OSNews.comサイトのレポートによれば,フランスに拠点を置くRealTech-VRによって開発されたDirectX
OpenGL Wrapperがオープンソース化されたということだ。
これは,MicrosoftのDirectX8に含まれるリアルタイム3D CG用API"Direct3D 8"を使用するプログラムが,同APIをコールしたときに,即座にOpenGL向けに翻訳して伝達するインタープリタ的なソフトウェアらしい。同社のプログラマーStephane
DenisはOSNews.comのインタビューに対し,このソフトの有効性について次のように語った。
「目標は,デベロッパーがWindows以外のプラットフォームでDirect3D 8に対応したプログラムの開発や移植が行えるようにすること。Windows向けには,例えば3D
LabsのWildcatやSGIのプロ向けグラフィックスカードのように,Direct3DはおろかDirectDrawにすら対応していないカード上でDirect3Dに対応したプログラムを動作を可能にすることだ。」
現在のところ,オープンソース化されたDirectX OpenGL WrapperはWindows版しかリリースされていない(SourceForgeサイトでダウンロードすることが可能(約900KB))。しかしながら,同氏は「LinuxやMacに早期に対応する予定だ」と語っている。元々同社ではBeOS向けにこのソフトの開発を進めてきたが,BeOSの終焉後,開発者コミュニティーから非常に強い要望を受け,他のOSへの移植を決意したそうだ。
Direct3D APIのコールをOpenGLに翻訳,と聞くと気になるのがその動作速度。Denisはこのことについて,
「wrapperの動作速度または効率性は,主に,サポートされているOpenGLエクステンションに依存している。消費される時間の大部分はレンダリングであり,APIのコールではないので,オリジナルのDirect3D対応プログラムと同程度の速度で動作するはずだ。」
と語った。「サポートされているOpenGLエクステンション」とは,そのマシンに搭載されているOpenGL対応グラフィックスカードのパワー,OpenGLドライバのでき,OS自体のOpenGLへの対応の具合を総合的に指していると見られる。つまり,十分高速な環境があれば大丈夫,ということだろう。
Mac版がオープンソース化されれば,それをデベロッパーがプログラムの中に組み込むことが可能になると思われるので,DirectXに対応したゲームのMacへの移植が現実味を帯びてくることが期待できる。ただし,DirectXにはそのほかにもDirectSoundやDirectInput等のコンポーネントが含まれているので,そのことには留意する必要があるだろう。
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