「3DMark03」論争に,ジョン・カーマック氏が参加 - 05/29 14:55


 id Software社のジョン・カーマック(John Carmack)氏が,英語圏のニュースサイトSlashdotの掲示板に投稿。NVIDIA社とFutureMark社の3Dベンチマークソフト「3DMark03」の問題について,自らの見解を示した。彼の意見を抜粋して記載してみよう。

 「ATIとNVIDIAの比較論争の最大の焦点は,フラグメント・シェイダー精度にまつわることだ。NVIDIA(のGeForce 4以後のGPU)は,12ビットの整数,16ビットの浮動点,そして32ビットの浮動点を計算できる。ATIのほうはいうと,24ビットの浮動点のみだ。だから,この二つのGPUの仕様を正確に比較できるモードというのは,実際には存在しない。
 DirectX 9とARB_fragment_program(OpenGLのシェイダープログラム)は,32ビットの浮動点演算を可能にしており,ATI(のR300 GPU)はすべてを24ビットに変換するようになっている。つまり,どんな演算セットが与えられた場合でも,16ビットの浮動点ならNVIDIAはATIよりも速く処理できるし,32ビットであればNVIDIAが遅くなってしまう。DOOMIIIをNV30のフラグメント・シェイダーで起動してみると,NVIDIAのGPUがATIより速くなり,ARB2シェイダー(OpenGL 2.0のプログラム)で比較するとATIが速くなるというのは,ここに起因しているんだ」

 このあとは,「ベンチマークへの最適化で悶着を起こすくらいなら,デバッグモードの強化を真剣に考慮してほしい」と,いつものソフトウェアプログラマからの視点で述べた"カーマック節"が書かれている。

 3Dゲームソフトのユーザーに大きな影響力をもつに至った3DMark03だが,NVIDIA社が不正処理をしたドライバをリリースしたとして,FutureMark社が告発したばかり。ただ,カーマック氏の意見を読む限り,このベンチマークソフトそのものが両GPUを比較するには適していないことも伺える。いずれにしても,ATI社とNVIDIA社の熾烈なゲーム市場獲得に向けた攻防が,PCゲーム業界に弊害をもたらすことがあってはならない。(奥谷海人)


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