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ゲームのイラストを3営業日以内に手配できる? アマナイメージズとファンプレックスが,ストックコンテンツ市場の可能性やゲーム運営移管のノウハウを語ったセミナー「meetup CARTA#01」をレポート
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印刷2016/05/26 09:00

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ゲームのイラストを3営業日以内に手配できる? アマナイメージズとファンプレックスが,ストックコンテンツ市場の可能性やゲーム運営移管のノウハウを語ったセミナー「meetup CARTA#01」をレポート

画像(002)ゲームのイラストを3営業日以内に手配できる? アマナイメージズとファンプレックスが,ストックコンテンツ市場の可能性やゲーム運営移管のノウハウを語ったセミナー「meetup CARTA#01」をレポート
 アマナイメージズとグリーが共同で運営する,ゲーム素材専門のストックコンテンツマーケットプレイス「CARTA」(カルタ)をご存じだろうか。これは,あらかじめ用意されたゲーム向けイラストなどの素材を管理し売買するというサービスだ。
 今回4Gamerでは,2016年5月24日に東京都内で開催された,「CARTA」によるストックコンテンツマーケットおよびスマートフォンのゲームの移管運営という,“セカンダリ市場”の可能性を探るテーマの業界関係者向けセミナー,「meetup CARTA #01」を聴講してきたので,そのレポートをお伝えしよう。興味のある人は最後まで目を通してほしい。

「CARTA」公式サイト



アマナイメージズ取締役 新居祐介氏
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 セミナーの順番とは前後するが,まずはアマナイメージズ取締役の新居祐介氏が行った,「ストックコンテンツの現在/未来」と題された講演から取り上げよう。
 広告業界やテレビ・出版業界の人なら知っている人も多いと思うが,アマナイメージズは,ストックフォトと呼ばれるサービスを提供している会社だ。写真や絵画などの静止画をはじめ,動画,音,3Dなどの素材をレンタル販売している。
 例えば,テレビなどでよく見かける,「アマナ」「アフロ」などの表記が付いたイメージ写真は,ストックフォトを利用したものである。

会場で紹介されたストックフォトの代表例といえる写真群。「ランペドゥーザ島」「ウユニ塩湖」「キリンの寝姿」「泳ぐ象」など,テレビや広告などで見たことがあるという人も多いはずだ。写真に限らず,絵画などもストックフォトサービスを経由すれば利用可能だ
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 新居氏によれば,ストックフォトというビジネスが生まれたのは,時間,予算,場所などの制限から撮影ができず写真が用意できないというニーズに応えるためだという。
 例えば,報道写真など再現性のないものや故人の写真などは,手持ちがなければ自前で用意するのはそもそも無理である。また,数年に一度しか見られない自然現象など,不確定要素が多いものは必要なコストが読みにくいうえに,必要な時期までに用意できる保証もない。
 そういった場合にストックフォトを利用すれば,素材が確実に用意できるうえに,実際に撮影するよりもコストがおさえられるというわけだ。
 また,「写真を撮影したものの使い道がない」という写真家側のニーズにも応えられる,マッチングサービスとしての役割も持つという。そのほか,著作権や肖像権,翻案権といった法律周りの問題もクリアにしやすい,というメリットがストックフォトサービスにはあるとのこと。

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 現在のストックフォトサービスは,アフロ,アマナイメージズ,ゲッティ イメージズといった「マクロストック」,Shutterstock,iStock,ピクスタといった「マイクロストック」に大別される。
 前者は個別に契約したプロの写真家が撮影した高品位・希少性の高さをウリにした素材が多いが高価格,後者はアマチュアから参加できるため品質はエージェンシー次第だが作品数が多く低価格,という傾向になっているそうである。

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 なお,ストックフォトの種類は,大きく「ロイヤリティフリー」と「ライツマネージド」の2つに分類される。ロイヤリティフリーは一度の購入で(利用可能な範囲内であれば)用途や回数の制限なしに使用可能(※著作権フリーなわけではない),ライツマネージドはいわゆるレンタルで,使用条件や期間などが定められており事前に申請が必要。ライツマネージド作品は履歴が管理されていて,誰が利用したかを確認できたり,一定期間その素材を独占使用できるプランが用意されていることが多い。

