第4回World Cyber GamesではTeam 3D優勝。日本代表hanbei選手も快挙!
2004/10/13 20:03
Text & Photo by 奥谷海人

 10月6日から10日までアメリカ・サンフランシスコで開催されていたWCG 2004(World Cyber Games)では,「Unreal Tournament 2004」「Counter-Strike:Condition Zero」「WarCraftIII:The Frozen Throne」など8種目のゲームソフトを利用した世界選抜大会が行われた。
 この大会を運営するICMの広報によると,2001年に行われた第1回大会では37地域より400人弱の代表選手が参加していたという。今回の第4回大会は,台湾や香港も含めると63地域に上り,参加者も約700人と倍近い数字にまで膨れ上がった。これも,サムスンの強力なバックアップがあってのことだろう。ホスト国となったアメリカやWCGの発祥地である韓国はもとより,南アフリカ共和国,リトアニア,モンゴル,イラン,エクアドルなど,サムスンの支社がありそうな国ならどこからでも参加している様子だ。
 事実,韓国のWCGに対する熱意は相当なもので,政府機関である文化観光省も公式援助を表明。ひと頃よりは減少したものの,いまだに年収1000万円を越えるプロゲーマーも何人か存在する。発売から6年経った「StarCraft」も韓国では人気を維持しており,KT Telecom社などのスポンサーを受けているクランもあれば,大会にはコカコーラやパナソニックなど外資系の企業も各種ゲーム大会をバックアップするという。欧米の草の根的な広がりとは違い,官民揃っての大きな盛り上がりは,韓国のゲーム市場の60%がオンラインゲームに頼っているという特異な体質にも起因しているのだろう。
 WCGは,伝統的に「国家vs.国家」というオリンピックを模したスタイルで進行する。それぞれの入賞者には金,銀,銅のメダルが贈られ,さらに獲得メダル数を合わせた数で最優秀国を決定するようになっている。開催中にはCivic Auditoriumの向かいにあるプラザで民族舞踊やコンサートが開かれ,これまで韓国で行われていた以上に国際色の豊かな競技大会になっていた。2005年の第5回大会はシンガポールで開催されることが決定しており,さらにアジア諸国からの参加が増えることも予想できる。

 今回のWCGへの日本人選手の参加は12人。チームマッチであるCounter-Strike:Condition Zero(カウンターストライク:コンディションゼロ)には"Four Dimension"の5人。Unreal Tournament 2004にはfumio選手hanbei選手voxxx選手の3人。そしてエキシビジョンマッチとなったゴルフゲーム「Pangya」(スカッとゴルフ パンヤ)に4人という構成だ。



「Unreal Tournament 2004」
〜 オランダのLauke選手強し,hanbei選手も決勝トーナメント進出!

 初日でvoxxx選手が,2日めにもfumio選手選手が敗れてしまったが,日本の選抜大会を1位で抜けたhanbei選手は好調だった。2日めの午前から行われた選手5人からなるグループOで,スペイン代表のPEPESPAIN選手とスイスのsosi選手を,いずれもダブルスコア以上で撃破。午後になってもリトアニアのResp4wneR選手を16-7で下して決勝トーナメントへの進出を決めた
 第4戦ではアメリカの新鋭CombatCarl選手が相手となった。すでに決勝進出を決めていたため少し気も緩んでいたかもしれない。結果は6-14と奮わなかったものの,今大会ベスト8にまで進んだCombatCarl選手に前半は互角の戦いを演じており,観戦者達に「アメリカやヨーロッパの選手には見ないプレイスタイルで,度胸や頭の良さが目立った」と言わしめた。
 hanbei選手は「くじ運が良かっただけ」と謙遜するが,WCGのFPSジャンルで日本人選手が決勝に進出するのは始めてのこと。本人はWCG 2003のソウル大会にも出場した経験があり,この1年でレベルアップしたのは疑いない。日本きってのUTプレイヤーといえる。
 決勝トーナメントでは,hanbei選手はポルトガルの[H]Hypno選手と対戦した。決勝トーナメントでは3ラウンドのマッチで先に2勝したほうが次に進めるというルールで,ここではRoughineyとRankinが選ばれた。決して実力差があるわけではなく勝機もあったのだが,後半に差を広げられること多かった。
 決勝は,前評判通りオランダ代表fnatic_Lauke選手の圧勝だった。ほとんど負けなしで金メダルを獲得した同選手は,初戦でFumio選手に大差で勝って決勝に進んでいたカザフスタンのChozen選手に2-1と苦戦していたくらい。2003年は日本のKikuji選手を予選リーグで破っており,最終的には準優勝まで進んだ逸材である。決勝戦では,4大会連続でドイツ代表として出場しているmouzAOpen_Burnie選手を押し退けて,ようやく王座の地位をものにした。前年の優勝戦敗退から相当な練習に明け暮れていたらしく,「ようやく勝ってほっとしている」というのが彼の心境のようだ。



