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印刷2024/08/30 17:55

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「EGGRYPTO」を開発するKyuzanのCEOも登壇。「持続可能なWeb3活用 日本の産業に与える革新性」聴講レポート[WebX]

 Web3カンファレンス「WebX2024」の2日目(2024年8月29日),「持続可能なWeb3活用 日本の産業に与える革新性」と題したセッションが行われた。
  登壇者は,NTT Digital 取締役 CISO サービス開発部 Managing Directorの遠藤英輔氏,NOT A HOTEL 取締役CTOの大久保貴之氏,SBINFT 執行役員COOの中村恭一郎氏,Kyuzan CEOの髙橋卓巳氏だ。

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遠藤氏
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 チケミー 代表取締役の宮下大佑氏がモデレーターを務め,まずは「持続可能なビジネス」について全員に質問した。遠藤氏は「データの権利が個人に寄っていく自己主権型の世界が来る」と予想し,「データの活用法が大きく変わってくるので,それに応じてビジネスが変化する」と語った。
 
 大久保氏は「持続可能性は我慢につながりがちだが,無理をしないことが重要」だと主張した。不動産の権利など,これまでシェアしにくかったものをシェアするうえで,Web3は有用な技術だという。

中村氏
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 2年前に製造業からIT業界に転職してきた中村氏は,「IT業界とほかの業界ではリスクに対する認識が違う」と説明し,「NFTは危険なイメージを持たれている」と指摘した。そのため,SBINFT Marketを承認制にして,IPの盗用などを対策しているとのこと。
 
 髙橋氏は自身の会社がブロックチェーン1本で7年間続いていることが持続可能性を証明しているとした。一方で,持続可能性とは「頑張って続けるもの」ではなく「潰そうと思っても潰せないもの」を指すのではと考え始め,最近では後者を意識してビジネスに取り組んでいるそうだ。

大久保氏
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 続いて「日本の産業にWeb3がどういった革新性を与えるか」がテーマに。大久保氏は「Web3は目的ではなく手段」だとしたうえで,「日本はスマートフォンの所持率が高いので,ユーティリティを権利化してブロックチェーンにのせる」といった事例はいろいろな産業で見られるようになると予想した。NOT A HOTELでは別荘に泊まる権利をNFT化して,マーケットプレイスで売買できるようにしている。
 
 中村氏は「NFTである意味」を質問されることが多いと述べ,「単純に新しいものを持っていること自体が嬉しい」と指摘した。SBINFTではローソンエンタテインメントと協力して「LAWSON TICKET NFT」を展開しており,このサービスでは紙のチケットで半券を記念にとっておくような感覚で,自分が公演に行ったことがNFTとして記録される。NFTチケットは1000円強の追加料金がかかるが,約35%のユーザーに選択されており,体験への期待が浸透しているとのことだ。

宮下氏
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 NFTチケットプラットフォーム「TicketMe(チケミー)」を運営する宮下氏は,NFTチケットのメリットは「記念品」としての要素だけでなく,「流通」における要素があると補足した。チケミーで買ったNFTをOpenSeaなどの別のマーケットプレイスで販売できることが,タッチポイントの増加につながり,事業者のマーケティングに役立つという。
 
 次のテーマは「既存の産業にNFTを組み込むこと」。髙橋氏は「もともとあった何かにNFTを活用することは説明しやすい」としたが,NFTにはそれ以上の何かがあると考えているようで,それを見つけることが課題だと語った。また,髙橋氏は「ウォレットを使っているとユーザーが自覚すべきか」と遠藤氏に話を振った。
 
 使いやすさを重視した「scramberry WALLET」を提供するNTT Digitalの遠藤氏は,価値が認められた既存のWebサービスの裏側にモジュール化されたウォレット機能を入れていくアプローチが正しいと考えていると話す。ユーザーにとっては使い慣れたアプリケーションにWeb3の機能が追加されていく感覚だ。

 セッションの後半は,各人が「今後の技術トレンド」について話すことになった。遠藤氏は「アイデンティティ」を取り上げ,ヨーロッパで「欧州デジタルIDウォレット」が今年制度化されたことに触れた。NFTによってデータが自己主権型になると考えている遠藤氏にとって,このような動きは注目すべきものだという。
 
 大久保氏によると「ユーザーにWeb3を意識させない」ことがWeb3の普及において重要であり,突き詰めていくと「オフチェーンでいいのでは」となることが多いそうだ。しかし,本来Web3でやりたかったことを考えると「乗り越えなくてはいけない壁」があるので,Sony Block Solutions Labs開発のブロックチェーン「Soneium」でも採用された「OPスタック」に注目しているとのこと。
 
 中村氏は,「実はNFTだった」「実はブロックチェーンだった」とユーザーがブロックチェーンを意識せずに使っているような事例が半年から1年で出てくるだろうと予想した。

髙橋氏
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 髙橋氏は「絶対にブロックチェーンじゃないと成り立たない」ようなものを探したいという。複数のブロックチェーンゲームで同じNFTを使えるようにするインターオペラビリティの取り組みは,これまで「1作目でプロジェクトが潰れてうまくいかない」ものが多かったが,現在Kyuzanが開発中の新作ブロックチェーンゲームで絶対に実現させたいと語られた。具体的なタイトル名は挙がらなかったが,「EGGRYPTO」と「EGGRYPTO X」を指しているのではないか。
 
 最後に宮下氏が,来年のWebXでは「流通」が重要になっているだろうと自身の考えを表明し,セッションは幕を下ろした。

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