 新居氏は,ストックフォト業界はコモディティ化で個性を失いつつあり,先述のマクロストックとマイクロストックで価格差はあるものの低価格化も進み,競争の激しいレッド・オーシャンの状態にあるとコメント。そのためグリーと協力して,未開拓のブルー・オーシャン市場である,ストックコンテンツという新しい市場を作っていくと述べ,プレゼンテーションを締めくくった。

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 ここで,あらためて「CARTA」の概要を説明しておこう。「CARTA」は,ゲームで使うイラストや背景といった素材を在庫として保管(ストック)し,利用者が使用料を支払うことで利用または購入できるという,ストックフォトのゲーム版といえるサービスである。著作権譲渡(買取)またはライセンス許諾の2パターンがあり,いずれも素材の加工は可能とのこと。
 利用者側のメリットとしては,短期間(通常2〜3営業日)で素材が用意でき,通常の発注よりも期間,費用,工数を削減できるという点が挙げられていた。
 また,スマートフォンゲーム市場では,星の数ほどのタイトルが日々リリースされる一方で,サービスを終了するタイトルも数多く存在する。ストックコンテンツマーケットは,そのように使い道のなくなった素材を再利用できる場所になれるというわけだ。
 現在は2Dイラストで3134点と,素材数ではやや物足りない感のある数字だが,今後はイラストや背景以外にも,音源やエフェクトなど,取り扱いコンテンツを拡大していくという。

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 「CARTA」のようなサービスは,ゲーム業界では表立ってビジネス化されていなかったものだが,今後大きく注目を浴びそうだというのが筆者の印象だ。
 サービス終了や開発中止でお蔵入りになった作品の素材だけでなく,フリーランスのイラストレーターやサウンドクリエイター,エフェクトやユーザーインタフェース作成のアーティストなどが新規の素材を投稿するようになれば,大きく成長する可能性もありそうだ。素材ジャンルの幅が広がれば,個人制作者レベルでもメリットを享受できるだろう。
 皆が素材を「そのまま」利用して,似たようなビジュアルのゲームが氾濫しないか,という一抹の不安も頭をよぎるが,まずは今後「CARTA」がどのようにビジネスを展開していくのかに注目したい。


ファンプレックス下村氏による講演「ゲームを移管するときに起こる3つのこと」


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 ファンプレックス代表取締役社長の下村直仁氏による講演は,「ゲームを移管するときに起こる3つのこと」というタイトルで,他社のスマートフォンゲームを運営移管する際に起きやすいトラブルと,その予防・解決策を紹介するという内容だ。
 なおファンプレックスは2015年10月に設立されたグリーの子会社で,他社タイトルの運営受託や買取など,ゲーム運営に特化した事業を行っている(関連記事)。

ファンプレックス代表取締役社長 下村直仁氏
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 下村氏はまず,最近知名度が上がってきた「セカンダリマーケット」を説明。ゲームのセカンダリマーケットは,売却や業務委託を通じて,既存ゲームの運営主体を一括で他者に移管するプロセスと,そのサービスが提供されている市場だとした。セカンダリマーケットは,デジタルインファクトの推測では2016年に500億円規模,2017年に1000億円規模になると予測されており,今後も成長が見込める市場であると下村氏は述べた。

 セカンダリマーケットでは,運営全体をまとめて移管するオールインワン型が一般的だという。とくに,プロジェクトチームのうちゲーム作りに関わる,PD(事業責任者),プランナー,エンジニア,デザイナーは運営に直結しており,ここでしか収益のアップサイド(上昇余地)は作れないとのこと。

 ゲームの運営に特化した専門企業では,複数タイトルをまとめて扱うことで人員割り振りの自由度を生み出し,運営コストを軽量化。ユーザーに遊び続けてもらうことがポイントだと下村氏はまとめた。

