[E3 2003#085]遂に公開された「Middle-Earth Online」 - 05/19 16:34

 「Middle-Earth Online」を開発しているのは,「Asheron's Call」シリーズのTurbine Entertainment社である。これまで,世界的な展開をしてこなかったために,その知名度は決して高くはないが,「Ahceron's Call」は,一時はMMO御三家の1つにも数えられたほどのソフトだ。Turbine Entertainment社は,このジャンルではベテランの開発チームだといっても過言ではないだろう。
 「Middle-Earth Online」は,トールキンの小説を世界観のベースにしており,ちょうどサウロンが勢力を再建し始めた"Fellowship of the Rings"と同じ時期が舞台になっているらしい。ただし,このゲーム化に関する権利獲得については制約があり,"リングクエストの邪魔をしてはならない"らしい。そのために,開発者達が思いを巡らせたのが中つ国の南側だ。フロドと仲間たちが北方へと旅を続けている間に,黒の乗手(Black Riders)らサウロンの手下たちがホビット庄(Shire)を荒らすなどしており,小説では詳しく描かれていないイベントも起こっている。プレイヤーはリングクエストに挑戦することはできないが,南の領土を荒らすサウロンの軍隊と戦うのがプレイヤーに与えられた任務なのである。選択できる種族は,ヒューマン,エルフ,ドワーフ,そしてホビットは確定しているようだが,詳しい話はしてくれなかった。

 リリースは2004年末ということだが,会場で公開されていたデモ版(ローカルサーバー使用)では,すでにホビット庄には多くのNPCが設置されており,踊ったりテーブルで話をしていたりと,随分活気に溢れた平和な風景が描かれていた。もっとも,ホビット庄は戦闘のできない地域で,プレイヤーはここでアイテムを揃えたり英気を養ったりできる。さらには各地を飛び回ってサウロンと戦っているガンダルフがここに停泊していて,彼にモリアに行って来いなどというクエストを受けるのである。そう,ガンダルフは「Middle-Earth Online」に登場するのだ。他にも,フレデガー・ボルジャーやファラミールといった,南に残っている脇役たちもNPCとして出会うことになりそうである。
 さらに,デモはモリアへと移動してレベルの完成具合を見せてもらったが,地上から漏れる光や反映する湖面など,グラフィックスは中々のものである。モリアでは,扉を開くのに実際に言葉のナゾナゾを解いたりする必要があり,かなりトールキンの描写に誠実であるようだ。モリア内部では,オークたちとの激しい戦闘が待っているのは言うまでもないだろう。

 中でも興味深い仕様の1つなのが,プレイヤーキャラクターの悪と善の区分けの方法である。通常であれば,キャラクターメイキングの段階でアライメントを設定しそうなものだが,「Middle-Earth Online」では,プレイヤーがサウロンの魔力によって汚染された武器や防具を付けた時点で,精神が悪に置かされてしまうのである。サウロンの息のかかった武器は強力で形状や色彩もカッコ良いものも多く,プレイヤーにとってそそるアイテムになるのは間違いなく,これで悪への誘惑を表現しているというわけだ。
 一旦これらの武器や防具を身を着けると,プレイヤーキャラクターのアライメントが変更し,ホビット庄では物を売ってくれないだろうし,リーベンデールでは弓矢の出迎えを食らうかも知れない。もちろん,サウロン側となったプレイヤーでも,物資の調達ができる町は複数用意されるらしい。
 プレイヤーがクエストをこなしていく上でも,その内容によってプレイヤーのアライメントが序々に変化していき,より善性のクエストを完成させればキャラクターの風貌が神々しくなっていくし,その反対に悪性のクエストを選べばいかにも悪者になっていくという。
 このように,どんなクエストを選択するかが,プレイヤーには重要なこととなるようだ。ガンダルフからクエストを得てフロドたちを裏で助けるか,サウロンの元で中つ国を統一するか。それはプレイヤー自身の動向で決まるのだ。(奥谷海人)


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