「Counter-Strike:Condition Zero」
〜 Team 3Dが念願の栄冠を獲得! アジア勢の健闘も光る

 WCG大会の華ともいえるCounter-Strikeは,チームメンバーの声の掛け合いがスポーツらしさを感じさせる競技。日本から参戦したチーム"Four Dimension"は,2日めのグループKでプレイした。対戦相手はシンガポールの[GBR]Grudg3,そしてフィリピンのPTTと,アジア勢ばかりが固まっており,これも決勝出場へのチャンスは十分にあった。
 本大会予戦での競技ルールは,CT(カウンターテロリスト)側,TR(テロリスト)側それぞれの12ラウンドマッチを消化するというもので,決勝戦ではさらに3セット行い2セット先に勝ったほうが次に進む。
 結果はというと,Four DimensionはPTTにCTで11-4,TRでも8-1と完勝し,強さを実証してみせたかのように思えたが,次の[GBR]Grudg3相手にはCTで6-7と先行され,TRでも5-6と惜敗。素質はあるようだしもう一息といったところなので,非常に残念な結果だったと言わざるを得ない。チーム合宿やCPLへの参戦などで経験を積んでいる彼らだが,それでも日常的に集まって練習を繰り返す世界の強豪達の壁は厚い。日本国内でのライバルの出現も必要だろう。
 さて,Four Dimensionを倒して決勝戦に進出した[GBR]Grudg3だが,初戦では優勝候補の一角でもあったカナダ代表Team EGを13-5,13-9のスコアで撃破。次のアメリカ代表Team 3Dには完敗したが,アジアのCounter-Strikeクランのレベルが底上げされてきているのが分かった。とくに,韓国代表のMaveN Clueは決勝に進めなかったスウェーデン代表の最強チームSK Gamingさえも3位決定戦で破っており,今回のダークホースとなった。

 優勝決定戦へは,そのSK Gamingをトーナメントで破ったTeam 3Dと,2003年に再結成したデンマークのThe Titansが駒を進めた。
 NVIDIA社やCompaqなどをスポンサーに持つTeam 3Dは,2003年のWCGでは準優勝に終わっており,最近では大きな勝ち星がなかったために結果を出したいところ。会場では弱くなったと言われながらも順当に勝ち進んできた。とはいえ,決勝トーナメントの初戦で対峙したオーストリアのAstralisには,3vs.1の情況からピストルで3人連続で仕留められるなど,不安定な要素もあった。
 一方のThe Titansは,2004年に入ってGreek CPL Summer 2004で6位,ESWC優勝など,ヨーロッパのeスポーツ大会で好成績を残しており,本大会の公式スポンサーだったShuttle社の援助も取りつけている。しかし,大会前の数週間はチーム揃っての練習をできなかったとのことで,本大会の試合を通して仲間のコミュニケーションやプレイ感覚を取り戻していたという。
 Team 3DとThe Titansとの試合は,まさに歴史に残る名勝負といえる試合で,初戦のTrainでは合計で13-4(CT5-4,TR8-0)とTeam 3D側の楽勝に思えたものの,次のCbbleではThe Titansが11-11,1-1という粘りを見せて両チーム一歩も引かない。やがて,この2試合めの延長戦として3ラウンドの短縮マッチが行われたが,ここでも3戦めまでもつれて,ようやくTeam 3Dに勝利の女神が微笑んだ



