[IGF2002 01]Asheron's Call 2 - 02/28 17:46


[IGF2002 01]Asheron's Call2

文・写真 奥谷海人

 「World of Warcraft」「Tabula Rasa」「Midgard」,それに「Star Wars Galaxies」。大作の話だけは出揃っているが,いつになったら発売されるか分からない。こんな現状では,どんなMMORPGに期待して良いか検討もつかない,というゲーマーも多いだろう。そんな人への一つの朗報といえば,2002年末までには確実に発売される予定になっているという,マイクロソフトの「Asheron's Call 2」(AC2)しかないだろう。
 AC2は,現在でもマイクロソフトのGaming Zoneで運営されているオリジナルのAheron's Callから数百年後を舞台にした世界へと移行している。もはや以前のような面影はなく,さらに奇妙になったクリーチャーやキャラクターたちがはかない命を育んでいるという,時代の退化期である。プレイヤーは,ほかの仲間と協力しながら新しい世界を作り直していくというのが,このゲームでの大きな目的となるのだ。
 メインストーリーはまだ公言できない規定になっているらしく,重要な部分は聞けなかった。おおまかにいうと,第1作で3部族が争いあったことから,デレス(Dereth)の世界が大きな魔力によって破壊されてしまったのだという。AC2では,プレイヤーは三つの王国(Order,Shadow,Dominion)を機軸にする"ファクション"という組織に加入し,それぞれのイデオロギーを基に新しい国造りを目指すという趣向なのだ。

 AC2では,Asheron's Callの運営で会得した多くの知識が生かされているということだが,特にCEOのジェフ・アンダーソン(Jeff Anderson)氏が強調するのが,「プレイヤーの1人1人を巻き込んだ壮大な規模のアドベンチャー」である。これについては,ストーリーの実体そのものが秘密なので,具体的な表現では説明されなかったものの,
「プレイヤーがゲーム世界に参加した時点から始まる,数か月におよぶキャンペーン」
ということらしい。ほかのMMORPGではいまだ成し得ていない,スケールの大きいキャンペーンであるというのだ。
 プレイヤーキャラクターとなるのは前作と同じく3種族ではあるものの,今回では人間だけの世界には捕らわれていないようだ。プレイヤーは,すばしっこい人間族のほかに,今回のデモでのプレイヤーキャラクターだったリザードマン系のルジアン(Lugians),そして筆者は確認できなかったものの,おそらく公開された画面写真にはある毛むくじゃらの生命体,トゥメロック(Tumeroks)という種族でプレイできるようになる。
 さらにAC2で目を引くのが,1キャラクターにつき2500から5000ポリゴンで表現できる性能を誇る,最新のG2グラフィックエンジンだ。去年のE3において報道したとおり(「こちら」参照),草木が風の速度に合わせてそよぐのは当たり前のことで,水辺に倒れるモンスターの影が水面に反射していたりというオーガニックな表現をMMORPGの環境で達成しており,驚くほど見応えのあるものになっている。前作でも巨大な滝などのダイナミックな地形モデルが好評ではあったが,新作では予想を越える現実的な世界が目の前に広がっているのだ。G2エンジンはGeForce3にオプティマイズされており,少しハイエンドな環境を要求するようだが,5年という製品の寿命を見越して考えた場合,いつまでも風化しないゲームにしたいという開発者の意図なのであろう。

 多くのことについては語ってもらえなかったが,魔法システムやコンバットシステムにおいても大幅な改良が見られ,より"楽しく","快適な"ものになるはずだとアンダーソン氏は語る。特にACで評判だった従属システムもバージョンアップし,「指輪物語」のフェローシップのように,簡略化しながらも複雑な要素を盛り込んだチームプレイを考案しているらしい。
 ただし一つ残念なのは,日本での市場展開がまったく未定のままであるということ。前作も,正式には国内サービスインがなされなかったし。もっとも,マイクロソフトはアジアでのRPG人気の高さも理解しているので,ひょっとしたらひょっとする可能性もある……かも。AC2に関してはさらなる続報を入手する予定なので,お楽しみに。


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