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ハロー!Steam広場 第215回:一瞬の気の迷いで窒息死。宇宙空間でサバイバルする「Breathedge」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,グラフィックスカードでデッキを構築する上級カードゲーマーにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第215回は,宇宙空間でサバイバル生活をする「Breathedge」を紹介しよう。プレイヤーは,酸素ボンベなしでは生きられない世界に身を投げ出し,酸素の残量を気にかけながら探索を進めていく。ギリギリで帰還できることもあれば,拠点を目の前にして死んでしまうことも。
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一瞬の気の迷いで窒息死。宇宙空間でサバイバルする「Breathedge」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回は海外のインディーズ系デベロッパ,RedRuins Softworksが手がける「Breathedge」を紹介しよう。
恐竜の島でサバイバルする「ARK:SurvivalEvolved」,海でサバイバルする「Subnautica」,ジャングルでサバイバルする「Green Hell」など,本連載ではいろいろなサバイバルゲームを紹介してきたが,今回の「Breathedge」は,なんと宇宙空間がサバイバルの舞台となる。
プレイヤーは祖父の宇宙葬をするため,大型客船で目的地へと向かっていたところ,大きな事故に巻き込まれてしまう。なんとか一命をとりとめるも宇宙船は大破してしまい,宇宙空間に放り出された乗客の死体や積荷がそこかしこを漂っているという,なんとも絶望的な状況だ。
そんななか,プレイヤーの客室だけは電気や酸素供給システムが生きており,食料や水さえ確保できれば,なんとか生きていけそうである。ということで,救助が来るまでの間は客室を拠点とし,サバイバル生活をしていくことになる。
食料や水を手に入れるためには,宇宙空間を探索しなければならない。ただ,ひとたび拠点を出れば,そこは酸素のない世界だ。プレイヤーの宇宙服には酸素ボンベが付いているものの,最大貯蓄量が50なのに対して宇宙空間では1秒に1ずつ消費される。要するに宇宙空間では,わずか50秒しか活動できないのだ。
したがって,拠点に帰るのに必要な酸素量も計算に入れながら,探索しなければならない。「これ以上行くと帰りの酸素が足りずに死んでしまうかもしれない」という,進むか退くかの判断を常に求められ,一瞬の迷いが死につながることも珍しくない。
ただ,拠点を目の前にして死んでしまったときの悔しさも,酸素ギリギリで帰還できたときの嬉しさも,このゲームの魅力の1つであることは間違いなく,そうしたスリリングな体験が,また探索に出たいという気持ちにさせてくれる。
とはいえ資源に限りがある以上,50秒以内で帰れる範囲をいつまでも探索しているわけにもいかない。そうでなくても,はるか遠くまで散っていった宇宙船の残骸を見れば,探索範囲を広げたいと思ってしまうはずだ。
探索範囲を広げる方法はいくつかある。一番手っ取り早いのは,酸素ボンベの拡張だ。拠点では探索で集めた資源を元にいろいろなアイテムを作成できる。特定のアイテムを作るのには設計図が必要になるが,チュートリアルをこなしていれば,序盤の探索に役立つアイテムのほとんどが作れるようになる。
ここまでだと,なかなかシリアスな味付けのサバイバルゲームに思えるかもしれないが,実のところそうでもない。酸素ボンベを作るのにコンドームが必要だったり,便器にハムスターが挟まっていたりと,少しばかり口角が上がってしまうようなブラックユーモアネタがそこかしこに散りばめられているのだ。
とくに印象的なのがニワトリの存在である。プレイヤーキャラクターは,困った状況にぶつかると,どこからともなくニワトリを取り出し,彼を使ってそれを解決しようとするのだ。チューブの中に突っ込んで酸素漏れを防いだり(尻から漏れるので意味なし),電線にくっつけて漏電を止めたりと,ニワトリからしたらはた迷惑な話である。それでも懲りずに(というか死なずに)プレイヤーと行動を共にするニワトリにはうっすらと感動すら覚えてしまう。
本作は最終的に全5章にわたって物語が展開されていく予定だが,現時点で実装されているのは1章のみとなる。
開発側の想定プレイ時間が1章あたり3〜6時間となっているので,今の段階ではボリューム不足感が否めないが,その短時間でもシリアスとユーモアが混じり合った,今までにないサバイバル生活が味わえるので,興味のある人はぜひ遊んでみてほしい。
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