Beenox Studiosは,「The
VATZ」というオリジナルタイトルを開発中であると発表した。同社は,Ambrosia
Softwareが販売している「Pillars
of Garendall」というRPGや,そのベースとなっている「Coldstone」エンジンの開発元として知られているだけでなく,Pangea
Softwareの「Co-Mag
Rally」の開発にも深く関わっている。
このゲームでは同社が独自に開発を進めるGoliathという3Dゲームエンジンが使用されていて,今回は開発途中ながら,同エンジンの技術的なデモンストレーションも兼ね,「The
VATZ」のスクリーンショットなどが披露された。同社のサイトに掲載されているGoliathエンジンの特徴は次の通りだ。
・ダイナミックライティング機能を搭載。アンビエント/ディフューズ/スペキュラーライティング効果に対応。スポットライト/ポイントライト/ディレクショナルライトをサポート。各オブジェクトは,複数の光源による複数の影を投影することが可能。
・高度な衝突検知システムにより,オブジェクト同士の衝突はもちろん,火炎放射器の炎と壁との衝突も正確に検知。ロケットランチャーで周りのオブジェクトを粉々にすることが可能。
・カスタマイズ性の高いパーティクルエンジンを搭載。これにより,火炎放射器をはじめとするありとあらゆる特殊効果を可能とする。火炎放射器の炎が発する光や,その光により投影される影もリアルタイムに描かれる。
・アニメーションブレンディング/インターポレイション/モーフィング機能をサポート。例えば,走りながら銃を撃つというように,複数の動作を個別のプライオリティに従って行うことができる。
・直感的な方法で利用できる複数のカメラをサポート。これにより,防犯カメラやカーレースでのサイドミラーのような表現,または複数同時対戦用の分割画面を実現可能。
・Goliath上では,ライト,カメラ,オブジェクトなど,すべてのものを高度な物理エンジンを使って制御することが可能。
Mac用ソフトの開発実績のある同社なだけに,Goliathエンジンや「The VATZ」のMac版が登場する可能性があるかどうかが気になるところ。BeenoxのDee
BrownはIMGに対し,このことについて次のようにコメントした。
「私たちの技術はクロスプラットフォームに対応し得るようオープンに開発されている。今回披露したテクニカルデモはまだWindows専用だ(そうすることにより,Mac用のOpenGLではまだ実現できない機能を紹介できるのだ)。このエンジンはMac用のゲームを開発するのに利用できる(とくにMac
OS X上ではよく動作する)。Mac版が実現するかどうかは,そのゲームのパブリッシャーがそれを望むかどうかということにだけに依存している。」
なお,MacGamer.comサイトに,Brownに対するインタビュー記事が掲載されている。「E3までの間に,これ以上の情報を公開しないと決めた」(同氏)ことから,ゲーム自体についての詳細は明かされていないが,なかなか興味深い記事だ。要点をまとめる。
・「The VATZ」はアクション指向のゲームだが,RPG的な要素が付加される
・主に巨大な都市を舞台にしたストーリーと自由度の高いゲーム性。多数のサブクエストを用意
・マルチプレイモードはいまのところ予定なし(ただし,取り入れることに決まれば実現は可能)
・2人以上のキャラクターを操作できるようになる
・Goliathエンジンの現在のメインターゲットはXbox
・動作環境としてはバーテックス/ピクセルシェーダー機能のあるグラフィックスカードが望ましい
・ColdstoneエンジンのMac OS X上での不具合を修正したVersion1.0.1パッチのβテストが進行中
・ポテンシャルの高い開発環境としてのColdstoneのメンテナンスは今後も継続するが,もうシェアウェアゲームデベロッパーではない
・Appleは,同社の3D APIとしてOpenGLを選択したなら,もっとエネルギーを注ぐ必要がある
・新iMacにはGeForceカードが搭載されているが,OpenGLはデベロッパーに対し,それを十分に活用できるだけの機能を提供していない
・Appleが彼らの3D APIにもっと力を入れなければ,Windows版にあるオプションがMac版にはない,というケースが増えるだろう
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