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 次に下村氏は,「ゲームを移管するときに起きる3つのこと」と題し,ゲームの運営移管時に起こりがちなトラブルとその解決方法を提示した。
 1つめは,「引継が遅れる」。これを引き起こす要因は不慮のものを含め無数にあるので,実業務はもちろん,事前の環境構築やビジネス要件の整理など,準備をしっかり行っておく必要がある。移管を遅延させないためには,準備,引き継ぎ,事後経過のステップでそれぞれに十分な期間を設け,進捗を確認して全体の進行をしっかりと管理するのが大切とのこと。そうすれば,引き継ぎそのものをより円滑に進めることができると下村氏はコメントした。

 下村氏曰く,準備段階の期間は2か月程度で,交渉や契約の締結と同時に,体制構築を行っておくべきと述べた。引き継ぎ着手の可否判断でGOサインが出たら実務に入るわけだが,ここで「引き継ぎ」と「実践」で2か月かけるべきだと話す。前者で純粋に実務を教えてもらい,その後,移管元にフォローしてもらいながら自分達で実際に運用する期間を設けることが重要なのだという。
 さらに,年に数回のゲーム内イベントなどもあるので,引き継ぎ完了後もフォローしてもらえる関係を維持できるといいだろうとのこと。

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 2つめの「運営が安定しない」というのは,移管元にとっては定常運用の範囲の事柄でも,移管先のチームにとっては未知の領域であるため,目標を過剰に高く設定すると無理が生まれて安定しなくなるということ。そのため,実践的,実用的な運用計画が求められるという。
 下村氏は,あるタイトルの移管ロードマップを例に挙げ,移管完了後の2か月は,とにかく障害を絶対に出さない安定運用を重視したと説明。移管元のフォローがない未知の領域を乗り切って,普通のことが普通にできるようになってから,独自体制に備えて組織を動かしていくべきとコメント。
 一方で,その期間内にもユーザーの消費を維持するための施策が必要だと述べ,紹介事例ではIPコラボ,人気キャラの投入など,3か月分の施策を用意したのが功を奏したと下村氏は話していた。

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 引き継ぎの遅れや運営としての練度の不足などが原因で,最終的に消費の低減が表面化するという。3つめの「消費が下がる」をおさえるためには,ゲームがどういう状態にあるのかをチェックしたうえで,より消費インパクトのあるポイントから修繕を加えるべきとのこと。
 下村氏は,あるゲームのイベントで配布した報酬が,供給過多の状態になっていたという事例を紹介。ユーザーが消費しない,つまりは価値のない報酬を提供したところで意味がないため,需要を見込める新イベントを導入したそうだ。結果として,供給と消費のバランスが改善され,イベント自体の熱量も向上したと話していた。

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 また下村氏は,売上が悪くなったときにリカバリーしようとして極端に強いキャラを販売するようなケースがあるが,これは焼き畑化を招くので避けるべきだとも述べる。長期的・安定的な運営を見据えて,ARPPU(Average Revenue Per Paid User,課金ユーザー1人あたりの平均売上金額)を上げずに,消費需要を喚起していくことが,下村氏らが導き出した真理だとした。

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 最後に下村氏は,運営移管で障害が表面化することがあるが,少なくない場合で予防と対策が可能であり,そのノウハウを知ったうえで移管に臨めば,移管後も健全な状態で運営を継続できるとまとめ,講演を締めくくった。


 スマートフォンゲームに限らず,数多くのオンラインゲームで運営移管が行われてきたのは,4Gamerのベテラン読者ならご存じだろう。とはいえ,運営が移管されたものの移管先の力が及ばず,最終的にサービスが終了してしまったというケースも少なからずあり,運営移管という言葉には,どちらかというとネガティブなイメージを持つ人のほうが多いのではないだろうか。
 営利企業が運営する以上,採算が取れなくなったらサービスをたたむというのは当たり前ではあるが,いちプレイヤーとしては,遊んできたゲームをプレイできなくなるのはやはり寂しいものである。ゲーム運営に特化するというビジネスモデルが根付き,一つでも多くの“不幸”なゲームが減ることに期待したいところだ。

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