「Chrome」はポーランドのデベロッパTechlandが開発したタクティカルFPSだ。これまで何度か本作のβテスト版を見かけた人もいると思うが，実はすでに本国では製品版が流通しており，つい最近，米国におけるパブリッシャーがStarategy Firstに決定した模様だ。ただ本国での発売時点で製品にかなり多くの不具合が発見され，それはただちにパッチによって修正されたが，それでもまだ多くの不具合を抱えているとの噂があり，米国での発売に対して懐疑的になっているプレイヤーも多いようだ。

　さてそんな曰く付きの本作ではあるが，SFの世界観をベースに"インプラント"による人体強化など，多くのフィーチャーを詰め込んだ意欲作となっている。
　時は26世紀。物語は，人類の植民地化計画の対象となっている惑星「Valkyria」を中心に，五つの惑星にまたがって紡ぎ出される。

　グラフィックスの雰囲気は（若干粗いながらも）「Unreal2」をイメージしてもらうと分かりやすく，乗り物へのアクセスがあり，オブジェクティブを追っていく形式でゲーム進むあたりは「Halo」ライク。。
　唯一独特のフィーチャーとなるのが，ミッションごとに人体強化の手段として用いる"インプラント"システムだ。
　このシステムは，体の各所に特殊な装置を埋め込み，攻撃/防御力の強化や，ある種の超常能力を得るというもの。ゲーム中に新たなオブジェクティブが発生した場合に，使用可能なインプラントがプレイヤーにアナウンスされ，インプラントを装着することで，戦闘時，一時的に戦闘能力を向上することができる。
　"超常的"と書いたが，これには例えば（プレイヤーが感じる）時間の流れをゆるやかにして戦闘を有利に進める，俗にいう"バレットタイム"アクションなどもある。ただし，連続使用はできないので"どのインプラントをどのタイミングで使用するか"というのを念頭に戦闘を進める必要がある。これに味方AIとの連携を絡める必要があるわけで，やはり本作はどちらかというと戦術よりのタクティカルアクションといえそうだ。

　本デモ版には，チュートリアルと序盤の1ミッションを収録。オブジェクティブでは，アサルトだけでなくスナイパーライフルによるAIの戦闘支援などが楽しめる。
　本作は描画エンジン，物理エンジン共にオリジナルのものを採用しており，アウトドアが中心のフィールドマップを美しく描き出しているし，人体，乗り物にかかる重量計算もうまくこなしている。確かにこれといって大きな特徴はないが，自前で用意したにしてはカチッとしたゲーム作りが印象的。FPSファンは一度プレイしてみるといいだろう。（Gueed）

※2003年11月12日，ファイルをバージョン1.1.1.0に差し替えました。

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