エンスー必携の旧車ラリーシム「Rally Trophy」の開発元として知られる,Bugbear Entertainmentの最新作「FlatOut」のデモ版が登場。同社がRally TrophyやTough Trucksで培った技術を総動員して爽快感とバカバカしさを追求しており,手軽と面白さにかけては今月のトップクラスのデキに仕上がっているので,ぜひプレイしてみてほしい。ファイルサイズもコンパクトだし,久しぶりに万人が等しく楽しめそうな良質のデモといえるだろう。
本作は,アップグレード可能なクルマで,ライバルカーとの接触を気にすることなく,ガリガリとボディ擦りつけながら周回を競うタイプのレースゲーム。ドリフト必須のダートやねっとりとグリップする舗装路などのサーキット,またライバルカーの破壊のみを目的とした「DESTRUCTION ARENAS」や,後述する「RAGDOLL SPORTS」というセンス抜群のバカバカしさを発揮するミニゲームが楽しめる作品だ。
さすが老舗(?)レースゲームデベロッパということもあり,クルマの挙動や接触判定,破損状況シミュレートなどは手馴れたもの。そのなかでも,特筆すべきはコース全体を包括的に覆う物理処理エンジンだ。
木のフェンス,金網,丸太,ジャンプ台,タイヤバリアといったすべてのオブジェジェクトが自然な当たり判定と強度を有していて,自ら崩壊したり,接触したクルマにそのオブジェクト特有のダメージを与えたりと,さまざまな効果をもたらす。クルマの破片から,フロントガラスから飛び出したドライバーまでが障害物として機能しているのが面白い。
また,クルマは「ニード・フォー・スピード」の"ニトロ"と同様のブースト装置を備えていて,ブラー処理ではない,視界の四隅をゆがめながらの爆発的な加速も楽しめる。加速中に障害物に激突すると9分9厘ドライバーがフロントガラスから飛び出し,ラグドール効果でグニャグニャになりながらコースを転げ回るという,無駄なところで笑いをとりにくるあたりも本作のセンスが感じられる点だ。
上記のような一言でいうと"ぶっ飛び感"と,カッチリと作り込まれている印象のレースゲーム部分が見事にマッチされてキワモノ臭を払拭,マリオカートのような爽快感や上達欲をプレイヤーに与えてくれる仕上がりとなっているのが,本作の素晴らしい点だ。
中でも圧巻のくだらなさを発揮しているのは,「RAGDOLL SPORTS」として存在するミニゲーム。ルールは,クルマ操作してジャンプ台へ突入し,途中でニトロ使用ボタンを押下,おもむろにボタンを離して例のごとくドライバーをフロントガラスから放り出してその飛距離を競うというとんでもないものである。まさにドピューと飛び出るドライバー,美しい弧を描いて空中を浮遊する(スローモーションだ)ドライバー,そして着地用マットから大きくずれてコンクリートに叩きつけられるドライバーと,笑いのツボを三つぐらい同時に押してくれるはずだ。
本デモ版には,シングルプレイモードの"QUICK RACE","SPEEDEVIL"というスタンダードなクルマを収録。森林をえぐって作られたダートコース"FINCHLEY FOREST"と,舗装されたサーキットの"FAIRGRASS GROUNDS",ミニゲームの"GRAND SLAM STADIUM"の3枚のマップを収録しており,それぞれ異なるゲーム性のレースを楽しむことができる。
レースゲームがニガテでも,割と広いコース幅でストレスなく楽しめるサーキットコースを流しつつ,GRAND SLAMで笑わせてもらうだけで十分に楽しめるはずだ。オススメ。(Gueed)
■2005.1.19 バージョン1.1デモに差し替え
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