リアルタイムストラテジーには珍しい,ベトナム戦争をテーマとした作品が登場。Platoonとは軍隊における小隊の意味だが,ベトナム戦争で「プラトーン」といったら,オリバー・ストーン監督のあの映画を思い出すのではなかろうか。そう,これはまさしく映画「プラトーン」の雰囲気を楽しむためのゲームである。
ベトナム戦争におけるアメリカ軍の戦いを描いた「Platoon」。フル3Dによる,既存のRTSには囚われない独自のモデルは,兵士や戦闘車両などといったユニットの一つ一つがまるでフィギュアや精密模型のような立体感を持っている。モーションは実にスムーズで,考えている暇などないくらいスピーディな戦闘が繰り広げられるが,高低差や地形効果,相対距離などといった膨大な要素が緻密に影響を及ぼし,決してマウスさばきだけで勝敗が決まるようなヌルいストラテジーではない。 世界最大の兵器数を誇りながら,そのほとんどが深いジャングルのために使用できなかったアメリカ軍。どこに潜んでいるかわからない北ベトナム兵のゲリラ戦と,士気の低下が著しく仲間内で怨嗟がとぐろを巻いているアメリカ兵。雨や霧,モンスーンといった悪天候に鬱蒼と茂るジャングル。ゲームではこういった不安定な恐怖感の描写に尽力しており,とくにキャンペーンモードでは,主人公である一人の兵士の心情が綴られるなどストーリー性がゲームを巧みに演出する。
M16やLAWランチャー,火炎放射器など兵士達の武装も多岐に渡るほか,実際にベトナム戦争に投入された戦闘車両などもユニットとして扱うことができる。M113に兵士を載せて移動するといったことも可能だ。スナイパーによる狙撃モード,クレイモア設置や地雷撤去などの工作行為,砲撃・空爆支援の要請などといったミクロレベルでの戦術がふんだんに盛り込まれている。兵士達の豊富なモーションパターン,かなり描き込まれた上によく動く戦闘車両,ドハデだけどリアルな爆煙など,RTSとは思えない臨場感を味わえるのだ。
デモ版では,大量のベトナム兵が潜むジャングルの中を通る1本の道を舞台に,ここを制圧して安全を確保するというシングルシナリオが1本収録されている。マルチなどは遊べないようだが,ベトナム戦争のイヤ〜な恐怖感がじっとり伝わってくる面白いシナリオなので,さっそく遊んでみよう。
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