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ハロー!Steam広場 第153回:双子の王女を学校まで送るはずが,なぜか異世界で悪魔と戦うことになるローグライクRPG「Has-Been Heroes」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,[Alt+F4] をマクロキーに設定してホラーゲームを始める上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第153回は,Frozenbyteが手掛ける「Has-Been Heroes」を紹介しよう。本作は,双子の王女とともに異世界に迷い込んでしまった英雄達が,悪の軍勢と戦いながら冒険を繰り広げる作品だ。ゲーム自体は,横スクロール型のタワーディフェンスとローグライクRPGを掛け合わせたような内容になっている。
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双子の王女を守りながら異世界で悪魔と戦うタワーディフェンス型のローグライクRPG「Has-Been Heroes」
今回は,フィンランドを拠点に活動するデベロッパ,Frozenbyteが手掛ける「Has-Been Heroes」を紹介しよう。Frozenbyteといえば「Trine」シリーズの開発元として知られるデベロッパだが,そんな同社の新作タイトルは,横スクロール型のタワーディフェンスとローグライクRPGを掛け合わせたような内容になっている。
このゲームの主役となるのは,かつて王国を窮地から救った英雄達だ。物語は,国王が彼らに新たな使命を与えるところからスタートする。その使命というのは,双子の王女達を学校へ送り届けるというもの。親の気持ちも分からないではないが,国を救った英雄を娘達の送迎に使うのはいかがなものか。
かくしてプレイヤーは,ローグ,メイジ,ナイトという3人の英雄を操作して,王女達を学校まで護衛することになる(これはこれで遊んでみたい)――はずだったのだが,なんやかんやあってその目的は大きく変わってしまう。ネタバレになってしまうので詳しくは言及しないが,手短に言うと,悪魔の軍勢と戦いながら異世界を探索することになるといった感じだ。
本作のフィールドは上中下3つのレーンに分かれており,各レーンの左端に英雄が配置されている。戦闘になると画面の右側から,各レーンの上を悪魔の軍勢が侵攻してくるので,それらを英雄達で撃退していく流れだ。
英雄は,自分のレーンの上を歩いている敵をクリックすると突撃し,ローグならば中威力の攻撃を3回,メイジなら低威力の攻撃を2回,ナイトなら高威力の攻撃を1回だけして,元のポジションに戻る。ただし,一度突撃すると次の突撃までにクールタイムが発生するので,1つのレーンに大群が押し寄せると,捌ききれなくなることも。
敵を倒すにはHPを削る必要があるのだが,その前にスタミナという壁が立ちはだかっており,まずはこれを0にしなければ攻撃が通らない。厄介なのは,1回の攻撃で削れるスタミナが1だけというのと,ジャスト0にしないとスタミナを回復されてしまうという部分である。
例えばスタミナ2の敵の場合,2回攻撃のメイジであれば一回の突撃でちょうど0にできる。ただ,これをローグで攻撃してまうと余剰1回分の微妙なダメージは入るが,その後スタミナが回復してしまい,敵の撃破にはつながらない。この方法でもHPを削ることはできるが,敵は“軍勢”である。そんな非効率なことをやっていると次々に現れる敵を捌けず,すぐに積む。
したがって,このスタミナをいかに効率よく0にするかというのが,本作における攻略のカギになる。ここでポイントになるのが,レーンのスイッチだ。英雄が敵に攻撃を加えるとゲーム内の時間が止まり,その間にほかの英雄とレーン交代ができる(裏を返すと,必ず一度は攻撃しないとレーン交代はできない)。ここで,攻撃準備のできている英雄と交代すれば,続けてそのレーンにいる悪魔を攻撃できるという寸法だ。
例えば,スタミナ2の敵がローグのいるレーンに来てしまったら,ローグではスタミナをピッタリ0にできない。まずはローグで攻撃して時間を止め,メイジとレーンをスイッチし,次にメイジで2回攻撃すればスタミナをちょうど0にできる。これでその敵はスタンするので,次に攻撃力の高いナイトで止めを刺せば,綺麗に処理できるというわけだ。
このように本作では,攻撃を始める前に考えることがたくさんあるわけだが,そうしている間にも敵はどんどん英雄に近づいてくる。いちおう[Space]キーでポーズはかけられるが,攻撃の計算を間違えるたびにジリジリと窮地に陥ることに。なんだか詰将棋をしているような気分にもなるわけだが,最適解となる連携を見つけてうまく敵を捌けたときの快感は格別だ。
もし,敵の侵攻を食い止めきれずに英雄を死なせてしまった場合は,そこでゲームオーバーとなる。ただしゲームはそこでは終わらず,それまでに倒した敵から回収した魂を使って,次に冒険するときに便利なアイテムやスペルをアンロックできるので,たとえゲームオーバーになったとしても,その活躍は次に生かされるわけだ。
先ほども少し触れたが,本作の戦術性は,最適解を見つけていく詰み将棋に近しいと筆者は感じている。「Hearthstone: Heroes of Warcraft」をはじめ,昨今盛り上がっているデジタルTCGがやはりそうなのだが,取捨選択の悩ましさと戦略を組む面白さが,タワーディフェンス型のRPGとしてうまく構築されている印象を受けた。したがって,ジャンルは違えどTCG好きならけっこう刺さるタイトルではないだろうか。
日本語はサポートされていないものの,ゲームプレイ自体はほとんど言語に依存しないので,英語でも問題なくプレイできるはず。興味のある人はぜひ遊んでみてほしい。
「Has-Been Heroes」Steamストア(1980円)
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