リアルタイムストラテジーゲームの傑作,「Age of Empires II Gold Edition」のMac版の発売が間近に迫ってきた。前作では,Mac−PC間でのネットワークプレイが行えなかったが,続編ではどうなのかということについていままではっきりとした発表がなかったため,海外のゲーム関連BBSでは最近,このことについて活発に議論されていた。
IMGのForumsコーナーへのrogueによる書き込みによると,AoE2Goldを販売するBold
GamesのGreg Grimesから次のようなメールが届いたということだ。
「残念ながら,クロスプラットフォームでのマルチプレイをサポートすることができない。しかしながら,GameRangerを利用してインターネット上のMacゲーマーを探し,マルチプレイシナリオを楽しむことができる。TCP/IPを利用し,LAN上にあるMac同士のマルチプレイモードにも対応している」
前作,そして続編でことごとくマルチプラットフォームでの対戦が不可能となってしまった理由は,DirectPlayというネットワークAPIがWindows版で採用されていることにある。この問題について説明しておこう。
DirectPlayは,Microsoftが主にゲームデベロッパに提供しているAPIの集まり,DirectXの一部。ゲーム開発会社はDirectXを利用することにより,DirectXが実現するバラエティに富んだ特殊機能を,自社のゲームに比較的簡単に取り入れることができる。
例えば3D描画プログラムをゼロから作り上げるのではなく,DirectXの一部であるDirect3Dを利用すれば,コストが抑えられるわけだ。ただし,ご存じのようにDirectXのMac版が存在しないので,このことがMacゲーム開発会社にとって大きなネックになってきた。
DirectPlayは,LANやインターネットを介し,PC用ゲーム同士がコミュニケートする機能を実現するAPI。DirectPlayを利用したゲームをMacに移植する場合,例えばNetSprocketやOpenPlayのようなAPIに置き換える必要があるため,Mac−PC間での対戦を楽しむことができなかった。とはいえ,DirectPlayを利用したゲームは増加傾向にある。MicrosoftはAoEシリーズの販売元なので,DirectPlayが採用されるのは自然な流れだろう。
BoldレーベルでMac用ゲームを販売するDestineer
StudiosのリーダーPeter Tamteは以前,この問題について「私たちが移植する予定のタイトルでは,マルチプレイが可能となるようなソリューションを築きたい」と語り,DirectPlay以外でマルチプラットフォームでの対戦を実現する方法を模索したようだが,やはり困難だったのかもしれない。
もちろん,DirectPlayをMacに移植できればいいのだが,法的な問題があるそうだ。MicrosoftがDirectPlayのリバースエンジニアを認めていないことと,DirectPlayのライセンスを他社に供与していないことから,DirectPlayのMacへの移植は望めないといわれている。
OpenPlayを利用したゲーム,「Age of Empire」シリーズ,「Total Annihilation」などの移植を担当したWestlake
InteractiveのMark Adamsは以前,次のように語り,Microsoftの方針を批判したことがある。
「このDirectPlayの件はひどい問題だと思う。MicrosoftがMac用のDirectPlayを開発しないことにより,同社はMac−PC間のネットワークプレイを分断してしまっている。同社の許可,助力なしには,サードパーティにはMac用のライブラリを作成するためにDirectPlayをリバースエンジニアするチャンスがないのである。同社が姿勢を改めない限り,私たちはMacユーザーの友人と対戦するか,より多くのPCデベロッパがDirectPlay以外のネットワークプロトコルを利用してくれるのをただ願うしかない」
|