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「Solatorobo それから CODAへ」のファンブックは全7部作で隔月刊予定。松山 洋氏とWAKA氏のサイン会も行われた,「ソラトロボ博物館 それからお台場へ」をレポート
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東日本大震災の影響で延期されていた本イベントは,参加を心待ちにしていたファンの要望を受け,晴れて開催されることになったものだ。
会場には,1000点以上にものぼる世界設定画やラフ画の中から選りすぐった物が多数展示されていた。また,「ソラトロボ」としては初となるオリジナルグッズの販売や,エグゼクティブディレクターの松山 洋氏,ディレクター・デザイン原案のWAKA氏によるサイン会も行われた。
ここでは,イベント初日の模様をレポートしていこう。
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「ソラトロボ博物館 それからお台場へ」特設サイト
「Solatorobo それからCODAへ」公式サイト
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展示物は,一般来場者による写真撮影がOKだったこともあり,携帯電話のカメラやデジカメで撮影する姿も多く見受けられた。ちなみにスタッフに聞いたところ,中には設定画を見ながデッサンしていた来場者もいたとのことで,「ソラトロボ」に対するユーザーの熱量を感じさせられた。
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物販コーナーでは,会場限定のオリジナルグッズが販売されるとあって,初日である4月29日には,オープン前から300人以上もの大きな行列ができていた。また,サイン会の始まる15:00頃には,「マグカップ」や「ハンドタオル」「手ぬぐい」などの商品は早々に売り切れてしまっていた。
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さらには,このファンブックRED,ロゴをよく見るとREDのDの文字のところに「3/7」と入っている。ゲームをプレイした人ならこの意味はわかると思うが,それだけではなく,別の意味が込められていることが,松山氏から明らかにされた。
実はこのファンブック,単独作品ではなく,全7巻構成のシリーズで,今後は隔月刊で刊行されることが明らかにされた。販売方法などについては,今後サイバーコネクトツーの公式サイトで発表されるそうだ。
なお,「ファンブックRED」はイベント会場限定販売商品だったので,会場を訪れた人しか購入できなかったわけだが,今後販売予定があるかなどは「検討中」とのこと。会場を訪れられなかった人で手に入れたいという人は,サイバーコネクトツー公式サイトの「オタヨリヒロバ」などから要望を送ってみよう。
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サイバーコネクトツー公式サイト「オタヨリヒロバ」
サイン会では,松山氏,WAKA氏ともに,ファンと会話を交わして交流しながら,一人一人が持参したパッケージにサインを入れていった。来場者層は全体的に若めで,女性の姿も多く見受けられたのが印象的だった。
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本イベントの終了後,松山氏とWAKA氏にインタビューをさせてもらったので,本稿の締めとして以下に掲載しよう。
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「ソラトロボ博物館 それからお台場へ」の初日を迎えた感想をお願いします。
松山氏:
割と朝早くに会場入りしていたのですが,ファンの方が9時過ぎくらいからすでに並ばれていて,11時のオープン時には,250人程がいらっしゃっていたんです。事前にある程度の人数は想定してたんですけど,思った以上の方が来てくれて,皆さんに応援していただいてるんだなということが,あらためて実感できましたね。
4Gamer:
WAKAさんはこういったイベントに参加されるのは初めてとのことですがいかがでしたか?
WAKA氏:
もう相当緊張しましたね(笑)。
4Gamer:
「ソラトロボ」というか,「リトルテイルブロンクス」構想に準じた作品が今後も続いていくと,必然的にWAKAさんもイベントに参加する機会が増えるんですよね?
WAKA氏:
そこはもう,頑張ります(笑)。
4Gamer:
イベントに来場したユーザー層は,どのような感じでしたか?
松山氏:
「ソラトロボ」の購入者アンケートを見ると,本来我々がターゲットとしていたお客さんが形として現れていて,20代の方が多いんですね。ただ今日は,割と10代の方が多くて,アンケートの層と少しずれていたのが,少し不思議な現象だなと思いました。
4Gamer:
若い世代のほうが,イベントまで足を運ぶほど熱量が高かったということでしょうか。ちなみに,今回「ソラトロボ博物館」の会場をお台場のオープンスペースにしたのは,どのような経緯だったんですか?
松山氏:
我々もいろいろと会場を探してはいたんですが,やはり探すとなると,いい場所を見つけるのはなかなか難しいんですね。今回は,画廊を借りるというプランもあったんですけど,そういった場所では物販がNGと言われてしまって。
やはり,オリジナルグッズを作って販売してほしいという要望があったので,オープンスペースの会場なら展示も物販もできるし,また,オープンスペースだと通りすがりの方も興味を示してくれると思うので,最終的にお台場の会場に決めました。
元々は3月中旬の開催を予定していたんですけど,やはり震災の影響もあっていったん延期させていただいたんですけど,開催を望む声が多かったので開催を決定しました。
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サイン会は抽選でしたが,事前の応募者数はかなり多かったのでしょうか?
