美しいグラフィックスと細やかなアニメーションが特徴的な「Frontline Attack:War Over Europe」は,戦車戦を主眼に据えたリアルタイムストラテジームである。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を背景に,プレイヤーは当時に活躍した「Panzer VIB King Tiger」など多数の戦車を操りながら,目標の占拠や敵のせん滅といった各種の任務を遂行していく。
内容的には,同じく第二次世界大戦をモチーフとしたジオラマティックRTS「サドンストライク」を3Dに作り直したような雰囲気だが,"ゲーム的"といわれたサドンストライクに比べると,本作は若干史実寄りのゲームバランスといえるかもしれない。また,芸の細かいユニット(戦車)の挙動も本作の大きな魅力である。重厚なエンジン音と共に土煙を上げて進み,砲塔を回して敵に狙いを定める……などといった一連の動きが実に良く出来ているのだ。夜になれば自動的にライトまで点灯し,グラフィックス面での作り込みはなかなかのモノ。加えて,当時の兵器の性能なども史実に沿った形で再現しており,タイガーII戦車の呆れるほど遅い走行速度や,敵の砲弾を跳ね返す圧倒的な装甲強度など,当時の戦場の雰囲気をリアルに表現している。装甲の堅いタイガーII戦車を前面に押し出し,敵の防衛ラインを切り崩していくのは,なんとも言い難い心地良さがあるのだ。
この体験版では,チュートリアルモードとWehrmacht(ドイツ軍)の特別ミッション一つが用意されている。チュートリアルが面倒くさいと感じるものではなく,しっかりと楽しめる内容となっている点も素晴らしい。ゲームは多少初心者には難しい内容といえるかもしれないが,タイガーII戦車を上手く運用できればなんなく乗り越えられるハズ。途中から使用が可能になる空軍への支援要請も組み合わせて,ぜひ最後までプレイしてほしい作品だ。容量が326MBと非常に大きいのが難点だが,ダウンロードする価値は十分にある。 また余談となるが,かつてアイドス・インタラクティブから「日本での正式販売も検討中」と聞いたこともある。製品版の出来にかなり期待できそうなタイトルなだけに,日本語版の発売を期待して待ちたいところだ。
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