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日本マイクロソフトが2015年度経営方針説明会を開催。好調なWindowsタブレットはシェア5割を狙うもXbox Oneはどうする?
Microsoftの会計年度は,毎年7月に始まり6月に終わるため,一般的な日本企業とは異なるタイミングで,年度単位での経営方針説明を行うというのが通例となっているのだ。
そんな日本マイクロソフトの2015年度に控える大きなイベントといえば,9月4日に予定されている「Xbox One」の日本発売だろう。また,最近好調というWindows 8.1タブレットを今後どう盛り上げていくのかにも,関心が集まるところだ。
そこで本稿では説明会の概要をお伝えするとともに,説明会後に開かれた懇親会にて,樋口氏や日本でのXboxビジネスを担当する執行役 インタラクティブ・エンターテイメント・ビジネス ゼネラルマネージャーの泉水 敬氏などに聞いた,Xbox Oneの国内展開に関する情報をまとめてみたい。
Xbox Oneなしでも
2014年度の日本マイクロソフトは絶好調
まず取り上げられた話題は,2014年度のビジネス概況についてだ。2014年度の日本マイクロソフトは過去最高の売り上げを達成したとのこと。「着実な成長を遂げられた年。ものすごく良かった最高の年」と,報告する樋口氏の顔にも笑みが浮かぶ。
同社の業績が好調だった理由には,2014年4月9日にWindows XPのサポートが終了(関連記事)したことにともなう,PCの買い換え需要が大きかったことが上げられる。販売数量といった数字は公開されていないが,樋口氏は「(日本は)この1年間で移行が最も進んだ国。6月末で約8%※まで進んだ」ということだ。
※ Windows XPユーザーの割合
また,Windows搭載タブレットも,急速に販売台数を伸ばしているという。2年前には,店頭で販売されるタブレット端末シェアに占める割合がほぼ0%だったのに対して,2014年度にはMicrosoft純正タブレットであるSurfaceシリーズと,OEMメーカーが販売するWindows搭載タブレットを合わせて,店頭シェアは30.5%まで拡大したそうだ。
ところで,Windowsタブレットの普及拡大に貢献したアプリケーションといえば,
以上のように,2014年度の日本マイクロソフトは絶好調だったといえるわけだが,当然ながらその中にXbox Oneは入っていない。Xbox Oneなしでもビジネスは絶好調というのが現実というわけだ。
2015年はタブレットの店頭シェア5割を狙う
そのNadella氏は,「Mobile First,
また,「ユーザーが自然に入っていける製品を作らなければ駄目だと,
7月17日には,「Surface Pro 3」(関連記事)が国内発売されるが,予約開始初日の受注数で比較すると,前モデル「Surface Pro 2」の25倍にも達しているそうだ。
好調なSurfaceシリーズだけでなく,各PCメーカーからも,8インチクラスの液晶パネルを搭載したWindowsタブレットが多数登場する予定とのこと。樋口氏も「年度内に(店頭シェアの)過半数を取りたい」と,強い意気込みを見せている。Windowsタブレットの購入を検討している人には,これらの製品が登場するのをもう少し待つとよさそうだ。
日本でのコンシューマ向けOfficeといえば,PCにプリインストールされた形での提供が中心だったが,Office 365の提供によって,これらも変化していく可能性は高そうだ。
ところで,気になるXbox Oneについてだが,樋口氏の口からは「9月4日に発売される」と一言言及されただけ。2015年度のプランはほとんどが法人向けの施策説明ばかりで,コンシューマ向けビジネスに関する話題自体,タブレットとOffice 365,そしてXbox Oneへの一言程度だ。
法人向けビジネスの話題が中心で,コンシューマ向けの話題が少ないのは,日本マイクロソフトの経営方針説明では毎年のことなので,例年どおりといえばそれまでではある。ゲーム機の販売施策は,それにふさわしいタイミングと場所で公表したいという理由もあろう。しかし,発売される年度の経営方針説明で,言及されたのが一言だけというのはやはり寂しい。
Xbox Oneの国内展開について,エグゼクティブにもう少し聞いてみた
「Xbox Oneへの言及は一言だけでした」では,4Gamerの記事には物足りない。そこで,会見後に,日本マイクロソフトのエグゼクティブに質問する機会があったので,Xbox Oneの国内展開に関する話を聞いてみた。かいつまんでお届けしてみたい。
まず樋口氏には,「Mobile First,Cloud First」というMicrosoftの基本スタンスにあって,バリバリの据え置き機であるXbox Oneをどう位置づけていくのかを聞いたのだが,返ってきた答えは,「そのほかのMicrosoft製品との連携というよりも,単体の『Xbox』としてのポジションをしっかり築くことに主眼を置いている」という,興味深いものだった。