松山氏:
多かったですね。一つ一つ気持ちを込めてサインを書かせていただきました。
4月29日と4月30日のサイン会は,3月に募集した段階で当選が決まっていた方を優先とさせていただきました。応募が多かったので,抽選から漏れてしまった方のために,最終日に追加で実施を決定したんですけど,それでもやはり全員というわけにはいきませんでした。
WAKA氏:
私はこういうイベントに出させていただいて,お客様と直接,お会いすることもお話しすることも初めてだったんです。今回,いわばゼロ距離でお客様とお話しをさせていただいて,皆様がとても「ソラトロボ」を愛してくださっているんだなということを実感できました。
ですので,今後の開発も一段と楽しくなると思います。このお客様の思いを会社に持って帰って,開発チームに伝えたいですね。
4Gamer:
今回は,「ソラトロボ」初のオリジナルグッズが販売されましたよね。一番要望が多かったグッズはなんだったんですか?
松山氏:
やはり要望が多かったのは,設定資料集のように世界観が分かるものですね。あとは,それに加えて身につけられるものという要望が多かったですね。そこで,スタッフとミーティングしていたときに案として上がったのが,ハンドタオルとか手ぬぐいですね。
私はハンカチの代わりに手ぬぐいを持ち歩いているんですよ。女性スタッフはハンドタオルが欲しいというので,じゃあそれを作ろうかということになったんです。で,どうせ作るんなら描き下ろしだなってことで,WAKAには一生懸命頑張ってもらいました。思いのほかマグカップが人気あったので,WAKAも描き下ろした甲斐があったと思います(笑)。
4Gamer:
予想が的中したといいますか,マグカップもハンドタオルも手ぬぐいも,早々に完売してまいしたね。
松山氏:
ええ。とてもありがたいですね。
4Gamer:
マグカップは男女問わずだと思いますが,手ぬぐいやハンドタオルの人気が高いということは,やはり女性層の比率が高いんでしょうか?
松山氏:
そうですね。「.hack」と比べても,女性の比率はとても高いと思います。
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あとグッズといえば,ファンブックの全7巻というサプライズ発表もありましたね。来場した方々もかなり喜んでいたようですが。
松山氏:
はい。作っている段階から「これは全7巻だな」と考えていたので,本のタイトルをどうするかという話になったときに「レッド7分の3」と,すぐに決まりました。
実はこのファンブックを作るとき,「ソラトロボ」のスタッフが参加するのは分かるんですけど,「ナルティメットストーム」チームや「アスラズラース」のチームのスタッフも,自ら手を挙げて参加しているんですよ。制作に携わっていないのに(笑)。
4Gamer:
ほかのチームから挙手があるというのはすごいですね。
松山氏:
みんな「ソラトロボ」は作りたかったみたいですね。「いやいや,お前は自分のを一生懸命作れ」って話もあるんですけど(笑)。でも,みんな休みの日に原稿を上げて提出していたので。
4Gamer:
ところで,ファンブックは全7巻のシリーズ化が発表されましたが,「ファンブック RED」は今回の会場限定販売商品ですよね。今後再販の可能性などはあるんでしょうか?
松山氏:
おそらく弊社通販サイトの「CC2ストア」などで販売しなくちゃいけないかなとは感じていますが,未定です。今回のイベントの状況を見て判断したいと思います。
4Gamer:
ユーザーの要望にはできる限り答えていくので,購入したいのであれば要望を送って欲しいと。
松山氏:
そうですね。また,2号以降の販売方法も考えていきたいと思っています。
4Gamer:
今回の「ソラトロボ博物館」は,「ソラトロボ」の設定資料の展示が中心でしたが,これは以前「コレクターズエディション」に同梱された設定資料集と基本的には同じ内容になるんでしょうか?
松山氏:
設定資料集に載っているものもありますが,お蔵出しのイラストも多く入っています。
サイン会に来ていた方をご覧になったかと思いますが,会場に来ている方がサイン用に持ってきているパッケージって,限定版の割合がかなり多いんですよ。設定資料集に載っているものを展示しても,同じものを2回見ることになるだけじゃないですか(笑)。なので,設定資料集には載っていないお蔵出しのボツ案とかを極力載せたほうがいいだろうと。
4Gamer:
撮影OKということで,携帯電話で撮影している人達が多かったですね。
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ソラトロボのお客さんって,参加したがる方が多くいらっしゃって,作品の設定世界で遊ぶというか,自分自身で創作するような方が非常に多いというのが印象的でした。設置しているメッセージボードにも,皆さんイラストを描いてくれていたので,それも嬉しかったです。
4Gamer:
皆さんかなりクオリティの高いイラストを描いていましたよね。イラストも添えないと見劣りするなあと感じてしまって,書きづらいというか(笑)。
松山氏:
いえいえ,文章だけでも十分ですよ(笑)。
4Gamer:
WAKAさんは,メッセージボードをご覧になっていかがでしたか?
