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“シブサワ・コウ”こと襟川陽一氏初の著書「シブサワ・コウ 0から1を創造する力」が出版
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本書は,襟川氏が自身の人生を振り返りつつ,数々のヒット作を生んだ氏の発想術や仕事術,経営者として会社の魅力を維持し,厳しい市場の中で生き残らせる方法などを語る内容になっている。
「信長の野望」「太閤立志伝」「大航海時代」「アンジェリーク」といった人気タイトルから,かつてリリースしていたアダルトゲームまで,開発のきっかけとなるアイデアがどのようにして生まれたかは,ゲーマーにとって興味深いはず。2017年2月に発売されたヒット作「仁王」は,難航した開発の様子が,コーエーテクモゲームスのタイトルが必ず通らなければならない「五つの関門」の内容と共に紹介されている。
社会人の読者なら,現状維持を良しとせず,常に挑戦を続けてきた氏の経営者としての姿勢も参考になるだろう。成功体験だけでなく,かつてあった社員の大量離脱や,スマホ向けタイトルで大ヒット作品を出せてない現状まで,包み隠さずに明かしたうえで氏の考えが書かれている点も印象的だ。
陽一氏の夫人であり,主に財務面などで会社を支えてきた襟川恵子氏の奮闘ぶりも紹介されている。恵子氏が任天堂の山内 溥氏やソフトバンクの孫 正義氏を相手に強気の交渉を繰り広げるエピソードは,純粋な読み物としても楽しめる。
個人的に最も印象的だったのは,氏が“好きなことを仕事にしたほうがいい”としつつも“苦手なことや嫌なことに向き合うべき”と書いているところだ。
一見,正反対のアドバイスにも思えるが,実際に本書を読めばこの2つは矛盾しないことが分かるはず。かつて染料薬品を販売するために設立された会社が,世界的なゲームメーカーに成長した理由も,おそらくここにあるのではないかと感じた。
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