[TGS2003 #33]韓国ブースPart3 韓国ブースのタイトルをまとめて紹介 - 2003/09/29 21:37


 多くのタイトルが出展されていた韓国ブースだが,全体的にはちょっと元気がないような印象。これは別に韓国ゲーム自体の勢いが昨年より落ちたというわけではなく,むしろ逆で,NC Softを筆頭にした大手企業が単独でブースを構えるようになってしまったから,という側面が強い。それだけ現在の韓国企業に勢いがあるといえるのだが,韓国産のオンラインゲームの中で,日本でラグナロク以外のタイトルが振るっていないのもまた事実だろう。
 韓国国内でゲーム市場が若干苦しくなりつつあると言われる昨今。その打開策として世界的展開を目指す企業も多いようだが,大手のNC Softからして,その道は楽なものではないようだ(Linageは北米市場で大敗している)。
 ともあれ,ここではそんな韓国産ゲームの作品をいくつか紹介していきたい。(TAITAI)

美しいグラフィックスとMMORPGとRTSを融合させたシステムが特徴的な「英雄の道(仮称)」

 韓国ブースの中でも,グラフィックスの面でとくに目を引いた作品がこの「英雄の道(仮称)」である。本作は,MMORTSというちょっと聞き慣れないジャンルを謳う作品で,丁度MMORPGにRTSの要素加えたような内容が特徴的なタイトル。MMORTSというと,ちょっと昔だと「タクティカルコマンダー」を思い出してしまうが,根本的なところではそれに近いシステムになっているようだ。一つの戦場には,最大で50〜60人前後が集えるらしく,それぞれが軍を率いた"会戦"を楽しめるとのだという。
 またブースにいたスタッフに話を聞いたところでは,本作の特徴は,一人でも楽しめるようにRPG要素を重視して盛り込んでいるところとの話。戦場に駆けつけて人間相手に戦いを繰り広げる以外にも,各地に徘徊するモンスターを倒して,経験値やアイテムを獲得していくという楽しみ方をより重要視しているようだ。
 ちなみに本作のグラフィックスのクオリティは,ぱっと見欧米産のRTSにまったく引けを取らないレベル。画面のきめ細やかさもさることながら,戦闘のエフェクトやユニットのアニメーションもなかなか。ストレートに面白そうだと感じさせるだけの,クオリティを見せるタイトルのように思えた。細かいシステムはまだまだ分からないが(というか,まだ出来てない部分も多いとのことだった),今後のブラッシュアップに期待したい作品といえる。韓国では,12月からのβテストを予定しているとのことだ。

ドッグファイトを簡略化したお手軽対戦シューティングゲーム「Beetlewing」

 「Beetlewing」は,ライトユーザーを意識したお手軽な対戦シューティングゲーム。横スクロールシューティングのシステムを対戦ゲームとしてアレンジした内容が特徴で,ポトリスライクなノリで対戦を楽しめる一風変わった作品だ。プレイヤーは,個性的なキャラクター(戦闘機とセット)を選択し,相手の機体を撃墜していく。最大で6人までの対戦がサポートされる。
 面白いのは非常にユニークなゲームシステムで,交互に相手の機体を後ろから狙うという,ターン制のような方式が採用されている。自分の番になると,数秒間自由に相手を狙える時間が与えられ,その時間を有効に使って相手のHPを減らしたり,オブジェクトを破壊してより多いポイントを獲得していかなければならない。横シューティング版のポトリス,といえばその特殊なルールが伝わりやすいだろうか。ちなみにポイントが溜まると機体がレベルアップしてショットが強化さるので,敵機体を狙うか飛来するオブジェクトを狙うかが,本作における悩みどころ(駆け引き性)だといえる。
 ちなみに展示されている試遊台では1vs.1のゲームを体験することができたのだが,かなり爽快感のあるゲームプレイを楽しむことができた。今や懐かしさすら感じるシューティングゲームだが,その面白さに対戦という要素を融合させようというのが,このBeetlewingというワケだ。
 これは余談だが,同社の開発する「Battle Marine」の国内サービス元という繋がりでか,ブースにはサクセスのスタッフがたたずんでいた。早速日本での展開を聞いてみたところ,「ウチでやるかどうかはまだ分からないんです」との返事が。本作は,多人数で遊んだときのゲームテンポ(順番待ち)がどうなるのか,など多少心配な要素こそあるものの,全体的にはなかなか楽しめそうな雰囲気。今後の展開が気になるところだ。