WAKA氏:
皆さんの愛情をすごく深く感じて,とても嬉しかったですね。
4Gamer:
あのメッセージカードは福岡に持って帰って開発チームにも見せるんですか?
松山氏:
ええ。それはもう当然です。
4Gamer:
個人的にお聞きしたいところなんですが,「ソラトロボ」は,それこそ「そこまで作りこまなくていいのに」と思えるほど細かい部分まで設定を作っていますよね。これはどのような理由からなのでしょうか?
松山氏:
冷たい言い方に聞こえてしまうかもしれませんが,作り手として効率よく作品を作るためですね。
物作りって,おそらく一般の方が思っている以上に悩みながら作っているんです。とくにオリジナル作品は“正解”がないので,いざステージを作る,ミサイル一つを作るというときでも,どういうデザインがいいのかという正解探しがあって,自分達の中でも迷いが生まれるんですよ。
迷いが生まれると,制作期間が長くなることにもつながるじゃないですか。最初の時点で事細かな設定を自分達の中で作っておけば,いざ物量を作り始める時にまったく悩まなくいいんですね。
「ソラトロボ」は,3年の開発期間のうち,最初の1年は絵と設定だけの1年でした。それまでにしっかりと設定を詰めていたので,いざ本格的に開発が始まった段階ではあ,本当に悩まなかったですね。
4Gamer:
その1年がなかったら,開発期間はもっと長くなっていた可能性もあると。
松山氏:
絶対に長くなってましたね。おそらく形にはなるんでしょうけど,意味が分からないというか,ブレが出てしまうと思います。
ゲームってかなり世界観作られてるなって感じられるものと,けっこういい加減だなと感じられてしまうものがありますよね。
私はいい加減なものが嫌いで,自分達はちゃんと作り込んだ世界観のものを作っていきたいと思っているので,それもあると思います。
4Gamer:
ちなみに,「ソラトロボ」のアニメーション制作はマッドハウスですよね。これはどういった経緯で決まったんですか?
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好きだからですね。
「.hack」のときもガイナックスさんが好きだからだったんですよ。「ソラトロボ」でこれだけ設定にこだわって作るんだったら,テレビアニメのように2クール構成にして,オープニングアニメも2パターン作るのは絶対に必要だなと思っていましたから。
どのアニメーションスタジオにお願いしようかとなったときに,その時は許可も何も取ってないのに,「好きだからマッドハウスにしようか」と。バンダイナムコゲームスさんに提出する企画書にも,「アニメーション制作:マッドハウス:って書いていましたから(笑)。もちろん,口説く自信はありましたけど。
4Gamer:
個人的に感じていたことなんですが,「ソラトロボ」のアニメーションを,もっと大きな画面で見たいという意見は届いていますか?
松山氏:
よく言われます。PS3で遊びたいという方もいらっしゃいますね(笑)。
4Gamer:
サイバーコネクトツーさんはアニメーション制作を自社で行っていますよね。そこで「ソラトロボ」のアニメ化とかをぜひ見てみたいと思います。
松山氏:
そうきますか(笑)。確かに我々はアニメーション制作もできる数少ない会社だとは思いますけど……。まあ,アニメ化についてはやはりご要望次第ですね。声が大きくなれば,実現の可能性も出てくるとは思います。
4Gamer:
よく聞かれる話だとは思いますが,ニンテンドー3DSが出て,NGPも発表されてという状況で,お二人から見たそれぞれのハードの魅力を聞かせてもらえますか?
松山氏:
3DSもNGPも特徴がはっきりしているので,3DSには3DSの,NGPにはNGPのゲームデザインが求められてくると思いますし,そのハードでないと体験できないことを表現してなんぼだと思うので,色々とビジョンは浮かんでいます。
WAKA氏:
それぞれ新しい機能がたくさんありますから,それらをどのようにして使っていこうかと考えるとワクワクしますね。
4Gamer:
なるほど。
それでは,「ソラトロボ2」とは限らないかと思いますが,「リトルテイルブロンクス」の世界観を生かした作品の登場を期待したいんですが,また10年後……なんてことはないですよね?
松山氏:
そこは,お客さんの応援次第だと思いますし,いつか夢は実現するのかなと思って我々も日々行動していますので,引き続き応援のほどをよろしくお願いします。
はっきり言えるのは,我々は「もっともっとソラトロボの世界をいろいろな人に知ってほしい」と思っていることです。今回のイベントが,そのきっかけになればいいなと思いますね。
「ソラトロボ」は,今からプレイしてもらっても色あせることない自信作ですから,これから知ってくれるというのも,我々は大歓迎です。まだという方は,ぜひ「ソラトロボ」を知ってほしいなと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
(2011年4月29日収録)
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- ライター:御簾納直彦

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