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「そうだ アニメ,見よう」第63回は話題のバドミントンアニメ「はねバド!」。原作を再構成したストーリー展開に注目
8月に中国・南京で行われた世界バドミントン選手権大会で,男子シングルスの桃田賢斗選手が金メダルに輝き,女子ダブルスでは金銀銅を独占するなど,バドミントンが今注目を集めている。
「そうだ アニメ,見よう」第63回のタイトルとなる「はねバド!」は,そのバドミントンを題材にした作品で,インターハイを目指す高校バドミントン部の青春を描いたスポーツアニメだ。
原作は,濱田浩輔氏が「good!アフタヌーン」(講談社/既刊13巻)で連載中のタイトルで,アニメーション制作は「アルスラーン戦記」や「レイトン ミステリー探偵社」を手がけたライデンフィルム,シリーズ構成は岸本 卓氏,監督は「モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ」の江崎慎平氏が務めている。
「はねバド!」
そんなある日,自分を打ち負かした羽咲綾乃(CV:大和田仁美)がテニス部の見学をしている姿を目撃する。そして,元オリンピック代表候補の立花健太郎(CV:岡本信彦)がコーチに就任した日,幼馴染みの藤沢エレナ(CV:小原好美)に連れられてやってきた綾乃は,その才能を見抜いた健太郎にバドミントン部に入るよう勧められる。
「たかがスポーツ」と入部を拒否する綾乃に対し,なぎさは勝負を挑む。試合は途中で打ち切られてしまうが,エレナがバドミントン部のマネージャーになると宣言したことにより,綾乃はバトミントン部に仮入部することになるのだった。
本作は,アニメ化決定時のPVで,圧倒的な迫力のバドミントンの試合シーンが公開され,話題となっていた作品だ。バドミントンをテーマに選んだ作品は,これまであまり例がなかったため,そのハイスピードの試合展開に驚かされた視聴者が多かったのではないだろうか。
そして,放送がスタートし,PVにも負けない熱量の物語が展開されるにつれ,人気が急上昇。今期の注目タイトルのひとつとなっているのだ。
物語は,伝説的なプレイヤーである母親に教えを受け,自身も天性の才能を持つ綾乃と,努力家のなぎさを対比する形で描かれている。母との確執からバドミントンに複雑な感情を持ち,傲慢に振舞う綾乃のせいで,部内の雰囲気も重くなる。ピリピリした空気に包まれることも多いが,なぎさや副主将の理子(CV:三村ゆうな)達は真摯に練習を続ける。その理由は,バドミントンが好きだから。
本作は,才能のある一部のプレイヤーだけではなく,理子のような普通の選手達にもスポットを当て,バドミントンの楽しさを伝えてくれる作品なのである。
強いがゆえに他人を省みないプレイスタイルを続ける綾乃 |
アニメ用に再構成されたストーリー展開
原作コミックのファンならばすでに気づいていると思うが,本作のストーリーは,コミックの内容を大幅に再構成している。アニメ化にあたって,複雑化していた各キャラクターの内面を明確にするために,物語を組み替える必要があったのだという。
海老名 悠(CV:石川由依)や伊勢原 空(CV:松井恵理子)といった,ほかの部員を掘り下げているのも,普通の女子高生がバドミントンをやっているという,日常の部分をしっかり描きたかったからだとか。たしかに,作品中でも海老名達の登下校シーンがきちんと描かれているおかげで,“部活動をしている”感じが視聴者に伝わり,作品がよりリアルなものであると感じられた。
この再構成に関して,濱田氏は「原作よりもなぎさが置かれている状況がくっきりしている」と肯定的なコメントをインタビューで語っている。
一流選手の動きをロトスコープで再現
本作の最大の見どころである試合のシーンには,再春館製薬所の仲井由希乃選手や小野菜保選手など一流の選手の動きを撮影し,それをトレースしてアニメ化する手法「ロトスコープ」が一部採用されている。そのため,作画枚数は増えてしまうが,よりリアルな動作がアニメで実現できるのだとか。
それ以外でも,キャラクターの表情や試合中の筋肉の動きなど,制作スタッフのこだわりが随所に感じ取れて,試合中は目をそらせないほどの臨場感を生み出している。
また,通常のシーンでも昼間なのに暗い体育館や,あえてBGMを入れないシーンをはさむなど,絶えず緊張感のある演出が盛り込まれ,時間を忘れて作品に没頭できた。通常のシーンと試合のシーンの緩急のついた演出が本作の魅力なのだ。
