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稲船敬二氏と水口哲也氏がスマホゲームの現状と将来について語った。「mobcastオープンカンファレンス」内の対談企画「ソーシャルゲームの未来」レポート
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印刷2013/05/22 17:12

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稲船敬二氏と水口哲也氏がスマホゲームの現状と将来について語った。「mobcastオープンカンファレンス」内の対談企画「ソーシャルゲームの未来」レポート

 モブキャストは2013年5月21日,「第1回 mobcastオープンカンファレンス」を,東京都内で開催した。このカンファレンスは,スポーツエンターテイメントのビジネスを盛り上げていくことを目的に,ソーシャルプラットフォームに軸足を置くキーパーソンを招いてセッションやパネルディスカッションを展開するというもの。本稿では,その中から,comcept CEO/コンセプター 稲船敬二氏と,Mizuguchi Creative Officeの代表であり,mobcastのクリエイティブアドバイザーも務める水口哲也氏による対談,「ソーシャルゲームの未来」の模様をレポートしよう。


イベントでは,モブキャスト取締役CSO 佐藤 崇氏(写真左)により,同社の概要紹介,広告代理店各社のマーケティング担当者による,ソーシャルゲームのマーケティングに関するパネルディスカッションなども行われた


これまでのゲームとソーシャルゲーム/スマートフォンアプリは似て非なるもの



 対談は,両氏が同年齢(どちらも1965年生まれ)であり,しかも同時期にゲーム業界に入ったという話題からスタートした。

Mizuguchi Creative Office 代表 / mobcast クリエイティブアドバイザー 水口哲也氏
 稲船氏はカプコン,水口氏はセガと,両氏共にゲーム関連企業に入社したところからキャリアが始まり,アーケードゲームからコンシューマゲーム,そして現在のソーシャルゲーム/スマートフォンアプリへと,変遷する人気業界をひととおり体験している。ゲーム業界の中心がアーケードからコンシューマへと移行したとき,それまで3〜5分と短時間で遊べるものだったゲームが,自宅で何時間もかけてプレイするような新しい遊びになったと水口氏は振り返り,今また,スマートフォンで新たな遊びが生まれていると語る。

comcept CEO/コンセプター 稲船敬二氏
 それを受けた稲船氏は,このように新しく生まれる遊びを,同じゲームとして括ったり,あるいは同じ括りの中の新たなジャンルの登場として捉えたりすると,勘違いを生むと話す。アーケードからコンシューマへの移行期には,両者が似て非なるものであるという認識がないために移行に時間が掛かった部分があり,それがソーシャルゲーム/スマートフォンアプリに移行する今,もっと大きなレベルで起きているというのだ。そこにうまく対応できた人材だけが業界で生き残れるのではないかと,というのが稲船氏の見方だ。

 稲船氏は,自身が立ち上げたcomceptでスマートフォン向けゲームに注力しているが,それは未来を見越してのことだという。2013年第1四半期,世界ではiOSゲームアプリの売上がニンテンドー3DSやPS Vitaといった携帯ゲーム機向けゲームソフトの売上を上回ったというが(市場調査会社IDCとApp Annieによるレポートより),今や周囲のゲーマーのほとんどが,携帯ゲーム機と並行して,スマートフォンでもゲームを遊ぶようになったと稲船氏。稲船氏は,それならばスマートフォンアプリの売上が上がるのは当然であり,この先,再び携帯ゲーム機向けソフトが逆転することはないと予測しているという。


受け手側のモチベーションやライフスタイルを考慮して

スマートフォンゲームは簡単/明快なデザインに


 次に水口氏は,コンシューマゲームの場合,大前提としてゲーム機を購入しなければ遊べなかった点を指摘する。ゲーム機ごとのユーザー属性を考慮しながら企画開発を行ってきたが,スマートフォンはそうしたことを考えなくともいいグローバルなプラットフォームとして確立しつつあるという。

 その点について稲船氏は,かつてはゲーム機とソフトを購入するという,いわば“努力”をユーザーに強いて,それがゲームを遊ぶモチベーションの一つのになっていたと語る。しかしスマートフォンは,多くの人にとって,仕事や生活に必要な,所有していて当たり前のアイテムとなりつつある。したがって,そこで遊ぶゲームもまた努力なく遊ぶもののはず……であるにも関わらず,開発者は努力してゲームを作ってしまうというズレが生じているのではないかと持論を述べた。すなわち,かつては作り手と受け手がそれぞれ高いモチベーションでゲームを遊んでいたが,今,受け手側のモチベーションはそれほど高くない。その状況で,どうやったら面白いゲームとして認識してもらえるかという部分をクリアにしないと,受け入れられるゲームは作れないというのである。

 水口氏は,時代の変遷に合わせて人々のライフスタイルや欲求が変わると話す。それほど忙しそうには見えないのに,コンシューマゲームを遊ぶためにまとまった時間を確保できないという人が増えているが,それは生活のパターンやサイクルが変わったからではないかと水口氏は考えている。水口氏は,かつては職場や自宅に戻ってからメールをチェックしていたが,今では四六時中スマートフォンでメールチェックしているという。そういった自身の普段の行動を振り返ったうえで,多くの人も,このように“時間を分断される生活”を送っているのではないかと仮説を述べた。