雪合戦を題材にしたポトリスライクなアクションゲーム「Snow Hazard」

 本作は,雪合戦をテーマにした対戦型パズルアクション。クォータービューで描かれる北極の妖精の村を舞台に,妖精達が熾烈な雪合戦を繰り広げていく。基本的なゲームルールは,一言でいうとポトリスをちょっと改良したような雰囲気。プレイヤーは,交互にキャラクターを操作して,敵対するプレイヤーキャラに雪玉を当てていかなければならない。
 操作方法はポトリスのそれとほとんど同じで,自分のターンになったら,まず移動を行って,後に雪玉を投げる方向を決定。その後に左右に揺れるパワーゲージにタイミングを合わせてクリックし,投げる力強さなどを調整していく。ポトリスと比較して,3次元的な要素がふんだんに盛り込まれているのが特徴で,例えば障害物の後ろに隠れたりできるほか,放物線を描くように雪玉を投げつけることで,その障害物の陰にいる敵に玉を当てたりできるのだという。最大4vs.4までの対戦モードをサポートし,プレイヤーの強さを考慮してゲームを組ませるマッチング的要素もロビーシステムに搭載しているようだ。

MMORPGとボードゲームを融合させた異色作「Avata Battler」

 本作は,韓国では大流行しているというアバターと,カタンのようなボードゲームを融合させたという新機軸のオンラインゲーム。カタンというよりは,どちらかといえばカルドセプトのような方向性が強く(敵を攻撃したりするという意味でだが),ターン制で交互にサイコロを振りつつ,ボード上を移動していく形だ。
 最大の特徴は,アバターというプレイヤーの分身キャラクターに着目しているところ。顔や髪の毛,服装など膨大に用意されたパーツを組み合わせることで,自分だけのキャラクターを作り上げていけるのだとか。プレイヤーは戦いを通じて経験値やAPポイントと呼ばれるポイントを獲得していき,それを使用して新しい服を買ったり,新しいスキルを覚えていったりしていけるという。
 またゲームモードはさまざまな形式が用意されており,ひたすら相手を倒し合うデスマッチモードの他にも,協力あるいは競争をしていくミッションモードなどを搭載。加えてプレイヤーは"アトリエ"と呼ばれる自分だけの家を持つことができ,そこに装飾をしたり,友達を呼んだりして楽しめるとのことだ。
 これは余談だが,韓国では"アバター・ビジネスモデル"というのが注目されており,例えば,ゲーム自体を遊ぶのは無料だが,そのゲームを遊ぶ上での自分のキャラクターを装飾品で飾り付けたい場合に,それらの服や装飾品が有料で提供されるというビジネス手法がある。要するに,無料でゲームを遊んでいるうちにキャラクターに愛着がわき,そのキャラクターで人付き合い(チャットな訳だが)をする以上,多少は"身だしなみ"が気になってきてしまう……という寸法。損して得取れではないが,なかなかにユニークな発想だといえる。
 今後,日本でもこのアバターという概念が浸透していくのかどうか,本タイトルの行く末も,その辺りの動向にかかってくるに違いない。

近未来を舞台にしたオンライン・スタイリッシュFPS「Vital Sign」

 Daum Communications社が展示していたのは,近未来を舞台にしたFPS「Vital Sign」だ。スタイリッシュという形容詞がちょっと気になるところだとは思うが,要するに,ちょっとナウイ(死語)格好をしたキャラクターが暴れ回るという,世界観的なモノを指しているだけの模様。アクション性や操作方法など,ゲームの基本的な部分は極めて普通のFPSだといえる。パットと見「Unreal Tournament」の世界観をもっと現代寄りにして,スポーツゲーム的な雰囲気をそのまま残した感覚だろうか。
 ただ本作が大きく違うのはオンライン専用になっていることで,クランシステムのようなコミュティ支援機能を内包している点。クラン戦を主体にした陣取り合戦的なゲームモードが設定されており,それを巡った攻防が本作のポイントになる。またプレイヤーが操作するキャラクターにも経験値とレベルの概念が設けられており,戦闘を重ねるほどにより強力な武器などを扱えるようになるという。
 韓国では2003年10月にオープンβが予定されており,またそれに併せてキャラクタのモデルなどを一新させ,よりグラフィックスの向上を図るとのことだ。


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