Microsoft本社が当初「トータルな,何とでもシームレスに連携するエンターテイメントマシン」としてXbox Oneを推していたのに対し,E3 2014ではコアゲーマー寄りの訴求に切り替えていたのは記憶に新しいが(関連記事),その路線を日本マイクロソフトも踏襲し,コアゲーマーに向けて,まずはゲーム機としてのXbox Oneをアピールしていくというわけだ。「8年振りの新製品。Kinectというユニークな存在もあって,パートナーさんからの期待もあるので,(日本マイクロソフトとして)力を入れていく」(樋口氏)とのことである。
ちなみに,インタビュー中に投げられた「Windows Phone 8.x世代はなぜ日本に来ないのか」という質問に対して,樋口氏が「1つだけ言えるのは,Nokiaの買収に(想定よりも)ちょっと長い時間がかかったことで,買収後に(全体のスケジュールを)見直したということ」と答えていた点は紹介しておきたいと思う。
当面の間,コアゲーマー向けに訴求していくとはいえ,Xbox Oneのビジョンには,Windowsベースの2-in-1デバイスや,Windows Phoneとの連携が含まれている。「Xbox Oneでプレイしているゲームの続きを移動中の電車でプレイする」ような未来を実現するためには,Windows Phone 8.xの登場が不可欠だが,樋口氏の口ぶりからは,発売がキャンセルされたわけではないニュアンスを感じ取ることができた。「(物理的に)Nokiaのデバイスを持ってくることは可能で,日本専用のハードウェアを作らねばならないことはない」と,ハードウェアレベルでのハードルの低さも示唆していたので,“いつか”を期待して待ちたいところだ。
具体的な施策や宣伝活動はこれからといったところのようだが,「まずは実際に(Xbox Oneに)触っていただくこと,見ていただくことが大事だと思いますので,販売店様と協力しながら,できるだけ多くの機会を設けたい」(泉水氏)とのことだった。
Xbox Oneが独自性をアピールするためのコンテンツとしては,ファーストパーティタイトルが欠かせない。そのなかでも国産タイトルは重要な役割を担うわけだが,現時点ではE3 2014で電撃発表された「SCALEBOUND」をはじめ,「D4: Dark Dreams Don’t Die」「Crimson Dragon」「Happy Wars」といったあたりで,少々さびしいラインナップだ。
こうした状況についても泉水氏にコメントを求めたところ,「継続的に日本国内のデベロッパとは話をしており,Xbox Oneならではのゲームが出せるのであれば,我々としても積極的に発売していきたい」とのことである。ちなみに,こちらもE3 2014で発表された「PHANTOM DUST」については,「詳細はいずれ発表させていただく」とかわされてしまった。
さて,Xbox OneはHDMIパススルー機能を備え,Xbox OneのUIを介してテレビを試聴する機能を持っている。米国ではこの機能を使い,CATVのテレビ番組表やスポーツ中継の情報を表示するアプリが展開されているのだが,日本独自のサービスはどうなっているのだろうか。
この点について泉水氏は,「日本と欧米ではテレビの視聴環境が大きく異なっています。ケーブルテレビやレコーダーの普及率も全然違いますので,日本のスタイルに合ったテレビの取り込み方を鋭意準備中です」と回答するに留まった。Xbox Oneらしさを象徴する機能であるだけに,期待したいところだ。
ダウンロード専用タイトルを含むとはいえ,30本近いラインナップが用意されているのは,「新しいコンソールの場合,発売したはいいもののゲームの数が追いつかなくて,どうしても初速の勢いが落ちてしまうが,これを避けたかった」(横井氏)という狙いによるものだそうだ。
さらに,9月4日の発売後もクリスマス商戦まで盛り上がりを持続するために「年内に15タイトルを追加発表」する予定だとのこと。そのなかには,E3 2014で披露されたタイトルが含まれるそうで,「日本の皆さんをお待たせしてしまった代わりに,コンテンツを最初から揃える」(横井氏)そうだ。追加タイトルのラインナップにも期待したい。
これから発売日に向けての施策は,「ゲーマーの方に満足してもらえるように,ゲームをアピールしていく」とのこと。とくにXbox Oneの強みとして横井氏は,「クラウドの活用」を挙げていた。
Xbox Oneのゲームでは,Microsoftのクラウドサーバー上に用意される,1ユーザーあたり「Xbox One 3台分に匹敵するリソース」を使い,ゲームのグラフィックスレンダリングやAI処理をクラウド側で行わせることが可能だ。Microsoftの技術によって,レイテンシの少ない平等なプレイ環境,スムーズなマッチングといった恩恵をゲーマーにもたらすこともできるのだという。「ITベンダーであるMicrosoftだからこそ実現できるエクスペリエンスを味わってほしい」と,横井氏は大きな自信を見せていた。
Xbox One公式サイト
Microsoft 日本語公式Webサイト
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