「FS 2004」エアショー併催イベントが今度は浜松航空祭で - 2003/11/17 19:03

 先日(11月16日)マイクロソフトは,同社の「マイクロソフト フライト シミュレータ 2004 翼の創世紀」(以下,FS 2004)を使った"飛行体験"イベントを,静岡県の航空自衛隊浜松基地にて行われた「浜松航空祭」に合わせて開催した。

 航空祭とは,多くの戦闘機/輸送機/ヘリコプターの展示や,アクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」による曲技飛行などが行われる,航空自衛隊主催の恒例イベント。航空祭に合わせたイベントといえば,以前「こちら」のNewsでもお伝えしたが,マイクロソフトが航空祭に合わせてイベントを行うのは今回で二回めとなる。今回は,基地内の滑走路横に設置されている格納庫の一角にFS 2004をインストールしたPCを並べた,"飛行体験コーナー"という位置付けだ。

 このイベントは,スタッフが操作方法を教えつつ参加者が自由にFS 2004を楽しめるという内容。航空祭自体の観客層のせいもあってか,子供に引きずられた親子連れが多く見受けられ,小さな子供が一心不乱にジョイスティックを握る光景が印象的であった。航空祭のアトラクションの一つとして,なかなかに好評を博していた様子。入れ替わり立ち替わり,多くの観客で賑わったイベントとなった。
 また途中,元航空自衛隊パイロット/教官の金子豊顕(かねこ とよあき)氏がゲストとして登場し,FS 2004に対する感想を語ってくれた。流石に元本物のパイロットだけあって,その視点や考察には,ユニークあるいは「なるほど」と納得させられるものが多かった。氏には独自にインタビューを行ったので詳細は最後にまとめて紹介するが,氏の話では,FS 2004は実際に訓練で使う"本物のシミュレータ"と比べてもほとんど遜色無いほどで,非常に驚いているとのこと。最近では,特殊部隊アクション「レインボーシックス」がアメリカ国防総省に"訓練用"として採用されたりするなど,質の高さが目立つ市販用のシミュレータだが,シミュレータゲームの大家たるフライト シミュレータシリーズもまた,プロの目から見ても驚くほどのクオリティのようである。

 これは余談となるのだが,前回の入間航空祭では天候不良のため残念ながら中止となってしまったブルーインパルスによる曲技飛行が,今回の浜松航空祭では予定通り開催された。なかなかに"一見の価値あり"のイベントだったので,軽く紹介しておこう。
 ブルーインパルスとは,純国産の中等練習機「T-4」で編成された展示飛行を専門の任務とした飛行隊。日本各地で開催される航空祭のメインイベンターとして,これまで数多の観客を魅了してきた実績を持つ。
 凄い,と評判だけは聞いていた曲技飛行だが,事実,その内容はかなり見応えのあるものであった。6機編成による一隊が白煙を吐きながら美しく並んで飛ぶサマや,錐もみ,垂直落下,飛行機同士の交差旋回など,そのアクロバティックな飛行には,ただただ感動するばかり。自動車でもあんな機械的な動きをされると見とれてしまうのではないか……というようなアクションを"飛行機"で実現してしまっているのだから,搭乗しているパイロットの腕前には舌を巻かざるを得ないだろう。格別"航空ファン"というほどでもない筆者だが,ブルーインパルスによる曲技飛行には,正直かなり心躍らされてしまった次第。近くで航空祭が開催されるなど,読者の中でブルーインパルスの曲技飛行を見る機会があるという人は,ぜひ一度足を運んでみるとよいだろう。

 最後に,金子豊顕氏へのインタビューを紹介しつつ,今回の記事を締めくくらせて頂きたいと思う。
 一見すると"気さくなおじいちゃん"といった趣の金子氏は,6000時間以上の飛行経験や,過去に曲技飛行中のエンジントラブルから奇跡的な脱出を果たしたりしているなど,いろいろと逸話を持つ有名人。F-4EJファントム戦闘機の操縦士教官も務めていたなど,生粋のプロである金子氏に,フライト シミュレータの印象などを伺ってみた。(TAITAI)


forGamer(以下,4G):
 金子氏から見て,フライト シミュレータシリーズとその最新作であるFS 2004の印象はどうでしょうか?

金子豊顕氏(以下,金子氏):
 このシリーズには7年ほど前に触れたことがあるんだけど,クオリティが格段に進歩しているのが凄いと感じる。

4G:
 どのへんを"凄い"と感じましたか?

金子氏:
 航空自衛隊でも,いわゆる"本物のシミュレータ"を使って訓練するんだけれども,FS 2004の出来は,それに比べても遜色ないんじゃないかと思う。
 ただ本物のシミュレータのほうは,計器やスイッチ,レバーなんかが用意してあるから,大きな差といえばそのくらい。FS 2004だとマウスで計器を操作するでしょ? 個人的には,それはやっぱり違和感があるね。

4G:
 ご自身は,フライト シミュレータシリーズで遊ばれることは多いですか?

金子氏:
 元々フライト シミュレータシリーズを遊んでみたキッカケは,実際の飛行訓練の合間に"息抜き"でやってみたことなんだよね。それでやってみたら,これは良くできてるなと。
 ただ正直なところ,私がフライト シミュレータシリーズを遊ぶことはそんなに無いね。あとゲームとしてやるなら,編隊を組んで戦えるもので遊びたいと思う。

4G:
 「コンバット フライト シミュレータ」はどうでしょう? ただあれは現代戦が舞台ではないですけれど。
 そういえば,空中戦をゲームで遊ぶとして,金子さんとしては,現代戦と昔(例えば,第二次世界大戦など)の戦闘と,どちらが好みなのでしょうか?

金子氏:
 ちょっとやってみたけど,あれも良くできてるね。ただこれは個人的な意見になってしまうけど,画面に表示されるレーダー情報が少ないのに違和感を感じた。というのも,自分が現代レーダーを見慣れているせいなんだけどね(苦笑)
 ただ遊ぶとしたら,やっぱり昔のほうが味があって好きかな。現代戦だとミサイルで勝負付いちゃうし。

4G:
 航空祭のイベントもそうですが,フライト シミュレータなどで子供が飛行機に興味を持ってくれるというのはどう感じますか?

金子氏:
 飛行機乗りとして,多くの人が興味を持ってくれるのは嬉しいと思う。
 だけど,ただ好きなだけじゃパイロットとして大成するのは難しいね。好きな人というのは,その好きなこと以外に視野が広がらないから。パイロットを志すなら,広い視野/考えを持つように心がけてほしい。
 戦闘機乗りだと,仕事として淡々と任務や訓練をこなせる人が優秀な成績を収める傾向が強いね。

4G:
 なるほど。まずは任務に忠実なれ,ということですか。

金子氏:
 そういうこと。ただフライト シミュレータみたいなゲームが一般に売られているというのは,時代の進歩を感じる。錐もみ旋回などのアクロバティックな飛行はFS 2004で楽しんで,空中戦はコンバット フライト シミュレータで楽しむといいと思う。
 最近はインターネットを使って対戦もできるみたいだから,今度チャレンジしてみたい。

4G:
 本日はありがとうございました。


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