第10話が放送され,ストーリーはクライマックスを迎えている。綾乃となぎさの決着はどうなるのか? 綾乃と母・有千夏(CV:大原さやか)の関係は修復できるのか? など気になる要素は盛りだくさんだが,やはり現在,魔王のようになってしまっている綾乃がヒロインとして,可愛らしい笑顔を見せてくれるかどうかが,最大のポイントだろう。
オープニングのワンシーンのように,北小町高校バドミントン部の仲間として綾乃となぎさが手を取り合えるようになるのか,今後の展開に期待したい。
なお,公式Twitterでは篤見唯子先生による原作スピンオフの4コマ漫画「はねバド!ぼっち」が公開されている。アニメ本編とは異なるキャラクターの表情が見られるので,こちらもぜひご覧あれ。
TVアニメ「はねバド!」公式サイト
TVアニメ「はねバド!」公式Twitter
放映データ |
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2018年7月〜 |
キャスト | |
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羽咲綾乃:大和田仁美 | 荒垣なぎさ:島袋美由利 |
泉 理子:三村ゆうな | 藤沢エレナ:小原好美 |
コニー・クリステンセン:伊瀬茉莉也 | 志波姫唯華:茅野愛衣 |
芹ヶ谷薫子:下田麻美 | 石澤 望:櫻庭有紗 |
立花健太郎:岡本信彦 | 太郎丸美也子:小松未可子 |
羽咲有千夏:大原さやか | 海老名 悠:石川由依 |
スタッフ |
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原作:濱田浩輔(講談社『good!アフタヌーン』連載) |
監督:江崎慎平 |
シリーズ構成:岸本 卓 |
キャラクターデザイン・総作画監督:木村 智 |
総作画監督:飯野まこと |
美術監督:井上一宏(草薙) |
色彩設計:辻田邦夫 |
撮影監督:野澤圭輔(グラフィニカ) |
3DCG:フェリックスフィルム |
音響監督:若林和弘 |
音楽:加藤達也 |
アニメーション制作:ライデンフィルム |
OPテーマ:YURiKA「ふたりの羽根」 |
EDテーマ:大原ゆい子「ハイステッパー」 |
■Blu-ray&DVD情報
【Vol.1】9月19日発売
≪商品仕様≫
●「はねバド!」 Vol.1 Blu-ray 初回生産限定版
品番:TBR28280D POS:4988104117809
価格:¥7,800+税
本編約71分(収録話数:第1話、第2話、第3話)+特典映像
本編仕様:カラー/1080p High Definition 16:9ワイドスクリーン
日本語リニアPCM2.0ch ステレオ
●「はねバド!」 Vol.1 DVD 初回生産限定版
品番:TDV28286D POS:4988104117861
価格:¥6,800+税
本編約71分(収録話数:第1話、第2話、第3話)+特典映像
本編仕様:カラー/16:9LB/日本語リニアPCM2.0ch ステレオ
【初回生産限定仕様】
・原作・濱田浩輔描き下ろし全巻収納BOX
・描き下ろし三方背ケース
【初回封入特典】
・スペシャルブックレット(12P)
篤見唯子先生による原作スピンオフ四コマ漫画「はねバド!ぼっち」も掲載!
【映像特典】
・ノンクレジットOP
・ノンクレジットED
【Vol.2】10月17日発売
≪商品仕様≫
●「はねバド!」 Vol.2 Blu-ray 初回生産限定版
品番:TBR28281D POS:4988104117816
価格:¥6,800+税
本編約48分(収録話数:第4話、第5話)+特典映像
本編仕様:カラー/1080p High Definition 16:9ワイドスクリーン/日本語 リニアPCM 2.0ch ステレオ
●「はねバド!」 Vol.2 DVD 初回生産限定版
品番:TDV28287D POS:4988104117878
価格:¥5,800+税
本編約48分(収録話数:第4話、第5話)+特典映像
本編仕様:カラー/16:9LB/日本語リニアPCM2.0ch ステレオ
【初回生産限定仕様】
●描き下ろし三方背ケース
【初回封入特典】
●スペシャルブックレット(12P)
篤見唯子先生による原作スピンオフ四コマ漫画「はねバド!ぼっち」も掲載!
【映像特典】
●CM集
※仕様、内容は変更になる場合がございます。ご了承ください。
(C)2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会
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