 水口氏の発言を受けた稲船氏は,スマートフォンなどの登場により生活がどんどん便利になり,生活から面倒なことが排除されている一方,従来のゲームは,まず面倒くさいことをプレイヤーに与え,それを解き明かしたときに解放感を与えるというロジックで作ってきたと語る。そのロジックの巧みさこそが,ゲームの本質的なクオリティを決定付けていたわけだが,スマートフォンのゲームではそれが必要とされず,単純明快で早く結果が手に入るものが求められる。したがって,今までのロジックのままスマートフォンのゲームを作ってしまうと,まったく相手にされないのである。

 稲船氏は,スマートフォンのゲームを作るにあたっては「いかに明快で簡単にプレイできるかをロジカルに考えなければならない」としつつ,適当に作ったゲームが偶然ヒットしてしまう可能性にも触れている。これはコンシューマゲームの黎明期にも発生した事象で,当時のヒットメーカーで現在もゲーム業界に残っているという例は多くない。それはスマートフォンゲームも同じであり,きちんと戦略を持って臨まなければ,ヒットさせてもこの先立ち行かなくなるだろうと稲船氏は指摘する。水口氏も,手当たり次第に作ったものがヒットにつながるフェイズは終わり,次のフェイズに入っていると同意した。


基本無料モデルは税制度に近い


 続いて,トークはスマートフォンゲームのビジネスモデルの話題に移る。
 パッケージ販売のみの場合,ソフトを買うとそれ以上追加料金が発生することはなかったが,例えば同じものを基本無料+都度課金というモデルにする考えると,最終的な料金はソフトの価格に収まらない可能性がある。ビジネスとしては,それをあたかも「ずっと料金を支払わずに遊んでいるかのような感覚」にさせるのが重要であると,稲船氏は語る。

 水口氏もまた,かつてセガが“3000円程度で遊び放題”というゲームセンターを試験的に設置したところ,ほとんど客が入らなかったというエピソードを披露し,人間は,気付かないうちにお金を使ってしまうということに,ある種の満足を得るのではないかと持論を述べた。


 稲船氏は,基本無料モデルを税制度に例えていた。すなわち,あるタイトルでは無料プレイヤーもしくは小額決済者が全体の大半を占めているとしても,一部の高額決済者の支払った料金によってサービスが支えられている。これを稲船氏は,従来はすべてのプレイヤーから一律の料金を取っていたが,基本無料モデルでは払える能力のある人が払うという,現実の社会構造に近くなっていると説明した。


スマートフォンゲームは求められる役割に特化した形で進化していく


 次の話題は,ゲームの未来について。
 これまでのゲームは,グラフィックスの向上と共に,単純に楽しい/面白いもの,“感情を揺さぶる”といった要素を強めるなどの方向で進化してきたが,ソーシャルゲームやスマートフォンのゲームの台頭により,それが一旦リセットされたような流れにある。
 稲船氏は,デジタル機器が使えない飛行機の離陸時などに紙の小説や漫画を読むという自身の習慣を例に挙げ,今後も状況に応じて従来のアーケードゲーム/コンシューマゲームは,スマートフォンのゲームと遊び分けられるだろうと話した。

 また今後,グラフィックスが向上し,何時間も遊ぶことを前提にしたスマートフォンゲームが出てくるかもしれないが,それが進化の本筋にはならないだろうと稲船氏。稲船氏は,コンシューマゲームのような方向ではなく,スマートフォンゲームに求められる役割に特化した面白さを作っていくような進化になると語った。


 このような流れで,対談は終盤へ。ここでも稲船氏と水口氏の間でいくつかやり取りがなされたので,以下に記していこう。

 稲船氏は,かつて自らグローバル展開を大きく掲げていたが,スマートフォンの登場により,それは当然のことになったと話す。今は世界に向けてというより,むしろ世界を取り込むくらいの時代となり,非常にクリエイターとして面白い状況であるという。コンシューマゲームとは異なり,スマートフォンゲームはコピーされやすいため,世界同時リリースが大前提となるという。

 また「パズル&ドラゴンズ」iPhone / Android)が瞬く間に大ヒットしたように,ゲーム業界のサイクルが極めて速くなっているように感じると水口氏が述べると,稲船氏はそうした状況は非常に面白いと返していた。コンシューマゲームを手がけているガンホーが,スマートフォンのゲームでも大ヒットを飛ばしたことや,従来の大手ゲームメーカーとは違うところから台頭してきた点には,非常に勇気付けられるのだという。

 トークのエンディングでは,稲船氏は,今後もコンシューマゲームだけでなく,若手クリエイターを活用してスマートフォン向けのゲームにも注力していくと展望を語った。両氏から一緒に何かプロジェクトをやってみたいという話も出ていたので,今後なにかしらの展開を期待してもいいのかもしれない。

mobcast公式サイト

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