"1万円で買えるGeForce FX"が登場! 「GDC 2003」スペシャルレポート #11 - 03/08 23:20

Text & Photo by トライゼット西川善司

■"1万円で買えるGeForce FX"が登場。
   そしてなんとGeForce FX2も公開!

 米国現地時間3月6日,NVIDIAはGeForce FXファミリーの新ラインアップとして,「GeForce FX 5600」(以下,FX5600)および,「GeForce FX 5200」(以下,FX5200)を発表した。

サンノゼ市内を走る"GeForce FX塗装"された2階建てバス


■メインストリーム向けの"FX",GeForce FX 5600シリーズ
 FX5600は,コードネーム"NV31"として知られていたGPUだ。製造プロセスルールは0.13μmで総トランジスタ数は8000万。「GeForce FX 5800」(以下,FX5800)の1億2500万よりはだいぶ少ないが,GeForce4 Ti系の6300万よりも若干多いということになる。
 FX5600のコアクロックは350MHzで,FX5800系の500MHzに比べるとだいぶ抑えられている。またビデオメモリはDDR1-SDRAMで,クロックスピードは550MHz〜700MHzとなる。
 コアアーキテクチャは「CineFX」エンジンであるため,表現力は上位のFX5800系と同等。よってプログラマブル頂点/ピクセルシェーダは"2.0+"に対応する。当然,実数ピクセルなどのDirectX 9の新フィーチャーにも対応していることになる。スループットは「1クロック当たり4ピクセル」という言い方をしており,発表会では4パイプ……という表現を用いていた。
 この日,発表会のあとに行ったGeForce FXファミリーのプロダクトマネージャに対するインタビューで,GeForce FXシリーズのコアアーキテクチャに関してより詳しい情報が得られたので,この辺りの真相に関しては別途レポートする。
 FX5600で現行のアプリケーションを動作させたときの実効パフォーマンスは,GeForce4 Ti4600を30%程度上回るとのこと。ただし,価格はGeForce4 Ti4600の半額程度になる見込みなので,コストパフォーマンスは非常に高いといえる。
 価格は200〜249USドル周辺で,発売は4月の予定。ラインナップにはコアクロック350MHz/メモリクロック700MHzの「GeForce FX 5600Ultra」と,コアクロック350MHz/メモリクロック550MHzの「GeForce FX 5600」の2タイプになる見込みだ。
 今回,256MB版モデルの発売を予定していることも明らかにしたが,価格とリリース時期は未定。なお256MB版では,DDR2-SDRAMの採用もあり得るとのことだ。

「GeForce FX 5600Ultra」の実機写真「GeForce FX5600 Ultra」とGeForce4 Tiファミリーとの性能比較


■エントリクラス向けの超低価格GeForce FX
   GeForce FX 5200シリーズ

 「GeForce FX 5200」(以下,FX5200)は,コードネーム"NV34"として知られていたGPUで,ラインナップ的にはGeForce4 MXの後継にあたる製品だ。
 製造プロセスルールは0.15μmで,総トランジスタ数は約4500万。コアクロックは250〜350MHzとなる見込み。ビデオメモリはDDR1-SDRAMで,クロックスピードは400〜700MHzだ。
 コアアーキテクチャは,FX5200もCineFXアーキテクチャであるため,表現力はGeForceFX5800系と全く同等ということになにる。エントリクラスの価格帯でありながら,プログラマブル頂点/ピクセルシェーダ"2.0+"に対応するDirectX 9世代GPUは,FX5200が世界初ということになる。
 コアエンジンのスループットは,クロック当たり4ピクセルとしており,これは上位のFX5600と変わらない。すると「性能はFX5600と変わらないのか」というとそういうことはない。このあたりのカラクリも,追って別のレポートで解説する。
 さてFX5200シリーズの実効パフォーマンスは,公称GeForce4 MX460の2.5倍。驚くべきはその価格設定で,なんと79USドルと発表された。日本円にして約1万円。プログラマブル頂点/ピクセルシェーダ2.0+アーキテクチャのDirectX 9世代GPUが1万円で買えるというのは,かなりセンセーショナルなことだといえる。
 なお発売時期は,こちらも4月の予定。ラインナップとしては,コアクロック350MHz/ビデオメモリクロック700MHzの「GeForce FX 5200Ultra」,コアクロック250MHz/ビデオメモリクロック400MHzの「GeForce FX 5200」の2タイプがある。

「GeForce FX 5200Ultra」の製品写真。FX5600同様,外部電源コネクタがあるのが分かる紹介用ペーパーの1ページ目のフィーチャー表を転載


■GeForce FXの性能はオールマイティか
 NVIDIAの戦略が強力なのはハイエンドモデルだけでなく,メインストリームモデルやエントリクラスモデルに対しても,すべてのマーケットレンジにおいて,最上位モデルと同じFX5800クオリティのポテンシャルを提供するところだ。
 これまでゲーム開発元は「プログラマブルシェーダ2.0(+)が実行できるGPUを持っているユーザーはまだ少ないから」ということで,プログラマブルピクセルシェーダ2.0に手を出さなかった。ローエンドからハイエンドまで,すべてにおいてプログラマブルシェーダ2.0を実行できるとなれば,ゲーム開発元はターゲットGPUの表現能力格差を意識しないで,ゲームグラフィックスやシェーダープログラムを作り込めるようになる。
 もちろん,ローエンドとハイエンドのGeForce FXでは最大パフォーマンスに差があるので,あまりにも高度なシェーダを多数実行させてしまうとローエンドのGeForce FXではスムーズに動かなくなる可能性もある。ただ,少なくともせっかくの最新プログラマブルシェーダ技術が「使われない」「実行できない」という状況を打開することには貢献できるはずだ。
 これはある意味,競合ATIのRADEON 9500以上の売り上げにも貢献する,業界全体の活性化につながる発想といえるのかもしれない。
 なお,先日発表されたATIのローエンド向け新GPU「RADEON 9200」(以下,9200)は,DirectX 8.1ベースであるため,このマーケットレンジの勝負は「NVIDIA優勢」で展開していく可能性がある。

NVIDIA社長Jen-Hsun Haung氏が度々繰り返していたのが「DX9が79ドルで!」という文句4月までにGeForce FXファミリーを150万基出荷すると豪語


■次世代GeForce FX2(?)を公開
 発表会の最後には,開発コードネーム"NV35"で知られる次期GeForce FXを実際に動かすデモが行われた。
 現行FX5800Ultraの二倍のパフォーマンスを発揮すると説明し,あのGeForce FXシリーズ用のデモ「Dawn」の妖精を同時に4体登場させるデモを公開。このデモをFX5200で動作させた例も示されたが,若干カクついた動きをする。つまりかなり重いデモなのだが,NV35では,なんと妖精DAWNを4体登場させてダンスさせても非常にスムーズに動作するのだ。
なおこの期待のNV35は,今年夏頃に早速登場する予定とのことだ。
 またNVIDIAは,"NV31M","NV34M"のコードネームで知られるノートPC向けモバイル版GeForce FXの発表が近いことを示唆させるアナウンスも行った。NVIDIAはローエンドからハイエンドのデスクトップPCだけでなく,ノートPC向けGPUにおいてもプログラマブルシェーダ2.0+の表現力を提供していくのだ。

これが実際に次期GeForce FXで妖精4体を同時にダンスをさせているときの映像


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