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ディレクター外山氏のほか,吉田修平氏や桝田省治氏も登場した「GRAVITY DAZE」先行体験会&スタジオ見学ツアーをレポート
ツアーの進行をつとめるタレントの丸山 周さんと,SCEのプロモーション担当 北尾泰大氏のガイドのもと,「GRAVITY DAZE」を制作した社内のスタジオをツアー形式で見学して回った。我々取材陣も同行することができたので,今回はその様子をレポートしよう。なお,当日は参加者15名ずつの見学ツアーが2回開催され,今回取材させていただいたのは,その最初の回となる。
「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」公式サイト
参加者はデスクに置かれた資料を自由に手にとって見ることができた。写真左の方が手に取っているのが最初期の企画書で,2008年4月18日に作られたものだ |
「PS Vitaという新しいハードへの期待に応えられるようなタイトルになれば嬉しい」と,発売を目前に控えた心境を語った外山氏 |
まず通されたのは,声優さんなどの音声を収録するブース。ここは外から完全に遮音された部屋で,ゲーム中のコンフィグやサウンドテストなどでボイスだけを聞きたいというユーザーのために,それ以外の余計なノイズが一切入らないように気を配られて設計されているという。
そして参加者一行は,そのブースの隣にある,ボイスや曲のレコーディング,サウンドのミキシングが行われるコントロールルームへと移動。ここではまず本作のPVが再生されたのち,シニアサウンドデザイナーの北原恵一氏が,実際にどのようにしてサウンドを作り上げてきたのかを解説した。キトゥンが重力キックで攻撃した音を例に挙げ,アタックの音や敵の体の芯に当たった音,殻が壊れたときの音などをそれぞれ再生して,複数の音が塊となって一つの音になっていることを非常に分かりやすく説明してくれた。
「効果音はどのように作っているのか」という質問に対して,北原氏は「ケースバイケースですが,一つの例としては,効果音ライブラリの一部を組み合わせて使ったり,録音するときでもガラスが割れるシーンだった場合,実際にガラスを割った音が必ずしも良い音になるとは限らないので,演出的に合致しそうな別のもので試行錯誤して録音後,それを加工するなどして,既存のものではない新しい音を毎回作っています」と答えていた。
PS3の7.1chに対応したサラウンドのミックスが行える環境で,部屋の中央にレーザーポインターで指定された位置(山口氏が手をかざしている場所)に座ることで,サラウンドの一番いい音が聞こえるという。サウンド関係者のこだわりが見える設計のスタジオだ |
効果音を分解して聞かせてくれた北原氏。ちなみにスタジオ正面のスクリーンの裏には,7.1chのスピーカーの一つが隠されている |
次に案内されたのは,5.1ch環境の小さなスタジオ。ここは北米の各所にあるサウンドスタジオとほぼ同じ設計になっていて,ハリウッドなど海外で作られた音声を同じ環境でチェックすることができるというメリットがあるそうだ。
その奥にある部屋は,非常に変わった作りになっていた。床に1メートル四方程度の大きさのフローリングやコンクリート,グレーチングなどがセットされ,ここでさまざまな効果音が収録されるというのだ。足音を収録するためのさまざまな床のほか,壁には扉や引き戸,障子などがあり,さらに高いところから飛び降りたときの音を録るために使われるトラスが天井に設置してあったりと,普段の生活ではありえないような,ユニークな設計が施されている。また部屋の中には,航海中の船の音を出すローラー状の機材や,衣擦れ音を出すための衣類,足音を録るための履き物なども用意されていた。ここで収録されたさまざまな音が,前述の北原氏をはじめとしたサウンドデザイナーの手によって録音,加工され,ゲームの効果音になっているのである。本作をプレイする際も,ぜひヘッドフォンを用意して,こだわりのサウンドをことこまかに楽しんでみよう。
なお残念ながら,これら3つのブースは撮影禁止だったので,以上の説明からどんな部屋なのかを想像してみてほしい。
スタジオを一通り回った参加者は次に同社の社員食堂で休憩することとなったのだが,ここで思わぬサプライズゲストが。SCEのワールドワイド・スタジオのプレジデントである吉田修平氏と,「俺の屍を越えてゆけ」でおなじみの桝田省治氏,そして外山氏が登場したのである。
「重力と時間を操るゲームは,みんなが考えるけど必ずボツるんで,この『GRAVITY DAZE』はうまくいくといいよね」という桝田氏に対して,外山氏は「もうマスターアップしてます(笑)」と返し,一同の笑いを誘った |
町の人を浮遊に巻き込める自由度の高さを残すのか,削るのかが心配だったという吉田氏の言葉に対しては,「年齢制限が変わってしまうので,町の人がダメージを受けるわけではないということをできるだけ分かりやすく,陰惨な絵にならないよう気を遣って演出しました」と外山氏は返答した |
休憩時間の最後には,本作のキャラクターデザインを務める斎藤俊介氏が描いたサイン入り色紙が,参加者の中から抽選で1名にプレゼントされた |
参加者のみなさんが体験プレイをしている間に,制作陣からいくつか話をうかがったところ,体験版では行くことが限られていた世界が,ゲームを始めてすぐにほぼオープンワールドとなり,重力を自在に扱うことで,いろいろな場所へと行くことができるようになるという。重力を使ったアクションは宙に浮かんで移動できるだけでなく,傾いた地面を高速で滑ることなどもできるようなので,アクションゲーム好きならかなり楽しいものとなりそうだ。
外山氏は参加者一人ひとりに声をかけてアドバイスをしたり,逆に感想などを聞いたりしていた |
試遊終了後に外山氏は,「今日製品版を触っていただいて,面白いと思っていただけたなら,それを周りの人にお伝えいただければ嬉しく思います。来週の発売日,『GRAVITY DAZE』をよろしくお願いします!」と参加者に挨拶した |
一般のユーザーを招いて試遊会が行われること自体は少なくないが,制作現場の見学や,多くの開発陣と直に話せる機会が同時に設けられるのは非常に珍しいことだ。今回選ばれた30名の参加者のみなさんは,記憶に残る約2時間を体験できたのではないだろうか。今後別のタイトルでもこういった催しが行われることを願うとともに,外山氏をはじめとした制作陣が自信を持って送り出す,PS Vitaでしか遊ぶことのできない傑作となるであろう本作の発売日を楽しみに待ちたい。
「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」公式サイト
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GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動
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