DOOM III体験記 〜FPSゲーマーの祭典にて,プレイアブルなゲームが初公開!! - 2003/08/19 19:46


 2003年8月14日から17日まで開催されていた"QuakeCon 2003"において,「DOOM III」のプレイアブル版が公開された。しかも4人の参加者によるマルチプレイヤーモードがプレイできるようになっており,多くのファンが20分間のセッションを楽しむために,長い列を作って待機していたのだ。さて,その出来映えは……?

4人の参加者によるデスマッチモードが公開された!
 QuakeConで公開されたDOOM III用のマルチプレイヤーマップは,まだ名前も付けられていないもので,4人で赤,青,緑,黄色に分かれてのデスマッチが遊べるようになっていた。
 DOOM IIIは当初シングルプレイヤー専用ゲームとしてリリースされる予定だったが,どういう経緯からか,いわば"当然のように"マルチプレイヤーモードも搭載されることになった。第一作が,1993年に発売されて以来,LANでデスマッチ対戦という新境地を開いたシリーズ最新作だけに,そのあたりは外せないところなのだろうか。
 ただし今回公開されたマルチプレイヤーマップは,id Software社ではなく「Return to Wolfenstein 3D:Enemy Territory」でその名を馳せたイギリスのSplash Damage社によって制作されている。
 このマップは,"コリドール"(Corridor)と呼ばれる形式のクラシックなタイプの形状で,縦型の溶鉱炉かレーザー装置のような場所を中心に,いくつもの小さな部屋が狭い通路でつながっているというものだ。プレイ可能な4人という数字が,市販時の参加人数の上限になるのかは定かではないが,対戦用マップとしては小ぶりなので,おそらくはデスマッチ用として少人数で楽しむことを念頭に制作されたのだろう。4人がちょうど良く感じられるマップだったのは間違いない。

DOOM IIIのデスマップ用マップに見た地獄絵図
 レーザー装置は,中央のホール数階分を貫いており,周囲をプラットフォームが回っている。そのプラットフォームには五つのロケットを搭載したロケットランチャーが設置してあり,このプラットフォームの間から階下へ飛び降りることも可能だ。
 ロケットランチャーのほかにも,ピストル,ショットガン,マシンガン,プラズマガンが利用できるようになっていた。近距離/遠距離ともに威力を発揮できるマシンガンはもちろんのこと,ボール状のエネルギーを噴射するプラズマガンは(弾は遅いが)かなり使い勝手が良さそうで,八つの弾丸をこめられるショットガン,12の弾丸のピストルなどよりも,使用頻度が高くなる感じだ。

 このマップが"市場テスト用"として初公開された理由は,おそらくシングルプレイヤーモードの雰囲気を良く出しているからではないだろうか。
 キャラクターが人形のように関節ごとに折り曲がって倒れるラグドール効果や,パイプから吹き出す水蒸気,割れるガラス(特定の場所のみ),光沢のあるメタリックな壁のテクスチャなど,もはや新しい要素といえるものではない。しかし,通路に最初に公開された画面写真そのものの真っ暗な影と光が強調された場所があったり,窓からは赤い火星の風景も確認できたりするなど,すでに知られたDOOM IIIのイメージ通りの世界がそこにあったのも事実だ。
 扉も多く,開けた途端に敵と遭遇することもしょっちゅうで,逆に待ち伏せにも使えるだろう。中心のレーザー装置にハマると焼死,もしくは転落死するし,ほかにも突起物が飛び出してくる場所もあるなど,対戦相手以外に注意すべき要素も多い。

 また説明が難しいが,階下には地獄のようなイメージの場所もある。中央のレーザーが発動するたびに周囲のホールが赤一色に染まる様子など,全体的な雰囲気が強調されている感じで,まるで映画「エイリアン」でリプリーが少女を救出しに再突入したときのような,混沌とした風景が演出されていた。あのシーンを,さらにid SoftwareらしいゴシックとSci-Fiをミックスさせたようなダークなテイストにしたのが,DOOM IIIなのだと思って間違いなさそうだ。

DOOM IIIで登場したバーサーカーモードとは!?
 今回のデモで利用されていたマシンのスペックは公開されなかったが,アンチエイリアシングをオンにした状態ではあったが,640×480ドットというミニマムな解像度になっていたのが少し心配だ。
 ただ,2004年中という発売時期を考慮すると,まだフレームレートを向上させるためのチューンナップは行われていないはずだから,この処置は参加者達に不満を感じさせないようにするためなのだと,肯定的に考えておくべきだろう。実際,デスマッチという一般参加者が大勢プレイする状況の中で確認した限りでは,画面上に独特で非常に美しい光景が広がっていた。

 命中精度はポリゴンごとに換算されるようになっているため,プレイヤーが使用できるキャラクターは,完全もしくはほぼ同じ形状で,スキンテクスチャかアーマーの色のみが変化すると想定される。大きさが異なればフェアではなくなってしまうためだ。
 このため,プレイヤーが選択できるキャラクターのバリエーションが少なくなったり,MOD制作者も自由な発想を生かしにくくなったりする恐れはある。

 どこからともなく聞こえてくる男の悲鳴が,マルチプレイヤーモードにおいては違和感があったのだが,これは"バーサーカー"という,プレイヤーキャラクターの初期装備武器であるフィスト(こぶし)を瞬間的に一撃必殺の究極兵器に変身させるパワーアップをゲットしたときに発生するものだ。
 具体的には,攻撃力が最大で4倍にまで跳ね上がり(調整中),移動スピードも2倍となる予定。自分が利用すれば,頭がクラクラするイメージでグラフィックスの描画能力が低下して,脳内に自分の叫び声が響き渡る。相手が利用していれば,その叫び声で距離や位置が推測できるというわけだ。
 このバーサーカーパワーアップを入手すれば,プレイヤーは近くにあるポータルゲートから別の場所へと移動し,キャラクターは骨組みだけのスケルトンのようになって凶暴化する。おそらくは,以前に公開されたムービーデモで悪霊に乗り移られたガードマンのような状態になったのだろう。デスマッチ中だったため,自分の姿をゆっくりと確認することは難しかったのだが,もちろんキャラクターが死ねばそのままの姿でラグドール効果が発揮されていた。

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 今回のDOOM III初公開は,"革命的な対戦モード"を提唱しているのではないが,FPSの面白さを知らしめるには十分だった。
 たった一つのコリドールマップでデスマッチ,という限られた状況のなか,DOOM IIIのすべてを把握できたわけではないが,DOOMシリーズらしい正統派FPSの一端を垣間見ることはできた。「Half-Life 2」など競合が次々と発表される中,新世代FPSの一角として,今後どのように発展していくのか。これからも続報に期待していよう。(奥谷海人)


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