[ECTS 2002#19]UBIは,PCゲームで唯一「Raven Shield」を出展 - 08/31 15:44

 フランス大手のUBI Softは,ECTS会場内でも大きなブースを設置しており,Xbox版の「XIII」(PCでもリリース予定)や「Sprinter Cell」を出展して大きな注目を浴びていた。そんな中PCゲームで気を吐いていたのが,「Tom Clancy's Rainbow Six:Raven Shield」だ。
 シナリオ自体はトム・クランシー氏に認定を受けただけのものだが,UBI Soft社の担当者は,「彼のシリーズ作品と比べても非常に優れたものだ」と胸を張る。その秘密は,映画「ヒート」や「ザ・ロック」などの軍事アクションシーンの演出を担当したマイク・グラッソ(Mike Grasso)氏の協力を得たことで,ハリウッド的な魅力溢れるシーンが満載されたことにある。"善と悪"の部分が鮮明に描かれることでプレイヤーの立場が確立され,これまで以上にドラマティックに展開していく。

 グラフィックエンジンは「Unreal Warfare」を使用しており,視覚的に非常に美しいものになっているが,Raven Shieldではそれ以上にチームメートのAIに多大な注意を払って開発を進めているようだ。その一つが,"ウィンドローズ"と呼ばれるインゲームのコミュニケーション機器の採用で,ゲーム中でミッション内容などを的確に指示してくれ,それに合わせて選択項目形式で隊員の動きなどの命令をチョイスできる。もちろん,事前のブリーフィングも簡素化された3D画面のものになっていて,その重要性が高いことに変わりない。メンバーを分けて行動させるときにも,一定時間ごとにメンバーにレポートさせることが可能になったので,ゲーム中に起こっていることをリアルタイムでフォローしやすくなったのがありがたい変更点だといえるだろう。

 "善"のレインボウ・シックスがこういう緻密な計画やコミュニケーションで動くのに対し,"悪"のテロリストは通行人を人質にとるなどダーティなタクティックスを利用する。人質もプレイヤーの指示に大人しく従うものもいれば,パニックになってオタオタと逃げ惑うものも出てくる。ゲームをテストプレイして面白いシーンに出会ったので報告しておくと,人質によって違った性格付けがなされているらしく,ゲーム中にテロリストに対し,「やつらが追ってきたぜ!」とテロリストの味方であるかのような発言をしているシーンに出くわした。担当者に言わせると,テロリストと人質がしばらくいっしょに行動しているうちに心を通わせてしまったのだとのこと。もちろんテロリストにも違った思考ルーチンが用意されており,パニックを起こすものやより組織的に行動を取ってくる一団もあるらしい。

 Raven Shieldは,これまでのシリーズであった第三人称視点との切り替えをなくし,完全に第一人称視点のカメラに固定している。グロッソ氏の意見を取り入れ,高所からの銃撃に明らかなアドバンテージがあったり,ナイトスコープやフラッシュグレネード(白色発光で周囲の人間の視覚を一時的に制限する)などの新兵器が採用されている。また,ドアなどはマウスで開き具合を調整できるようになっており,少しだけ開けた隙間から敵を狙うなどの作戦も取れるだろう。これまではプレイヤーは目の前の敵を全員射殺しなければならないような設計になっていたが,Raven Shieldでは手錠をかけて無抵抗にしてしまえるようになったので,比較されがちな"SWATシリーズ"の要素も取り入れている感じがした。
 シングルプレイヤー用のミッションは15種類用意されていて,ロンドンを始めとする世界各地で戦うことになるのはこれまで通り。最大16人までをサポートしたマルチプレイヤーモードは,刑務所や銀行などの専用マップが6種類制作されていて,デスマッチ,チーム対戦,ミッション協力,キング・オブ・ザ・ヒル,レスキューなどのモードで楽しめる。残念ながら発売日は2003年の2月に延びてしまっているが,今年12月にリリースされるらしいマルチプレイヤーデモには期待しておこう。(Okutani)


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