マイクロソフトが「ライズ オブ ネイション 〜民族の興亡〜」を正式発表 - 02/18 19:26

ゲーム業界の重鎮が送り出す,期待の最新作

 2月10日,マイクロソフトは,新作のリアルタイムストラテジーゲーム「マイクロソフト ライズ オブ ネイション 〜民族の興亡〜」(以下,RoN)のプレス向け発表会を開催した。会場には,同作品のゲームデザイナーであり,また開発元のBig Huge Gamesの社長でもあるブライアン・レイノルズ(Brian Reynolds)氏みずからが出席し,RoNの魅力について説明を行ってくれた。

 RoNのゲームデザイナーを務めるブライアン・レイノルズ氏は,あのCivilizationの産みの親であるシド・マイヤー氏の元パートナーであり,過去に「Colonization」,「Civilization II」,「Alpha Centauri」などを作り上げた実績を持つ,米ゲーム界きっての重鎮。最高峰のストラテジーゲームの制作を目的として,2000年2月にBig Huge Games社を設立し,意欲的な創作活動を行っている人物である。

 Big Huge Games社の処女作となるRoNは,タイトル名が示す通り"国家/民族の興亡"をテーマにしたリアルタイムストラテジーゲーム(以下,RTS)。古代から現代に至るまでの6000年にもおよぶ壮大な人類の歴史をテーマに,リアルタイムストラテジーゲームのスリリングなゲーム展開とターン制ストラテジーゲームの奥の深さを融合させた,挑戦的なゲームデザインが本作の最大の特徴といえる。

リアルタイムとターン制の良さを融合させた新機軸のゲームスタイル
 
 人類の壮大な歴史をランチタイムに楽しめる,というゲームの基本コンセプトは,昨年発売された「Empire Earth」(以下,EE)を彷彿とさせるものがある。しかし,EEがオーソドックスなRTSだったのに対して,RoNは,Civilization IIなどを作ってきたレイノルズ氏ならではテイストが多く盛り込まれた作品であり,ゲームの雰囲気もCivilizationシリーズに代表されるターン制のストラテジーゲームに近い。ひたすら忙しい近年のRTSのスタイルではなく,良質のターン制ストラテジーゲームを手軽に遊べるようリアルタイム制にカスタマイズした,といった印象を受けるのだ。それぞれの勢力を"国境"で区切るなどの概念は,従来のRTSでは考えられなかった要素の一つといえよう。

 RoNでは,国境線が物理的に設定されており,国境線の内側(つまり自分の領地)でなければ,施設の建設や後述するレアリソースの採取が行えない。基本的には,都市を増設するごとに国境線が広がっていくが,そのほかにも寺院(宗教)の建設や政治的なテクノロジーを開発することでも,領地を押し広げることができる。つまり,軍事的に敵を制圧する以外にも自分の勢力を広げる手段があり,ただ闇雲に戦うだけだった従来のRTSに比べて,戦略的な選択肢が多く用意されているわけだ。戦略的要素の豊富さが,RoNの最大の魅力なのである。

 RoNは,太古,古代,中世,ルネサンス,啓蒙時代,産業時代,近代,現代の8つの時代に分けられており,太古から現代までを約1時間ほどで駆け抜けるゲームデザインとなっている。
 RoNの面白いところは,基本的なテクノロジー……例えばAge of Empiresシリーズでは施設毎に分化されていたものが,時代の進化と絡めてひとまとめにしてある点だろう。 つまり,テクノロジーを研究するための施設「Library」で,軍事,政治,商業,科学といった4つの系統のテクノロジーを順次開発していくのだ。各時代ごとに二つ以上のテクノロジーを開発すると,次の時代へのステップアップが可能になり,さらに進んだテクノロジーの開発が可能になっていくといった具合である。一見複雑そうな進化システムを,一つの建物に集約させて簡素化しているわけだ。この辺り,過去に名作シリーズを生み出してきたレイノルズ氏の力量を感じさせる部分といえる。

 また本作には,基本資源として金(本作では"財産"という扱い),食料,木,金属,石油,知識といったモノが設定されているが,そのほかにもレアリソースと呼ばれるダイヤや塩,琥珀などといった特殊な資源が用意されている。レアリソースはマップ上にランダムで配置されており,商人をそこに向かわせて採取することで,交易の効率を高めたりなどのちょっとしたボーナスを得ることができるわけだ。
 それぞれの資源は,資源のある地点を自分の領地内に収めないと採取することができないため,価値の高い資源の獲得をもとめて,各国が国境線を広げようと躍起になるなどは,リアルタイムストラテジーゲームというよりは,じっくりと腰を据えて楽しむような戦略級ゲームのような雰囲気を感じさせる部分だろう。

世界制覇を目指す「Conquer The World Champaign」モードを搭載

 さて,ゲームモードについても触れておこう。基本的にはリアルタイムストラテジーゲームとして設計されている本作。CPU相手に練習を行う「Quick Battle」やネットを介して対戦を楽しむ「MultiPlayer Game」といったモードが用意されているわけだが,RoNでは,シングルプレイ専用のモードとして「Conquer The World Champaign」というゲームモードも用意されている。これはいわば「信長の野望」のようなターン制のゲームモードであり,プレイヤーは日本,フランス,ドイツ,ギリシャなど用意された国家の中から一つを選び,世界制覇を目指すという内容になっている。ゲームシステム的には往年の名作ボードゲーム「Risk」などに近く,区分けされた世界地図の上の駒を動かして,次々と国や地域を征服していく。駒を動かした先に敵がいればリアルタイムゲームとしての戦闘が始まり,設定された条件の元で敵を打ち倒すのだ。
 また地域を征服するたびに得られる特殊な"ボーナスカード"の存在もユニークな要素だろう。ボーナスカードには,軍事的なボーナスや経済的なボーナスを含めて,さまざまな種類のものが用意されており,戦闘前にそれらを数枚組み合わせて使うことで,戦いを有利に進めることができる。文明の特性をさらに付け足せるという感覚が近いだろうか。ゲームの展開にメリハリを付ける面白い試みといえる。

 ポストAoEとして注目されている本作。しかし発表会の説明を聞く限りでは,RoNは,RTSの王道を行く作品ではないと強く感じた。つまり,ターン制ストラテジーゲームをより遊びやすく/スリム化した結果,その形を表現するための手段としてリアルタイムという表現方法を選択したといった印象を受ける。言い換えれば,過去のボードゲーム的な面白さを持つ作品を,現代風にアレンジした内容といった雰囲気なのだ。RTSは確かに時代を切り開いたジャンルではあるが,それが肌に合わないユーザーが多いのも事実。RoNは,そんなユーザーをも取り込める新しい形を目指している作品なのだろう。今年の春発売予定の日本語版を,一刻も早く遊びたいものだ。
 またforGamerでは,発表会の後にブライアン・レイノルズ氏に個別インタビューを行い,RoNの面白さやシステムについて,さらに詳しい話を聞くことができた。そちらも追って掲載する予定なので楽しみにしておいてほしい。(TAITAI)




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