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「JOGAオンラインゲーム市場調査レポート2013 発表会」開催。コンシューマオンラインゲームやスマートフォンが台頭し,変化を見せた2012年の市場をJOGAはどう分析するのか
「日本オンラインゲーム協会」公式サイト
2012年にサービスされていたオンラインゲームは,全358タイトルと,前年より40タイトル増えた。長期にわたってサービスを継続するMMORPGタイトルが多く,サービスインから10年以上経つものも目立つようになったと植田氏。逆に新規タイトルは,前年同様,ブラウザゲームの割合が高くなっている。
ジャンルでは,ブラウザゲームの増加に伴い,2012年はカジュアルゲームのタイトル数が増え,2007年以来トップを誇っていたMMORPGのタイトル数を抜き去った。ブラウザゲームにおけるカジュアルゲームの比率は,2009年以来,毎年増えているが,2012年は65%となっており,植田氏は「今後も増加傾向が続くだろう」と見解を示した。
各ゲームタイトルの開発国では,2006年以来トップだった韓国を抜き,日本がトップに。これは上記のMMORPGが減少し,ブラウザゲームが増加傾向にあることと関連していると植田氏は説明した。2012年のブラウザゲームに焦点を当ててみると,国産タイトルが全体の68%を占めていることも,その事実を裏付けていると言える。
また近年,中国/台湾開発タイトルが増えているのも,ブラウザゲームの増加に伴うものである。
面白いのは,課金サービスを利用している年齢層が,PCオンラインゲームとPCソーシャルゲームで異なっている点で,前者のボリュームゾーンは13〜29歳,後者は30歳以上と傾向が分かれた。植田氏は,年代によるライフスタイルや遊び方の違い,とくにプラットフォームの属性の違いが,こうした結果に表れているのではないかと分析する。
また月あたりの課金額では,2012年は,23〜29歳が前年比110%,金額にして500円程度増加と数字を伸ばした。
なおユーザーの男女比率は,PCオンラインゲームは前年に引き続き,男性7割,女性3割だが,PCソーシャルゲームでは,男性の比率が増加している。
2012年のオンラインゲームの市場規模は,前年比101%の約1420億円。内訳を見ると,コンシューマオンラインゲームのパッケージおよびサービス(要するに「ドラゴンクエストX」)が数字を伸ばしており,逆にPCオンラインゲームが若干数字を落としていることが分かる。
国産タイトルの輸出(ライセンスアウト)は,前年から数字を伸ばしているが,植田氏は,「7億円程度なので,市場規模としてはまだまだ」と述べた。
またライセンスアウトではなく,子会社などの海外拠点を作って事業を展開しているケースにおける2012年の売上は約97億円で,前年比104%となっている。
植田氏は最後に,2012年におけるスマートフォンゲームの市場規模が約1285億円になっていることを示し,とくに2011年後半から基本無料+アイテム課金モデルのアプリが増えていることに言及。続く2012年に市場規模が急速に成長したとし,2013年も引き続き調査を進めていくとまとめた。
まず光井氏は,2010年に1000億円にまで到達した市場規模は,2012年に4倍の4000億円を超えたことを指摘。この数字は,スマートフォンのネイティブアプリを含んでおらず,すべてWebベースのアプリによるものだという。
さらに光井氏は,2012年のコンシューマゲーム市場の規模がハード/ソフト合わせて4300億円前後であるとし,ネイティブアプリを含めると,今やソーシャルゲーム市場のほうが上回っているとの見解を示した。
ただし,これは必ずしも「ソーシャル市場がコンシューマ市場を侵食した」というわけではないと光井氏。と言うのは,2010年から2013年にかけての別のデータを見てみると,コンシューマ市場は300億円程度しか下落していないからである。すなわち,コンシューマ市場の隣に,新たにソーシャル市場が立ち上がったと考えるのが適切なわけで,結果的に見れば,ゲーム市場全体は大きく拡大していると光井氏は説明した。
ソーシャルゲームのデバイスに関しては,2012年はフィーチャーフォンが8割弱を占めていたが,2013年に入ってからは大きく状況が変わっており,光井氏は「ソーシャルゲームのデバイスがスマートフォンに切り替わる転換の年である」と表現。とくにネイティブアプリの台頭と普及により,さらなる構造改革が起きるだろうと見解を述べた。
会場では,2013年5月の調査から見る,ソーシャルゲームユーザーのプロフィールも公開された。調査対象は,10歳から59歳の国内の男女2万人で,ここで示されたデータは総務省調査相当の7500万人前後に拡大したものとのことだ。
まず所有する情報機器では,単体だとPCが圧倒的に多いが,実のところ,iPhone/iPod touchとAndroid,そしてフィーチャーフォンを合算すると,PCを上回る5300万人弱となる。さらにゲームコンテンツ利用率となると,iPhone/iPod touchやAndroid,あるいはその他のスマートフォンを所有しているケースが非常に高い。
またコンシューマ機以外のPCやモバイル端末など汎用機でゲームを遊ぶ人は,2900万人前後に上る。ユーザーが多いのは男女とも30〜40代だが,主にモバイル端末向けに展開するコンテンツだと20代〜40代前半までターゲット層が広がる。そのほか,10代や高年齢層だとスマートフォンやタブレットの所有率が低いため,数字も相対的に低めに出てしまうそうだ。
また年齢別で見ると,若年層ほどコンシューマ機で,高年齢になるほど汎用機でゲームを遊ぶ傾向が見られる。30〜40代はコンシューマ機,汎用機,あるいはその両方のどの区分においても人数が多くなっているが,光井氏は「ゲームとの関わりが深い世代であることや,余暇時間の使い方の違いが影響を与えているのではないか」と分析した。
さらに光井氏は,これらのデータからは,多くの人がどのようにゲームにお金を使っているかまでは反映されていないので,「たとえばコンシューマ機と汎用機の双方で遊んでいる人がどうしているのかなど,より詳しい分析が重要となる」とも話していた。
さて2012年1月から2013年5月にかけて,実際にどういった汎用機でゲームを遊んだのか。アクティブユーザー数のデータを見ると,スマートフォンが右上がり,フィーチャーフォンが右下がりと綺麗な対称を見せていることが分かる。
一方,ゲームの利用率で見ると,スマートフォンでもiPhoneの数字がAndroidを上回っているが,光井氏は前者が持つ「さまざまなエンタメコンテンツと相性がいい」というイメージが影響していると分析。今後はタブレットの伸びにも注目したいと話していた。
また2013年1月からは,「LINE POP」と「パズル&ドラゴンズ」が飛び抜けてアクティブユーザー数を増やしているというデータも示された。ただし,比較対象に挙がっているそのほかのタイトルはサービス期間が長く,ユーザーがコア化しているため,単純にアクティブユーザー数だけを見てビジネス的に分析することは不可能であり,MAU(Monthly Active User)やMPU(Monthly Paid User)をいかに保つか,投資対効果(ROI)をどう捉えるのかがむしろ重要であるとまとめ,レポートを締めくくった。
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