[ECTS速報#1]Medal of Honor - 09/02 20:37


 5月に開催されたE3で初公開されて以来(「こちら」がE3時の記事だ),少し毛色の変わったFPSとして大きな期待を呼んでいるのが,この「Medal of Honor:Allied Assault」(MOHAA)だ。残念なのは発売日が2002年の2月にまで延びてしまったことだが,開発者は「その分だけ期待に添えるような作品に仕上げてみせる」と答えていた。

 Medal of Honorとは,勇敢に戦った兵士にアメリカ軍部が贈る称号で,名誉勲章ソサエティー(Congressional Medal of Honor Society)によって管理されている。もちろん本作もこの会合組織と正式に契約しており,第二次世界大戦をモチーフに,"名誉勲章"を受けるに値するミッション内容ばかりで構成されている。内容的には6つのキャンペーンからなる20種類のミッションが用意されており,1942年から1945年までのドイツ軍侵攻をテーマにしている。
 具体的には,プレイヤーはOSS(Office of Strategic Service)に特別任務を授かったマイク・パウエルとなり,砂漠の北アフリカから始まって,雪の森を舞台にしたノルウェー,国土回復を目指して激戦が繰り広げられるフランス,そしてライン川を超えてナチスの本拠地であるドイツへと突入していく。これらのミッションには,オマハビーチでの死闘やルーデンドルフ橋を挟んでの戦いなど「プライベート・ライアン」を連想させる描写が多いのは確か。しかし,映画とは違ってプレイヤーがインタラクティブに参加できるというゲームプレイを含めたことで,臨場感を倍増させるのに成功している。

 今回のデモンストレーションでは実際に遊べるαバージョンが展示されており,ノルウェーの森林地帯と,ルーデンドルフ橋の激戦,そして場所は特定できなったがヨーロッパ本土らしい場所での戦車戦がプレイできた。Medal of Honorの面白さの秘訣は,"ハーフライフ"などを筆頭にする「スクリプト化(ゲームのイベントを自動発生させること)された演出」が,より洗練された形で使われているところだろう。このゲームでは,これらのイベントを発生させるトリガーがとにかく豊富に用意されていて,少し進むたびにインゲームムービーが楽しめるという趣向になっているのである。ちなみにE3で公開されていたオマハビーチのデモは,実際のゲームプレイの中でも一番スクリプティングの効果が見られる場面だと開発者は話してくれた。
 とはいうものの実際のところ,筆者がスクリプトベースのイベントを目撃したのは,ノルウェーのマップで列車が通り過ぎる部分くらいで,まだまだ作り込みの未熟さがみられる。特に敵AIは,大きな音が発生したりプレイヤーがサーチライトに照らされたりすると反応するが,味方が近くで銃撃されても立ち尽くしたままで,このあたりでの製品版の出来には期待したいところだ。気に入ったのは,キャラクターモデルの着弾の部位によってダメージが異なること。頭を狙えば一発で仕留められるし,足を撃たれれば足を引きずりながら逃げていくなどの描写が見られた。
 ちょっと残念なのは,幅広いゲーム層を考慮した作りのため,この手のコンバットゲームに見られる流血の多さが目立たないし,敵の死体や破壊されたオブジェクトも比較的早く消え去るようになくなってしまうということだ。ただ破壊できるオブジェクトの数は多く,敵の照らすサーチライトを破壊しながら強行突破していくその様は,まさに名誉勲章にふさわしいといえるだろう。

 Quake3エンジンを使用したグラフィックスの性能は良く,パーティクルシステムで煤煙や爆発の効果が見事に表現されている。敵の死にざまのアニメーションもリアルで,「Wedge of SiN」を開発した2015社の経験が,このゲームでも十分に発揮されているようである。また,第二次世界大戦で実際に使われていた武器や乗り物のモデリングや,リロードの仕方などが正確に描写されているのも特徴だ。銃のボディーの黒光りなどもリアルに再現されている。武器は,トンプソン・サブマシンガンやマークUフラッグ手榴弾のほかに,バズーカや火炎放射器など21種類が登場する。
 ノルウェーのマップなどは,ゲートなどでプレイヤーが通るべきところが制限されているが,森林が果てしなく広がっているようにも見えるなど,マップの作り込みやテクスチャの細かさもクオリティが高い。16人までをサポートしたマルチプレイヤーモードは,"カウンターストライク"のようなキャラクタークラスは存在しないが,チーム対戦モードや"ラストマン・スタンディング"という最後の一人となるため生き残りをかけて戦うモードなどが考えられている。現在ではシングルプレイヤーモードに専念して開発が行われているということだが,マルチプレイヤーモードも同じパッケージに添付される予定だ。
 日本では,エレクトロニック・アーツ・スクウェアが完全日本後版を発売する予定。マルチプレイでの問題(英語版とのVer.違いなど)などの懸念事項はあるが,期待できそうだ。
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