを登場させてやめどきを感じさせない作りなのが見事だ。
ゲームの進行は,ストーリーや背景の説明用ムービーを見て,クエストログを埋めていき,資源調達,ユニットの作成/強化,そして戦闘へといった具合。もちろん要所にアイテムを入手したりスペルを入手してキャラクターのメモリスロットに格納したりというRPG要素が入る。
商人と取り引きする場面もあるし,敵の死体からルートするなどの作業もすべてプレイヤーが行うあたりはRPGと同じ。視点も基本となる俯瞰のほかに三人称視点も用意されており,アクション性の高い,戦闘で敵や味方のターゲッティングなどの細かい動作が必要な場合は,マウスホイール操作で速やかにMMORPGライクな視点に移行することができる。
また戦闘シーンにおいても,本作には他作には見られない工夫がある。
これは開発元が「Click'n'Fight」(CnF)と呼んでいるシステムで,RTSやRPGでの戦闘時に生じるユニットターゲッティングの冗長性や,遅延を回避するためのもの。具体的には,常に画面上部にすべてのユニットのポートレイトを表示し,明確に操作ユニットをアクティブにしていない場合でも,現在ターゲットしているユニットに対して味方が行えるすべての動作を一覧できるようしている。つまりプレイヤーは,ターゲットと画面上部のポートレート欄だけを注視しいればいいことになるワケ。
細かい部分だが,比較的大きめのユニットがゴロゴロ登場して画面を覆う本作においては,非常に有効なシステムだ。
本作をプレイしていて気になったのは,やはりこの手の3Dタイトルでは問題になりがちなインタフェースについて。マップの起伏に合わせて視点が上下するのはまぁいいとして,俯瞰でカメラを引いていくとだんだんと視点角度が鈍角になり,最終的には完全な見下ろし視点になってしまう点がいただけない。視野が広ければ問題ないのだが,実際には狭い範囲しか一望できず,ユニットや資源を探してあちこちにカメラを移動しなければならず,若干のストレスが生まれる。
パフォーマンスに余裕があるのであれば,動的LODなどを駆使して,ある程度遠くまで見渡せるようにする工夫が欲しかったところだ。
本デモ版では,チュートリアルでレベル5,キャンペーンでレベル21のヒューマンのスペルキャスターでプレイできる。とくにある程度成長して数々のスペルを習得した状態で遊べるキャンペーンは必見の内容で,開始と同時にSelfIllusion(分身)やIce Elemental(召喚)などを駆使して,巨大モンスターとの大立ち回りが楽しめてしまう。これは遊んでおかなければ損だ。
製品版が欲しくなること請け合いのキラリと光る良質のデモ版なので,じっくり腰を据えて遊んでみてほしい。(Gueed)
■デモ#2リリース 2004.2.26追記
2004年2月26日に,「SpellForce」のデモ版第二弾がリリースされた。
収録されているのは前回の#1とほぼ同じで,チュートリアル/キャンペーンモード/マルチプレイモードの三つ。ただしそれぞれ内容が変わっていて,キャンペーンモードでは新しいシングルミッション「Farlorn's Hope」が遊べ,マルチプレイヤモードでは新マップ「Whisperling Swamp」が使用可能になっている。
なおファイルサイズがデモ#1より30MBほど増加しているが,#1で遊べたシングルミッションは含まれていないので,どちらも遊びたい人は両方をダウンロードする必要があることを注意してほしい。
新しいシングルミッションでも,オークモニュメントを発見して内政を拡大し,大規模な戦闘にいたるまでの道筋をひと通り味わえる相変わらず必見の内容。RTSファン,洋モノRPGファンの人はぜひチェックを。(Gueed)
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