英国の小規模なゲームスタジオSlitherine Strategiesが開発したストラテジー「Spartan」のデモ版が登場した。
タイトルの通り,本作の題材は紀元前10~9世紀に古代ギリシアで栄えた都市国家"スパルタ"。近頃めったに耳にしない単語だが,同国家は「虚弱な新生児は山奥に捨てられ,男子は7歳になると国家の所有物。兵役を終える60歳まで過酷かつ合理的な肉体鍛錬を強制される」という驚くべき方針で軍事訓練を行い,当時最強の軍隊を作り上げたことで有名だ。その名残りで,日本でも上記のような徹底した教育方針そのものを"スパルタ教育"と呼んだ時期もあった(余談だが,1970年の流行語大賞も受賞している)。
本作は,そんな時代に台頭した都市国家群を相手に,スパルタのギリシア統治を目指して内政や外交,戦争を行うストラテジーゲームだ。ゲーム画面はRTS風だが,すべてのフェーズはターン制。開発元もその"戦略性"を評価してほしいとのことで,基本的にはじっくりのんびりのプレイ,さらに動作の軽い2Dモードも搭載しているので,ノートPCでも十分遊べる。
通常の内政フェーズは,Food/Iron/Woodなど9種類の資源を,生産や取り引きによって獲得し,都市のテクノロジーや軍事力の向上を目指す。このフェーズの画面は割と箱庭ゲームライクだが,実際には新たな建造物を購入しても配置はすべて自動であり,プレイヤーの関与する余地はない。ただどの都市も成長するにしたがって地方独自のオブジェクトを見せてくるので,ヘンな偏りのない都市のデザインと相まって素直に楽しめる。
プレイヤーが統治するスパルタは,プレイ開始時からすでに多くの地方都市を従えており,序盤は前線への兵力移動と内政の安定に専念することになる。資源や建造物と内政パラメータの因果関係が非常に理解しづらいが,基本的には市民の"Happiness"パラメータの動きだけに注意して,あとはメッセージタブで足りない資源をチェックして少しずつ馴れていく,といった感じだ。
一方戦闘フェーズは,前述の通り基本的にはオート。プレイヤーが決められるのは,開戦前のユニットオーダー,各小隊のフォーメーション,突撃や索敵といった基本的な行動のみに限られる。上記の設定を行ってスタートボタンを押すと,ここで初めて画面が3Dに切り替わって戦場のマップへ移動するという具合だ。
はっきりいうが,このバード/クォータービューで描かれる戦闘フェーズの2画面は,どちらも極めてチープな作りだ。グラフィックスはスクリーンショットで一目瞭然だろうし,そもそも戦闘時の地形効果やフォーメーションの良し悪しが戦闘にどう影響しているかが数値的にもビジュアル的にも判断できない。しばらくプレイしていると,結局開戦前の総力数値を見れば,戦うまでもなく勝敗が分かるような気もしてくる。もう少し長くプレイしてみる必要があるかもしれないが,戦略/戦術をフルに発揮できる戦闘シーンには期待しないほうがいい。内政/外交/諜報活動によって圧倒的な兵力を作り上げることに注力したほうが,本作の魅力を引き出せるかもしれない。
デモ版には,基本的なユニット移動/戦闘や内政を学べる三つのチュートリアルとキャンペーンモードを収録。キャンペーンモードは,序盤1ミッションを30ターン (ゲーム内時間で2年6か月)という制限つきだが,ノーマル以上の難度で遊べば数時間みっちりと遊び込めるボリュームだ。(Gueed)
■2004.6.28 アップデートデモと差し替え
スパルタ人のスパルタっぷりをゲーム化したターン制ストラテジー,「Spartan」のバージョン1.017デモがリリースされた。1.006デモに収録されていたチュートリアル3ステージとキャンペーンの"12:Peleponnese 700BC "に加え,新たにキャンペーンの"6:Creta 900BC"がプレイ可能になっている。
"6:Creta 900BC"は,クレタ島を舞台としたショートシナリオ。自軍は緑色の勢力で,島の10都市を制圧するのが目的だ。ゲームプレイはプレイ30ターン制限で,規定ターンを迎えるとゲームは中断される。登場する建物やユニットなどにも制限があり,セーブ/ロード機能も使用できない。
本格的に遊ぼうとすると奥が深いのだろうが,とりあえず町を育てて軍隊を増やし,隣の町に攻め入るという必要最小限の手順だけでも楽しくプレイできる。難度設定にもよるが,見た目ほど難しくはないので,ぜひ気軽に楽しんでもらいたい。(Kawamura)
(c) Slitherine Software UK Ltd. 2001 - 2003

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