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[CEDEC 2014]日本が売上をけん引するスマホゲーム市場の最新事情。App Annieによるセッションの聴講レポートを掲載
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印刷2014/09/05 21:31

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[CEDEC 2014]日本が売上をけん引するスマホゲーム市場の最新事情。App Annieによるセッションの聴講レポートを掲載

 2014年9月2日から4日にかけて開催されたCEDEC 2014では,初日に「日本と海外のモバイルアプリ、ゲームのトレンド」というセッションが行われた。これは,App Annieの日本担当GMである桑水悠治氏が,App StoreおよびGoogle Playのデータをもとに,スマートフォンゲームの世界市場の動向とその背景を解説し,さらに具体的なアプリの成功事例も紹介するという内容だ。
 本稿では,このセッションの模様をレポートしていこう。

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App Annie 日本担当GMの桑水悠治氏
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 まず,スマートフォンアプリ全体,および携帯ゲーム機における消費者支出に関して,グローバル市場における2013年と2014年の第1四半期の数字を比較すると,App Storeでは1年間で1.7倍の伸びを見せていることが分かる。
 一方のGoogle Playだが,消費者支出ではApp Storeの2013年第1四半期の値に近く,1年遅れで追いかけるような形になっている。ただし前年比2.5倍と,成長の勢いはApp Store以上だ。ちなみに,携帯ゲーム機の消費者支出は若干縮小気味で,勢いを失っている印象を受ける。

スライドのグラフは基本的に,2013年のApp Storeの値を100%とし,それ以外の値を相対的に比較する形で示している。実数表記ではない点は気を付けてほしい
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 ユーザーがダウンロードしたアプリのうち,ゲームが占める割合はApp StoreでもGoogle Playでも全体の4割程度である。しかし,いずれも売上では全体の80%前後をゲームが占めており,スマートフォンアプリ市場はゲームがけん引している,と言える状態だ。
 なお,ゲームのダウンロード数そのものは,App Storeでは前年比でやや減少しているが,Google Playは前年比1.5倍以上と大きく成長している。ただし,マネタイズでは現在もApp StoreのほうがGoogle Playより40%ほど高い値となっている。

 次に,日本市場単独で見ると,ダウンロード数ではアプリ全体に対するゲームの割合は4割程度と,ワールドワイドの傾向と変わらない。売上の割合では,ワールドワイドの80%前後に対して日本は90%近くとなっており,売上をけん引するカテゴリとしての重要度が高いことが分かる。なお桑水氏によれば,中国と韓国も傾向はほぼ同様のとのこと。

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 スマートフォンアプリでは,ゲームに限らずアプリ内課金のシステムを採用しているものが多い。スライドで表示されたグラフを見ると,売上全体の大半がアプリ内課金によるものであることが分かる。とくにGoogle Playのゲームでは,売上のほとんどがアプリ内課金によるもので,桑水氏は「今やスマートフォンゲーム市場は,アプリ内課金が占めていると言っていい」とまとめた。
 なお,日本におけるApp Storeのアプリ内課金状況を示すグラフでは,前年比+100%程度と,ワールドワイドの前年比+60%程度を大きく上回っていることが分かる。

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 世界各国におけるゲームのダウンロード数では,App Store,Google Playともにアメリカがトップだ。2位の中国には公式のGoogle Playストアが存在しないため数字は省略されているが,App Storeの数字だけで世界2位となっている。
 Android端末向けゲームを配信するサードパーティサイトのダウンロード数を加味すれば,アメリカと互角かそれ以上の市場になり得ることは容易に想像が付くだろう。なおGoogle Playでは,メキシコ,トルコ,インドネシアといった国々がダウンロード数を伸ばしている。
 これが売上となると,日本がアメリカとトップを争う形になり,とくにGoogle Playにおいては,日本の売上がアメリカのそれに2倍近い差を付けている。桑水氏によれば,世界の売上のうち,日本/アメリカ/韓国の3国で全体の70%を占めているとのこと。

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 以上のことから桑水氏は,日本とアメリカではiOS向けとAndoroid向け双方の対応が必要だと述べる。中国も基本的には同じだが,Androidに関しては現地のディストリビューション/マネタイズを利用する必要があると説明した。なお,そのほかの国に関しては,ダウンロード数はGoogle Playより少ないながらも,App Storeのほうが売上は高いことから,一般的にiOS向けのほうがマネタイズしやすいとまとめた。

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 App Storeのデータでは,ゲームのダウンロード数全体のうち30%がiPadとなっている。App Storeの売上では全体の約3分の1がiPadで,アメリカはiPadにおける売上全体の40%を占めている最大の市場となっている。
 iPadの利用数が多いのはアメリカと中国で,トップ10の中で日本は極端に値が低い。桑水氏は,これから2年くらい経てば,日本でもタブレットの比率がもっと高まるのではないかと話していた。

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ランキングの注目は「Clash of Clans」で知られるSupercellだろう。たった6本のアプリでダウンロード数では6位,売上では1位にランクインしているのは驚きだ
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日本国内の売上では,ワールドワイドと似たような傾向だが,ダウンロードのランキングはまったく違っている
 次に,パブリッシャのランキングがスライドで示された。ダウンロード数のトップ10を見ると,1位は「キャンディークラッシュ」で知られるKing.comで,日本からはLINEが7位にランクインしているのみだ。
 しかし売上では,3位のガンホー・オンライン・エンターテイメント以降,LINE,mixi,コロプラ,バンダイナムコゲームスと,実に5社がトップ10にランクインしており,日本市場の規模の大きさがうかがえる。

 また,日本市場限定のパブリッシャランキングも提示されたのだが,ダウンロード数では7位のGAMEVIL,売上では8位のSupercellを除き,すべて日本国内に本拠地を置くパブリッシャで占められていた。
 先のスライドにあったトップパブリッシャ達が,ほとんどランクインしていないことから,日本は世界の中でも独特の市場を形成していると言えるだろう。

 最後に提示されたスライドでは,日本を除く海外での日本のパブリッシャのランキングが紹介された。桑水氏によれば,GREE,DeNA,ソニーはアメリカやヨーロッパで,LINEはタイや台湾などのアジア圏で人気があるとのこと。
 なお桑水氏は,「ブレイブ フロンティア」がアメリカとアジア全域で売上を伸ばしていることから,同作をサービスしているエイリムを子会社に持つgumiを注目株として挙げていた。

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 最後に桑水氏は,世界全体のスマートフォンゲーム市場を見ると,まだまだ日本企業が進出する余地はあるとコメント。今回披露したデータなどを参考に,日本のパブリッシャが世界に展開することに期待したいと述べ,セッションを締めくくった。

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