その他のマッチ
〜 パンヤは韓国の圧勝。総合ではオランダの強さが光る

 エキシビジョンマッチのPangyaは,すでに正式サービスの行われている韓国と,現在βテスト中の日本と台湾から4人ずつの選手が出場した。12人を8人,8人を4人へと絞っていくという試合方式で,3ラウンド勝ち残れば優勝できる。
 結果は,日本人でただ一人第2戦に進出したれいんまん選手も,決勝ラウンドにまでは進むことができなかった。やはり正式にサービスが行われている韓国勢が強く,1位から3位までを韓国人の代表選手が独占した。



 WCG 2004サンフランシスコ大会の全競技の結果を,下にまとめた。
 各種目の優勝者は2万5000ドルの賞金を得たのを始め,準優勝者は1万ドル,第3位にも5000ドルが贈られた。チーム戦のCounter-Strikeだけは優勝チームに5万ドル,準優勝チームには2万5000ドル,第3位には1万ドルという賞金となり,総額は日本円で4000万円を越えている。

Counter-Strike:Condition Zero
1. Team3D (USA)
2. The Titans (Denmark)
3. MaveN Clue (Korea)

FIFA Soccer 2004
1. Volcano (Korea)
2. g3xcarrico (Brazil)
3. aL_smeyer (Germany)

Need For Speed :Underground
1. [pG]Sliver (Germany)
2. LordOfGround (Korea)
3. andinhovsen (Brazil)

StarCraft:Brood War
1. xellos_kr (Korea)
2. midas[gm] (Korea)
3. [3wD]Christian (Bulgaria)

Unreal Tournament 2004
1. fnatic_Lauke (Netherlands)
2. mouzAOpen_Burnie (Germany)
3. Chip_masK[GSC] (Ukraine)

WarCraftIII:The Frozen Throne
1.[4K]Grubby (Netherlands)
2. WelComeTo (Korea)
3. yoanm (France)

Halo
1. Zyos (USA)
2. Junior_ca (Canada)
3. Walshy (USA)

Project Gotham Racing 2
1. KingTuur (Netherlands)
2. Sackl (Austria)
3. Prooff (Netherlands)

 全8種目のうち,「Unreal Tournament 2004」「WarCraft III :Frozen Throne」「Project Gotham Racing 2」を三つで金メダルを獲得したオランダが総合優勝を獲得,閉会式のセレモニーでは最優秀賞としてトロフィーが贈られた。興味深かったのは,壇上に上がった18人のオランダ代表選手団が国旗を振ってサッカーファンのように歌ってみせたり,実際にオランダ国歌の斉唱までが行われたことである。WCGは商業意識も強く,決して国が代表選手を選んで送り込んでいるわけではないが,外国人選手には「国家代表」という意識が芽生えているということだ。

 「日本はゲーム国家」という意識が我々にはあるものの,日本ではマイナーなオンラインゲームがeスポーツとして世界で定着しつつあり,60か国に及ぶ代表が集まって腕を競い合っている現実がここにある。Counter-Strike:Condition Zeroで銀メダルとなったデンマーク代表のThe Titansには,アナログモデムしかないというツワモノもいるらしく,当然ブロードバンドの普及率では,日本よりも低い地域も多いだろう。スポンサーが付いているチームは世界トップレベルでなくてはならないし,それ以外のチーム/参加者だって日本人と同じく昼は働くか通学している人がほとんどで,時間や軍資金の足りなさは言い訳にならないはず。
 やはり,LAN環境での対戦経験が,日本人プレイヤーには決定的に少ないと言わざるを得ない。hanbei選手のように,最初にオンラインゲームで遊んだのがUnreal Tournamentという,PCゲーマーというよりはUTゲーマーと呼ぶにふさわしい選手もWCG参加者には案外多いらしく,そんな才能がオンラインゲームに触れて開花できる機会も必要だ。高校や大学での部活,さらにはネットカフェなどを利用した地域的な活動の広がりが,これからの日本eスポーツ界に求められている。

→WCGの公式サイトは,「こちら」
→WCGの日本公式サイトは,「こちら」




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