"アリス"デザイナーのインタビュー掲載(MPEG付き) - 12/11 01:03

 さる12月1日に西麻布SPACE LAB YELLOWで行われた「アリス イン ナイトメア先行プレミアム発表会」。当サイトの読者でも,応募して来てくれた人がいた,あのイベントだ。我々プレスはそれに先駆けて個別インタビューがもらえたわけだが,そのときのQ&Aを,MPEGファイルでの生American McGeeの映像を含めつつ,かいつまんで公開しよう。本当はもっと早く出そうと思っていたのだが,どうしてもゲームムービーのほうがメインになってしまって……。
 ちなみに,作成したMPEGファイルは,
「これ」(なぜ「Alice in Wonderland」が選ばれたのか)
「これ」(FPSの否定から始まった"Alice")
の二つ。McGeeの知的な"しゃべり"を見てくれ! というわけで,以下がインタビュー。


forGamer.net:
――私も"アリス"の原作は大好きです。おそらく世界最高の"大人のためのファンタジー"だと思います。しかし,なぜ「Alice in Wonderland」をゲーム化しようと思ったんですか?
McGee:
「そうだね。僕も,"アリス"は世界で最も素晴らしいファンタジー作品だと思う。登場するキャラクターとシーンの豊富さ,シーン中でのキャラクター同士のやり取り,そして,これまでのゲームで感じていた"単調作業"に対しての不満が,キャラクターやシーンの複雑な「Alice in Wonderland」を選んだ理由なんだ。"アリスは子供向けの作品"と言われているけど,それはディズニーバージョンでの話。あれは確かに子供向けだけど,この「アリス イン ナイトメア」は大人向け。より原作に忠実になっていると思うよ」
forGamer.net:
――"単調作業"……? つまりは,いままであなたが作ってきた数々のFPSの否定から始まっているというわけですか?
McGee:
「まったくその通り。そういうスタイルのゲームは,もう十分にやってきただろ? 誰かがこれまでのスタイルを打ち破って,違うスタイルのものを作らなくてはならないと感じていたんだ。映画に例えるなら,今まではただ単に"アクション映画"や"SF映画"というものを作っているというだけで,何ら新しいモノを生み出していない。「アリス イン ナイトメア」は,キャラクターにストーリーのあるホラーアクションゲームとして,初めての試みなんだ」
forGamer.net:
――なるほど。先ほど見せてもらったデモ(すでにいくつかムービーで当サイトに上がっているものだ。「Hot Downloads!」参照)の中には,お馴染みのキャラクター達が大勢登場しますね。
McGee:
「この作品では,原作の「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」に続く第三章としての物語を創りたかった。なので,もちろんこの「アリス イン ナイトメア」には,原作2作の多くのキャラクターやシーンを登場させてるよ」
forGamer.net:
――ほとんどのキャラクターが登場するように見えますが
McGee:
「うーん,walrusとoyster(せいうち&牡蠣)以外は全部登場するんじゃないかな,確か」
forGamer.net:
――ヤマネも?(管理人は,あの"お茶会"のヤマネが大好き)
McGee:
「dormouse? 出るよ,もちろん。でもどう登場するかは内緒だよ」
forGamer.net:
――じゃあこの"アリス"のキャラクターの中で一番好きなのはどれですか?
McGee:
「ゲームの中ならば,僕らが新しく作ったキャラクター"狂気の子"かな(英名Insane Children)。これはワンダーランドを救おうとして失敗してしまった子供で,アリスも一歩間違えれば同じになってしまうというわけ。原作での話なら,やっぱりチェシャ猫かな。さっきも言ったけど,本からのキャラクターはほとんどすべてゲームに登場するよ。原作の文中に名前だけ出てくるようなものもすべて。せいうちと牡蠣を除けば,みんなが知ってるハンプティダンプティなどのメインキャラクターはすべて登場するんだ。みんな性格が凶悪になっているというだけで,あとは原作どおり」
forGamer.net:
――凶悪といえば,アリスが一番雰囲気違うように見えますよね
McGee:
「原作では,最後の冒険のときのアリスは8歳だったけど,ゲーム中のアリスは18歳。ここからが,この"アリス イン ナイトメア"の舞台だ。彼女は両親をなくして精神病院で10年間過ごし,再びウサギに呼ばれてワンダーランドに帰ってきた。そこでいろいろな経験を通して,戦うべき人になったわけだ。とても知的だけど,頭の中はちょっと壊れてる。ワンダーランドで,そんな自分自身を癒そうと懸命になっているんだ」
forGamer.net:
――なるほど。アリスが自分自身を治すための関門が,5人のボス敵というわけですね。それぞれがアリスの"内部の問題"に関わっていて……ところでこのゲーム,PCゲームには珍しく「世界的に有名な文学作品」がモチーフなので,ゲーマーのみならず原作のファンも興味を持つと思うんですけど,最後にそういう人に何かコメントはありますか?
McGee:
「僕そういうコメント形式って嫌いなんだよな……ええと……この作品は,世界中で受け入れられている原作のイメージとは別の,新しいバージョンのファンタジーを楽しんでもらえると思う。暗い光の中で,暗くねじまがったアリス……きっと原作ファンの人にも,満足を与えてくれると思うよ。」


 見かけとは裏腹(?)に,終始シャイだったAmerican McGee。この作品を契機に,一流ゲームデザイナーの仲間入りをしたことは,誰の目にも明らかなことだろう。このゲームの映画化の話もあるようだし(「こちら」参照),気が早いが次回作にも期待しよう。


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